防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   962号 (2017年9月1日発行)
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〜中央即応集団〜
魁の風
Central Readiness Force

派遣海賊対処行動支援隊、派遣海賊対処行動航空隊が交代
 8月初旬、ソマリア沖・アデン湾〜ジブチ共和国において海賊対処行動に従事している派遣海賊対処行動航空隊(DAPE)及び派遣海賊対処行動支援隊(DGPE)は、その任務を終了してそれぞれ次期派遣部隊・要員と交代した。
 DAPEは、第27次要員(司令・長尾英樹2海佐)から第28次要員(司令・鎌倉正幸2海佐)へ、DGPEは、第7次要員(司令・佐藤和之1陸佐)から第8次要員(司令・姫田良明1陸佐)へそれぞれ任務を引き継いだ。
 平成20年の国連安保理決議第1816号をはじめとする決議に基づき、各国がソマリア沖・アデン湾などに軍艦・航空機を派遣しており、平成21年に開始した第151連合任務部隊(CTF151)による活動のほか、欧州連合(EU)は平成20年から「アタランタ作戦」を実施している。各国は現在も引き続きソマリア沖・アデン湾の海賊に対して重大な関心をもって対応している。
 我が国の海賊対処行動部隊は、平成21年から継続して派遣されており、同海域における海賊行為の発生件数は低い水準で推移しているものの、海賊を生み出す根本的な原因であるソマリア国内の貧困等は未だ解決しておらず海賊の脅威は引き続き存続している。
 各部隊は、祖国から遠く離れて共に活動している諸外国軍との良好な関係を維持し、情報共有・協力しながら、海上交通の安全確保に寄与することとなる。
ジブチでの行動を通じて
派遣海賊対処行動支援隊(第7次) 3陸曹 上木原 玄師
 私は業務隊要員として、隊員の生活を守るために毎日拠点内を走り回っています。
 拠点は設立から6年という年月が流れており、各種施設等の老朽化が進んでいる箇所もあります。毎日漏水や電気配線等の補修依頼が飛び込み、1つ作業が終わると依頼が2つ増えるといった状況が続く日もあります。日本での方法や経験が通用しない事もあり、また、物品・資材に関しても現地での調達になるので、日本では簡単に手に入る物がこちらでは手に入らないといった事も多々あります。自分たちで試行錯誤しながら、日々任務にあたっています。
 時には50℃を超える気温の中での屋外作業は過酷なものですが、修繕を終えた時の隊員や、現地スタッフの方からの「ありがとう」の言葉が励みになり、次へと繋がっていきます。
 日本では決して出来る事のない貴重な経験をさせて頂き、家族や同僚の皆さんにはとても感謝しています。必ず任務を完遂し、少しでも成長した姿を見せ、ジブチに笑顔で送り出していただいた部隊に対して恩返しができるよう、引き続き気を引き締めて任務の完遂に努めたいと思います。

国際最先任会議に参加
<宮前統幕最先任>
 統幕最先任・宮前稔明准海尉は、6月5日(から9日までの5日間、ドイツ(ミュンヘン)で行われた「国際最先任会議2017」に参加し、ヨーロッパ諸国の最先任下士官らと良好な関係を築くとともに、部隊の視点から安全保障上の重要なテーマについて情報共有し交流を深めた。
 当該会議は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国及びパートナー国等との連携強化と各国最先任下士官相互の情報交換の場として開催されるもので、「国際移民問題、グローバルセキュリティ」を主要なテーマにNATO軍最先任下士官と米欧州軍最先任上級曹長の共催で実施された。
 本会議は過去14回にわたり開催されてきたが、日本からの参加は初めてという事もあり、参加国の最先任下士官から日本を取り巻く安全保障環境について質問が相次いだ。統幕最先任から自衛隊が統合運用を重視して訓練するとともに災害等を通じ高い運用能力を示すことによって抑止力の信頼性を高め、アジア太平洋地域のパートナー国との連携が同地域の安全保障環境の一層の安定化につながっている事を説明した。また、グローバルな安全保障課題への取組に関し、NATO加盟国等とも協力関係の強化を図る必要があることを強調し、参加国の最先任下士官の理解と多くの賛同を得るとともに、主催者側からは来年度以降の日本の継続的参加を促された。
 期間中、多くのブリーフィングおよびディスカッションを通じ、宮前准尉は「西太平洋だけではなく、ヨーロッパにもしっかりと目を向け、世界的な視野をもって下士官のつながりを広げていきたい」と述べ、諸外国との下士官交流に意欲をみせた。

よせ書き
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レンジャー教育に助教として参加して
 第33普通科連隊(久居) 3陸曹 山本 侑彦
 私は、第44期部隊集合教育「レンジャー」に助教として参加しました。
 私は助教として訓練に参加するに当たり、常にモットーとして着意していた事が有ります。それは、「毎日全力で学生と向き合う事」です。私自身、レンジャー学生時代にお世話になった教官・助教の方々は、全力で私たち学生を指導して下さいました。その印象が残っていることも有りますが、教官・助教が全力で学生と向き合っていないと、教育に参加している学生も全力で答えてくれないと思うからです。全力で私自身の持っている知識を教え、全力で声を出し、全力で走り、全力で指導する。このように私は学生と向き合ってきました。
 レンジャー教育訓練とは体力・気力の限界に挑み、本当に苦しい時、つらい時に、自分の限界を超えて一歩踏み出すことができるか、その精神力を養うことが重要であり、一度でも教官、助教が手を抜けばそれに甘えて教育効果が低くなると考えます。
 助教が普段から全力で何事も取り組んでいれば、学生も感化され、より高いレベルでの教育ができると私は考えます。
 教育終了後、学生と話す機会が有り、その中で「山本助教は常に全力で教育してくれました」という言葉が何人かから聞けました。
 私がモットーとしてやって来た事が、少なからず学生に響いていたのかと思うと、嬉しく思いました。
 今後は彼らに教えた事が次の機会には彼らが助教として訓練に参加し、常に全力で学生に向き合うことを意識して実行してもらえれば、私が助教として参加した意味が大いにあったと思います。
 また、私自身も次回の教育にはまた助教として参加したいと思っています。
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第10期一般陸曹候補生教育を担任して
第110教育大隊(大津) 1陸尉 中 高広
 3月に教育中隊長を拝命し、約3ヶ月が過ぎました。現在は、一般陸曹候補生教育を終了し、活気にあふれていた教育隊舎は静まり返っています。そのような中、教育にあたっての要望事項「克己心」(学生に対し)及び「愛情と厳しさをもって教育に臨め」(基幹隊員に対し)について、本教育においてそれぞれ実践させることができたのかを考えました。
まず、学生に克己心(自分に打ち克つ心)、を要望した理由として、現在の若者の特性から心身ともに弱い隊員が増加する中、自衛官として必要な使命感、責任感及び体力・気力をもった健全な隊員を育成したいという思いからでした。そのため、中隊長として目標設定と目標管理について学生に意識をさせる事を心掛けました。学生自らがあるべき練度に対し目標を設定し、日々努力を継続する事で個々に差はあれど心と体の成長を実感できたのではと感じました。
 次に、基幹隊員に対し「愛情と厳しさをもって教育に臨め」を要望した理由として、現代の若者の特性「コミュニケーション能力不足による集団生活への不適合、指導に対する耐性の弱化による向上心の欠乏」を持つ学生に対し、「生き残って任務を完遂できる隊員」を育成する事が我々の任務であるとの思いからです。教育開始前に中隊長の想いを徹底し、基幹隊員はその事をよく認識して学生一人一人の個性を理解し、特性に応じた指導と時には厳しい指導をできたものと思います。
 本教育を担任し、得た成果についてさらに改善し「より自衛官らしい自衛官」の育成に邁進していきたいと思います。
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自衛隊もひとつの選択肢
第101特科直接支援大隊(美唄) 3陸曹 木村 太郎
 年の募集難を耳にして以来、この素晴らしい組織そして自衛官という職業を私なり誰かに伝えられないかと考えていました。なぜ、自衛隊を選ばないのか理由を考えてみたところ怖いイメージや厳しい人間関係といったイメージが先行しているのではないかと思いました。
 そこで考えたのは、私のような人間でもやっていけるソフトな面から情報発信をすれば良いのでないかということです。私の思う「ソフトパワーの募集」をしたいと思い知人の岩内第1中学校の校長先生にお話したところ高校説明会で「陸上自衛隊高等工科学校」を紹介しないかと誘われ、先日7月11日に実現しました。岩内第1中学校の藪校長先生はよく「中学校の生徒にも自衛官になるという選択肢はあってもいいはずだ」と私におっしゃってくれました。その言葉を胸に15分間の時間設定でありましたが私の大好きな母校「陸上自衛隊高等工科学校」の紹介を中学生や参加した保護者の方々に実施することができました。
 この説明会に「自衛隊の高校」として参加することが出来たのは、私の思いを聞いてくださった薮校長先生や岩内町教育委員会の方々そして、支援して下さった札幌地方協力本部の皆様のおかげであり本当に感謝で胸がいっぱいです。
 これからも機会があれば私の思う「ソフトパワーの募集」を説明会等で実施したいと思いました。
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訓練検閲の所見
第6施設大隊(神町) 2陸曹 古澤 昭

 6月5日から19日までの間、神町駐屯地及び王城寺原演習場において、交通小隊訓練検閲に第2器材班長として参加しました。
 治安出動下令下の駐屯地警備強化、防衛出動下令下の防御準備・防御戦闘の一連の事態推移の中、交通小隊として施設機械作業に留まることなく、大隊予備としての運用も重点においた広範多岐な任務を小隊として付与されました。猛暑と不眠不休の厳しい状況の中、若い班員の皆が一丸となって施設作業に邁進する姿を見て、班長として、又、先輩陸曹として心から頼もしく感じました。
 私自身は、本検閲を通じ最前線の指揮官である班長の難しさや、知識・技術の重要性を改めて認識することができました。
 この検閲で得た経験を自分の宝として、小隊の精強化のため今後も日々精進していきます。


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