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   2003年1月15日号
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90式戦車、89式装甲戦闘車など参加
火力発揮能力の向上
7師団で総合戦闘射撃

 第7師団(師団長・今村功陸将)は11月23日から25日まで、北海道大演習場島松地区(第1戦車射場)で、第11普通科連隊の1個普通科中隊(89式装甲戦闘車8両)第71・72戦車連隊の各2個戦車中隊(90式戦車9両)を基幹とする部隊に対して、実弾による戦闘訓練を実施した。(=写真)
 師団が、各級指揮官の射撃指揮、諸職種部隊間の火力調整、機動と火力の連携等を演練する場を設定し、特科、普通科(戦車)が配属された増強戦車(普通科)中隊として、諸職種部隊の総合された火力発揮能力の向上を図った。
 戦闘訓練は、機甲師団らしく、特科の最終弾落下とともに各中隊長の無線指揮により、監的道方向から中隊が一丸となり一令即動、火力、装甲防護力、機動力により衝撃的効果を発揮、1の台、2の台、3の台に進出した敵を直接照準により圧倒撃破して、ヒートの台を確保、3の台方向からの敵逆襲部隊に対しては、普通科・特科・機甲科の総合された火力発揮により撲滅し任務を達成した。


即応態勢を検証
精強な部隊へ
初の対空疎開訓練  4施大

 11月29日、第4施設大隊(大隊長・清水2佐)は、今年度3回目の即応態勢検証訓練を実施し、呼集から態勢強化準備による部隊の出発準備完了及び大多武演習場への対空疎開について検証した。
 呼集後の隊容検査までは前回までの訓練の成果が十二分に発揮されスムーズに流れたが、実際に対空疎開までを実施したのは初めての試みということもあり、部隊から演習場までの移動間の問題点が多少生じた。しかし、この演習で次回への課題もでき、「精強な部隊」及び「即応態勢の保持」へ、また一歩踏み出した訓練となった。


国際貢献について講話
東北補給処の松田1尉

 東北補給処(処長・小津光由陸将補)広報援護班長松田茂1尉は11月28日、仙台駐屯地見学に訪れた東京法律専門学校生80名に対し「国際貢献について」と題する講話をした。
 これは、駐屯地司令職務室から依頼を受け行ったもので、松田1尉は、第1次モザンビークPKO(平成5年5月〜12月)に参加しており、その動機・出発前の家族との別れの心境・現地での活動状況等をビデオも活用して、ユーモアを交えながら約1時間にわたり話した。
 聴講した学生全員が、終始うなずきながら熱心に聞き入っていた。


武装競技会を実施  2混団
 第2混成団(団長・関口泰一陸将補)は12月4日、国分台演習場(坂出市)で「平成14年度第2混成団武装走競技会」を実施。日頃の練成訓練の成果を如何なく発揮した第15普通科連隊が部隊対抗の部で2連覇の栄冠に、また、中隊等対抗の部Aリーグでは「15運隊3中隊」が、Bリーグでは「後方支援中隊」が、それぞれ栄冠に輝いた。
 参加チームはAリーグ、15連隊、特科大隊及び施設隊の10個チーム34グループ、Bリーグは15連隊の本部・本管中隊、特科大隊の本部・本管中隊、団本部中隊、後方支援中隊及び音楽隊の5個チーム、25グループで1個グループ10名編成での完全武装(総重量約30?)による約5?の断郊(グループ走)での中距離走で競った。
 競技に先立ち午前8時から国分台演習場「中の台」で開会式が行われ、統裁官(関口将補)から、競技会の実施にあたり「強い戦士たる気概を持って走破すること」「分隊一丸となって、互いを信頼し、走破すること」の2点を要望するとの訓辞があり、午前9時第1組の出走により競技会が開始された。
 コースは昨夜からの雨のためぬかるみ、足を取られながらもグループ長の指揮のもとに途中遅れそうになる隊員を叱咤激励、チームワークと日頃鍛えた成果を惜しみなく発揮、気力・体力の限界に挑戦しつつゴールを目指し疾走した。
 この間、団は競技会を協力者らに訓練公開し、混成団隊員の「真姿」を紹介して自衛隊に対する更なる理解と信頼の獲得を図ることが出来た。
 見学には、四国各地から約40名が訪れ、断郊コースを力走する隊員を激励、特にWAC(女性自衛官)が男子隊員とともに力走する姿を目の当たりにして感動し、盛んに声援を送るとともに地元テレビ局4社が取材に訪れ、同日夕のニュースでも紹介された。

アジア大会銅メダリスト
村上士長、静岡県知事を表敬
 第14回アジア競技大会(平成14年10月開催)で銅メダルを手にした自衛隊体育学校(那須誠校髪)の村上佳宏海士長(25)は12月4日、石川嘉延静岡県知事を表敬訪問した。
 村上選手は、近代五種(団体)競技でメダルを獲得しており、この日、県内の他のメダリスト8名らと共に静岡県庁を訪れ、大会成績の報告、教育長やスポーツ振興室長を交えての懇談等に参加。石川知事が「県民は皆さんの活躍に感激し、勇気づけられた。来年の国体をはじめとして、今後の世界大会での活躍も期待している」と激励の言葉を述べ、選手一人ひとりに顕彰状を手渡した。
 2003年、いよいよアテネオリンピックの選考試合がスタートする。村上選手は、表敬を終え、「まずは9月の全日本大会優勝を目指し、アテネへのコマを進めたい」と意気込みを語り、32名に1人のアジア代表選手の難関に挑む決意を新たにした。

<論陣>
明治人はデフレを予想できた
=正月に読んだ「太陽」から=
 明治二十九年(一八九六)に日本が、小型の経済恐慌に襲われたことを初めて知った。正月休みの間に読んだ東京・博文舘が発行した綜合雑誌「太陽」に掲載されていた「昨今の小恐慌」の一文であった。河島醇氏の主張によると、一八九五年末以来、日本はデフレに襲われ、木綿問屋が、突然の不況襲来に大あわてするのに加えて大阪の各銀行が清算し始めるなど社会混乱を引き起こす寸前だという。その記事を見ると、いま、日本を襲っている不況と状況が実に似ている。
 なぜこんな堅い原稿を書くのか?。と思われるかも知れないが「この小論文を竹中金融大臣、いますぐお読みなさい」と推めるデフレ対策が、実にまとまった形で述べられているからである。
 ……今、日本は小恐慌に見舞われている。世の中の人びとはデフレという言葉は知っているが、本格的な恐慌襲来となると社会は大混乱する。いま政府が十分に警戒せず、自然の成り行きにまかせると、わが国の経済界は不況の波に押しまくられてしまう。いまの状態は、ちょうど風邪をひいた病人と似ている。まあ、死ぬことはないが、放っておくと肺炎になって死ぬことが多い。だから油断せず、じっくり養生することが肝心である。昨今の経済界で生糸、茶、工業製品が売れなくなり、おまけに農業不振(凶作)などが重なると、大恐慌になり、税収もなくなり、"経済"がデフレの炎に焼き払われてしまうのは確実である。
 そうした前兆に気付いた三井銀行は、すでに満期になった手形を強引に手元に取り返し、貸し金をどしどし返済させている。これは自行の準備金(倒産防止)を増やしているようだ。自衛手段としては仕方がないかも知れない。いま日本銀行がやらなければならないことは、手形の割り引き率を若干引き上げて、本当に経営資金が必要な企業には、どしどし貸し出すべきである。また、再割り引きをして金融の緩和に力を注ぐ必要がある。そして、担保の価格を決して引き下げてはならない。なるべく、これまでと同じ価格で貸し出すべきである。
 ただし、これを実行するときは、手形の性質をよく吟味し、手形振り出し人の財産を徹底的に調査し、いわゆる投機人と確実な商人(企業)とをしっかり区別する必要がある。多くの企業は、二行から四、五行の銀行と取り引きしているから、ひとつの銀行に預金が多いからといって信用してはならない。要するに企業の経営内容を十分に調べて、確実だと判れば"ちゅうちょなく"貨し出すべきである…。
 明治二十九年の知誠階層の人は、すでに「不況の実体」をしっかりと把握し、その対策を考え、警告を発していたのには感心させられた。いまの政財界の人達も"公的資金"だけに預ることよりも、明治の知識人のような研究と対策を実行すべきではあるまいか。
 「太陽」は、こうした堅い記事ばかりではない。小説、詩歌、マンガ、料理(季節)、外国情報、ルポルタージュなど、ありとあらゆる"話題"を記事として掲載している。特に驚いたのは、主要情報などは、すべて英文にして同時掲載していることである。
 硬派記事に対して軟派の記事のひとつ"家庭料理の作り方"の一、二をあげてみよう。
 かき飯=東京の料理屋でも、冬の旬。かきを料理して出しているが、これはひどいものが多い。まず、かきはつゆを多くして、好みの味付けにしておく。熱い白飯に煮たかきをのせ、軽くかきまぜて、その上から煮汁をかけるのが本流である。食べるときに刻み葱をのせたり、七味唐がらしをちょっと振りかけると一段とおいしい。
 うに焼=鯛、平目、鰈(かれい)などを金網の上にのせ、ちょっと焦げたら、うにをなずればおいしい。いかのうに焼もいいが、特に薄く煎餅のように切った鮑(あわび)をあぶってうにをなずれば天下の美味である。
 三輪漬=造作もない漬物だがうまい。小型壺の中に柚子を切ったものを入れ、それに醤油をさして味の良い汁を作り、大根、人参、などの野菜を細かく刻んで漬けるとできあがる。
 そのほか氷豆腐の作り方、鯛飯の料理法など、いろいろと家庭料理レシピが掲載されている。また、写真の数が多い。米大統領選、小金井桜、北京近影など当時の貴重写真が目立つ。明治の人は想像以上に勉強家だと思った。

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