防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース 1015号 (2019年11月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
カンタ ココロノトモ

 先日、外務省の青少年交流事業で日本訪問中の東ティモールの若者たち16名に会いました。そのとき彼らが歌ったのが「カンタ ココロノトモ」。
 「なんだそれ」と思われるかもしれません。カンタ(kanta)は、東ティモールの言葉テトゥン語で「歌」とか「歌う」を意味します。本紙読者の皆さんは、このような歌詞の歌を聴いたことがありますか。
 「あなたから苦しみを奪えたその時 私にも生きてゆく 勇気がわいてくる あなたと出会うまでは孤独なさすらい人 その手のぬくもりを 感じさせて 愛はいつもララバイ 旅に疲れた時 ただ心の友と 私を呼んで……」
 僕は、東ティモールに来るまで全く知りませんでした。ある若者から「このカンタ、知っているだろ?日本の有名なカンタだ。えっ、おまえ知らないのか!」信じられないといった表情を見せられ「very sorry」と応えるのがやっとでした。そんな彼が「ところでココロノトモってどんな意味だ?」と聞いてきたときには、突然饒舌になった自分を思い出します。
 東ティモールでは、今も世代を超えて多くの皆さんがこの歌を日本語で歌い継いでいるのです。大学の卒業式では、ブラスバンドが演奏もしていました。
 「カンタ ココロノトモ」は、五輪真弓さんの歌「心の友」のことなのです。
 インターネットで調べてみました。それによると、五輪真弓さんが1982年に発表したアルバムに収録された楽譜。シングルカットされず、テレビ・ラジオでの楽曲披露がなかったため日本では一般に知られることはなかった。1983年に、五輪真弓さんのコンサートで同曲を聴き感銘を受けたインドネシアの関係者が、アルバムを持ち帰り現地で放送したのをきっかけに広まり、1985年ごろには大ヒット曲となった。その後、中学校の音楽の授業で課題曲にもなった、とのことです。
 この歌がインドネシアでヒットした1980年代は、インドネシアによって併合された東ティモールとの間の熾烈な独立回復闘争の真っただ中です。「心の友」は、母国を離れ東ティモールのジャングルで戦うインドネシア兵士の皆さんも聴いていたに違いありません。そして同時に、東ティモールの独立解放戦線の兵士や国民の皆さんも聴いていたに違いない。僕はそう思います。ジャングルの中で敵対する兵士の皆さんが、激しい戦闘の合間に、故郷や家族、恋人や友達への思いを馳せて聴いていたのではないでしょうか。
 そんなことを考えていましたら、ふと、「リリー・マルレーン」のメロディーが浮かんで来ました。第2次大戦当時、売れ残りのレコードから店員がドイツ軍の前線慰問用レコードの中に2枚紛れ込ませたものが放送され、ドイツ兵のみならずイギリス兵の間でも流行したと言われています。日本でも多くの日本人歌手によって、今も歌い継がれて来ています。
「夜霧ふかくたちこめて
あかりともつ 街角に やさしく佇む 恋人のすがた いとしい リリー・マルレーン いとしい リリー・マルレーン……」(片桐和子訳詞)
 「心の友」そして「リリー・マルレーン」。違いや立場を超え、人々の心に触れる何かを持った歌なのだと思います。
 
北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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(防衛ホーム英語教室)
ユ ア サッチャ モロン
You're such a moron!
馬鹿じゃない?!

Hi! How are you doing? 皆さん、いかがお過ごしでしょうか。ハローウィンも終わり、次はサンクス・ギビングデー(感謝祭)、そして、クリスマスへ突入し、年の瀬まで時間が加速していくようなスケジュールです。まとめの月になってきました。自衛隊は、訓練、国家行事、災害派遣と大変な忙しさです。毎日毎日を、国防の任務を全うしていただいていることに本当に頭が下がります。ありがとうございます。

 さて、今回の表現は、"You're such a moron?!"「馬鹿じゃない!」です。アメリカのドラマや映画で良く耳にします。日本語の語感で言うと「バッカじゃない!」と女子中・高生が男子学生に向かって軽口をたたいているような感じです。moronは、「馬鹿、能無し、のうたりん」といった軽蔑的な意味です。もともと、20世紀前半に使われていた心理用語でしたが、スラングとして「バカバカしい軽率な行為を批判する」意味で使われるようになりました。悪ふざけを制するために言う場合以外は、軽々に口にしないほうが良いかもしれません。最近は、大統領に対して使った報道の例もありますので、意味を理解しておくと、その記事がかなり辛辣な批判をしているなということも分かって面白いかもしれません。まずは、若者の使うスラングとして覚えておいてください。

 サンクス・ギビングデーは、米国では、11月の第4木曜日で、今年は11月28日になります。その次の金曜日を、ブラックフライデーと呼び、米国では、感謝祭のプレゼントの売れ残りを一掃する大バーゲンセールとして有名です。今年は、売上が「黒字(ぶらっく)」になるのか、景気の動向が気になります。寒くなってきました。そろそろ世の中が年末に向かってざわついてきます。日々のリズムを整えて、ストレスの少ない生活を楽しく陽気にお過ごしください。それでは、皆さん。See ya!
<スワタケル>


「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
学校法人博多学園  博多南幼稚園下山 成明
下山氏は平成29年4月に航空自衛隊第3術科学校第2教育部(芦屋基地)を3空尉(特別昇任)で定年退官。56歳(記事作成時)
笑顔で、心豊かに、仕事に向き合う

 私は、平成29年4月に航空自衛隊第3術科学校を最後に定年退職し、福岡市東区にある学校法人博多学園博多南幼稚園に再就職しました。
 当園は、学園内に7つある幼稚園グループの一園で、各園ともに特色を持ちながら連携された保育を運営しています。園は住宅地に囲まれ、歴史ある神社と緑豊かな裏山に隣接された小高い丘の上に位置し、季節の変化を肌で感じることができる環境にあります。主な仕事は、園児バスの運行及び管理、その他園内の環境整備等です。園児の送迎は3台のバスを運行して、大きく6方面をカバーしています。園児バスを運行する際に一番大切なことは「交通事故防止」です。
 園周辺は、人口増加が著しい都市で交通量も年々増加傾向にあり、車や人が集中する交通環境のもと、狭い住宅地での予想外の離合や工事等による突発的な迂回規制等が発生します。園児を乗せたバスを安全かつ円滑に運行するため、ゆっくり走行することを心掛けていることから、急な割り込み、横断等の状況も多数発生しますが、危険予測をフル活用し、「安全・安心」な運行に努めております。
 運行管理面では、GPSを活用した運行経路、時刻の作成や園児が待つバスの停車位置の決定について、元輸送員であった経験を活かし交通事故防止の観点から安全に配慮し実施しています。
 職場において特に心掛けていることは、「挨拶と笑顔」です。子供達を預かる側として、保護者の方との日々の挨拶はとても重要です。また、子供達を笑顔で迎え、笑顔で送り届けることも、日々大切にしています。この仕事を通じ、逆に子供達から笑顔をもらっています。
 再就職にあたり何を求めるかは個人差がありますが、笑顔で、心豊かに、仕事に向きあえることは何より大切なもののように感じます。そして今日もまた、子供達の笑顔と笑い声に囲まれています。

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