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自衛隊ニュース   891号 (2014年9月15日発行)
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防衛省27年度概算要求
P-1、F-35A、水陸機動団など5兆545億円
 防衛省は8月29日、平成27年度予算概算要求を発表した。防衛関係費の概算要求は5兆545億円を計上し、前年度比1、697億円(3・5%)増となった。SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費、米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分及び新たな政府専用機導入に伴う経費を除いた要求額は4億8、994円で前年度比1、155億円(2・4%)増だった。内訳は、人件・糧食費が2兆1、054億円、物件費2兆7、940億円となっている。
 また、支払を次年度に繰り越す新規後年度負担額は2兆6、679億円となり前年度比で4、946億円(22・8%)増となった。この増加は固定翼哨戒機P―1の長期契約による増分(15機分)の2、721億円を含むためである。防衛省は5年を超える長期契約で一括調達する事により、従来通り毎年度5機を調達する場合と比較して、約403億円の節減、併せて防衛要所に必要な20機の確保を期待できるとする。
 今年度は「新防衛大綱及び中期防に基づき新規導入の装備品の取得も含め、統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施」「各種事態への実効的な抑止及び対処並びに安全保障環境の改善に対応し得るよう、特に警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動への対応を重視」「厳しい財政事情を勘案し、一層の効率化・合理化の徹底」という考え方に基づき要求されている。島嶼部に対する攻撃への対応としては、弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図るためイージスシステム搭載護衛艦(DDG)の建造費(1隻の建造及び2隻目のシステム調達2、274億円)、戦闘機F―35Aの取得費(6機959億円)、平成30年までに新設する水陸機動団及び作戦関連部隊に係る整備費(190億円)等を盛り込んだ。その他、南西地域における警戒監視及び実効的な対処能力の充実・強化を図るため自衛官実員の増員を陸海空3自衛隊合計で416人要求している。

飛行安全幹部課程入校式
空自・航安隊
 8月27日、空自航空安全管理隊(司令・橋本進空将補=立川)で、「第149期飛行安全幹部課程」の入校式が行われた。入校式には来賓に空幕監察官小袋1佐、韓国空軍武官、金大佐ら4人が参列した。今期は陸自から2人、海自から1人、空自から6人、韓国空軍から1人の隊員が入校した。
 飛行安全幹部課程は、飛行運用幹部又は操縦幹部等として飛行安全及び航空事故調査に必要な知識技能の修得を教育目標におき、飛行に関する職務に従事する陸海空幹部自衛官を幅広く受け入れている。安全概念、航空事故調査、航空心理、安全工学等を280時間(約7週間)に渡って履修する。特にヒューマンファクターズに係る航空心理では当隊所属の研究職防衛技官(心理)の専門的知見を活用。御巣鷹山現地訓練や日本航空の研修施設で研修を行い安全意識への啓蒙を行っている。
 入校にあたり橋本司令は「安全教育をしっかりと自分のものとすること」「出身部隊が違う10人が親睦を図り共通意識を持つこと」を入校生に要望した。
 代表して申告を行った木更津駐屯地連絡偵察飛行隊所属の瀬下雄介3陸佐はその後のインタビューで「部隊が忙しい中送り出してくれたことに感謝しています。空自にのみ唯一編成されている専任部隊で安全教育をしっかり学び、自分の部隊ひいては陸自に還元したい」と抱負を語った。また韓国空軍の金俊模大尉は「韓国軍にも安全教育はあるが、日本の航空事故の方が少ない。違いを学んで帰りたい」と入校の動機を語った。
 橋本司令は「部隊では体系的に飛行安全を教えていない。航安隊で学ぶ事で自ら考え、自覚をすること。そしてここで学んだことを部隊で普及する核となってほしい」と話し、「陸海空、韓国からそれぞれ違う環境で育った人が集まることは非常に良い事だ。同じ言葉でもその概念が違う事もある。よく話し合い、共に学んでほしい」と期待を述べた。教育期間は10月17日まで、その後隊員たちは各部隊へと戻りその成果を発揮することとなる。

部外向けホームページを開設
空自・航安隊

 航空自衛隊航空安全管理隊(司令・橋本進空将補)は8月25日、部外向けホームページを開設した。 → 航空自衛隊航空安全管理隊
 HPは各種飛行安全施策に取り組む航空安全管理隊の活動等を紹介することで、空自への国民の理解を深め、任務遂行に寄与することを目的とし、航安隊の生い立ちや編成などの概要を詳しく掲載、同隊の教育課程や研究状況も一般の人にも理解しやすく解説されている。また、各メディアで掲載された記事も閲覧する事ができる。
 制作は今年4月末からスタート。一般の人からのアクセスを増やすために空自のホームページにリンクを貼っている。「飛行機や航空祭があるわけではない。かといって自衛隊の詳しい事を載せても一般の人には伝わらない」と制作に関わった竹内資料部長は、コンテンツ選びの苦労を振り返る。
 橋本司令は「空自が取り組んでいる航空事故を絶無にする努力や飛行安全に関する教育をご理解いただき、空自及び航空安全管理隊に対する一層のご支援・ご協力をいただければ幸いです」とコメントを寄せ、事故調査のみではなく普段は航空安全を研究、啓蒙している部隊と認知してもらう事への期待を示した。


指揮幕僚課程学生多国間セミナー開催
陸自・幹部学校
 陸自幹部学校(学校長・小川清史陸将=目黒)は8月21~28日、第14回指揮幕僚課程学生多国間セミナーを行った。2001年から毎年開催されている同セミナーは、アジア・太平洋地域を中心に各国の陸軍少佐~中佐クラスの軍人を招待し、留学生を含む指揮幕僚課程学生と共に実施している。
 今年は「国際的な災害救援活動における陸軍のあり方」を総合テーマに、事前作成した個人研究で参加各国陸軍の取り組みや問題を発表。その後、陸幹校の第59期指揮幕僚課程83人と東南アジア・オセアニア主要国から参加した過去最高の26人(※)の外国軍人が8個グループに分かれ「国際的な災害救援活動を迅速・的確に遂行するための平素からの陸軍の備え」についてグループ研究を行いその成果を発表した。
 成果発表では、東日本大震災やニュージーランドのカンタベリー地震、フィリピンのハイエン台風など近年の大災害も含めた各国陸軍のHA/DR(人道支援・災害復興)分野における知見を基に、陸軍が国外での災害救援で直面する共通課題の解決方法を討議し解決策を発表した。また、特定の作戦に焦点を絞り各国の実例も発表した。
 参加したテイラー少佐(ニュージーランド)は「自衛隊の東日本大震災の経験を知ることができ有意義だった」と話し、ハスリン少佐(ブルネイ)は「災害多発のアジア地域だけに多国間のHA/DR関連の研究会は価値があった」と述べ、さらに唯一の女性参加者であるリザ少佐(マレーシア)も「女性がHA/DR作戦の知識を深めることはとても大切。参加できて良かった」などとセミナーを評価する声が相次いだ。
 発表の合間には参加者が歓談し、連絡先を交換する姿も見られたほか、富士総合火力演習研修や都内文化施設等研修なども行い、相互理解と友好親善を深めた。
 近年ますます、様々なレベル・軍種で二国間及び多国間交流が盛んになる中、将来を担う各国陸軍中堅幹部が一同に集う同セミナーもその一翼を着実に担っていることが窺えた。

「宇宙開発利用に関する基本方針」
5年ぶりの改訂
防衛省
 防衛省は8月29日に「宇宙開発利用に関する基本方針について」(改訂版)を公表した。同方針は平成21年に初めて公表され、5年ぶりの改訂。改訂版の同方針では、今後の重点的取組として、
▽防衛省・自衛隊が部隊運用上重要な指揮統制・情報通信に使用している]バンド通信衛星が使用出来なくなった際に、代替衛星としても活用可能な即応型小型衛星システムの調査研究
▽現在は民間保有である3機の]バンド通信衛星が設計寿命を迎えるにあたり、28~29年度頃にかけ運用を開始する後継機(初の防衛省保有機となる)2機に続き3機目の具体的検討
▽弾道ミサイル発射の兆候や発射情報等を早期に察知・探知する可能性について研究するため、文科省・JAXAで計画中の「先進光学衛星」の赤外線センサに相乗りして宇宙空間で実証研究
▽宇宙空間の安定確保のため、宇宙ゴミや衛星攻撃兵器など宇宙物体の精確な動きを把握する宇宙監視機能の保持や、人工衛星に対する通信妨害対策に関する研究
 などが挙げられた。また、宇宙監視を任務とする専従組織を防衛省・自衛隊に設置する方向で検討を行うことも明記された。

カナダ海軍艦艇来日
晴海ふ頭で歓迎行事
海自
 9月3日、東京港(晴海埠頭)にカナダ海軍フリゲート艦「リジャイナ」(艦長・ダニエル・シャルルボワ中佐、乗員約250人)が入港した。今回は親善訪問が目的で、カナダ海軍艦艇の来日は3年振り30回目となる。これに伴い海上自衛隊の護衛艦「やまゆき」(艦長・川野邦彦2海佐)はホストシップを務めた。両国はソフトボール等で交歓、7日に東京港を出港し親善訓練を行った。
 歓迎式典において海上自衛隊横須賀総監部幕僚長中西正人海将補は「海自も遠洋練習航海部隊等によりカナダを度々訪問している。リムパックでも乗員同士の交流があった。これらは、両国の親善にとって意義深いものだ」と両国の友好関係を強調した。
 カナダ海軍予備役隊司令官デヴィッド・クレイグ准将はアラビア海での海賊対処、NATO(北大西洋条約機構)におけるウクライナ情勢への対応等8ヵ月に渡る任務を説明した上で「カナダは太平洋諸国の一つで海洋国である。我が国の経済はアジアとの繋がりに信頼をおいている」とヨーロッパのみならず日本やアジアとの関係にも言及。また「各自が大使であると自覚してカナダ海軍

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