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   2002年12月15日号
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豪速球を投げる 石破長官
防衛ホーム新聞社 代表取締役社長 所谷尚武
 「相変わらず勉強家で努力家だ」というのが、お世辞抜きにした対談後の率直な印象だった。過去、政治家とお話しする機会が多かったが、少しきわどい質問をすると直球の回答が返ってこないことが意外に多かった。話しをしたあと、なんとなく物足りなく感じたものであった。
 石破新長官の答えは、正確無比な豪速球であった。言葉に一片の迷いが無かった。「過去に副長官を経験していますから」と言うものの、゛あの頃゛とは防衛庁をめぐる環境は大きく違っている。副長官辞任後も不断の努力を   続けてこられたのが、はっきりと解る質疑応答だった。
 地元鳥取の県民とのコミュニケーションの深さ。数多くの講演の内容。災害時の行動ひとつ見ても、県民への心配りが感じられると同時に、大臣ご自身が常在戦場感覚で日々、過ごしておられるのが、はっきり理解できる。
勉強家であることは軍事戦略のバイブルといわれているクラウゼビッツの「戦争論」を研究されたことでも判る。対談のさいちゅう、話の端々に「戦争論」からの引用が、出て来る。さらに毛沢東の言葉できっちり締めくくる頭の回転の良さは抜群。
 ナポレオン戦争時代の多くに参加した著者がその経験をもとに一八一八年から約十二年もの歳月をかけて書き上げた「戦争論」。この精神をしっかり身に付けておられればこそ、PKO・PKF問題、省に移行すること、少子化対策、インド洋に派遣されている自衛隊員対策などが、よどみなく、正しく分析の上で語られたとつくづく感じた。とにかく、゛第一線を知る男゛である。
 直線的情熱は、若い頃から持っておられたようだ。慶応大学の同級生で、なかなかYESといわない女性を、最後には見事陷落させたことは今でも語り草になっているとか。(それほど難攻不落ではありませんでしたよとは当の佳子さん証言ではあるが)、いまは、その佳子さんを中心として、理想的な家庭を築かれておられる。といっても、そこは政治家の家庭である。佳子さんは常に地元で駆けずり回り、忙しい日々を送っておられるし、大臣はまた国事に奔走されてほとんど東京暮らしのようだ。「おかげで手料理がうまくなりましたよ」と豪快に笑う。そこに゛男゛が存在していた。

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