今回は、住宅資金と住宅ローンの繰上げ返済について解説します。
1. 購入希望価格の2〜3割の資金を準備しよう
まず、住宅購入資金を準備する重要性について解説します。
多くの方が利用する住宅金融支援機構が提供している「フラット35」の場合、融資率が九割を境に借入金利が代わります。
ここで、「融資率」とは、「借入額」を「住宅の建設費又は住宅の購入額」で割った値を言います。
「融資率」=「借入額」÷「住宅の建設費又は住宅の購入額」
「フラット35」の平均的な金利で、9割を超えた場合の金利は、9割未満の金利より0.26%程高くなります。例えば、「借入額3,000万円、元利均等返済方式、借入期間35年で借り入れた場合」、金利が0.26%違うと総返済額は160万円程多くなります。
また、住宅の購入には、税金や手数料等の諸費用が掛かります。その諸費用の額は、新築住宅で購入価格の3〜7%、中古住宅で6〜10%と言われています。
したがって、頭金と諸費用を合わせて、購入希望価格の2〜3割の住宅購入資金を準備しましょう。
2. 合理的な方法で住宅資金を準備しよう
それでは、住宅資金を合理的に準備する方法について提案します。
その方法とは、現在の家賃相当額と、住宅ローンの返済予定額との差額を住宅資金として蓄える方法です。
「住宅資金積立額」=「住宅ローン返済予定額」-「支払い中の家賃相当額」
この方法で家計をやり繰りすることができれば、住宅ローンの返済が可能であることを検証できるとともに、住宅購入資金を準備することができます。
また、住宅資金の積立には、給与から源泉控除される共済組合の定額積立貯金や財形貯蓄を利用されると良いでしょう。
3. 無理の無い範囲で積極的に繰上げ返済しよう
最後に、住宅ローンを現在返済中の方に、繰上げ返済のお勧めです。
繰上げ返済の方法には、「返済額軽減型」と「期間短縮型」があります。
《返済額軽減型》
返済期間を変えずに毎月の返済額が軽減されます。
《期間短縮型》
毎月返済額を変えずに返済期間が短縮されます。
例えば、先の借入例の金利が全期間固定型で年利1.5%とすると、総返済額は約3,858万円となります。そこで、返済開始後11年目に100万円を繰上げ返済した場合の総返済額を計算すると、返済額軽減型は約3,839万円、期間短縮型は約3,816万円となり、繰上げ効果は期間短縮型の方が約23万円大きくなります。
また、同じ期間短縮型でも、繰上げ時期によってその効果が大きく異なります。例えば、先の借入例で21年目に期間短縮型で同じ100万円を繰上げ返済した場合の総返済額は約3,835万円となり、11年目に返済した場合に比べその効果は約19万円小さくなります。
その理由は、繰上げ返済した金額は、全て元金の返済に充てられ、その結果短縮することができた期間の利息分が軽減されるためです。したがって、返済額の内訳で元金分に比して利息分の割合が多い返済初期の方が、繰上げ返済効果が大きくなります。
したがって、住宅ローン減税期間が終了したら、無理の無い範囲で早めに期間短縮型で繰上げ返済することをお勧めします。
マイホームの夢を叶えるためには、まずは、住宅資金の準備から始め、キャッシュフロー分析により無理の無い住宅ローンを組みましょう。そして、早めに繰上げ返済をされると良いでしょう。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表
元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |