千葉地方協力本部はこのほど、自衛隊中央病院歯科の岡澤亮平1海尉および自衛隊富士病院歯科の石橋瑠璃1陸尉らと共に、陸幕広報室の支援の下、「第67回日本口腔外科学会学術集会・総会」(大会長=日本大学歯学部口腔外科学第1講座・外木守雄教授)において会場内に自衛隊広報ブースを設置し、自衛隊衛生の広報活動ならびに歯科医官の募集活動を行った。
歯科関連学会での自衛隊による公的な広報活動は初の試み。歯科幹部候補生の募集対象である歯科学生や若手歯科医師、公募歯科医官の募集対象である認定医や専門医の資格保有者に加え、募集対象者を教育・指導する立場の大学教職員らも興味津々と広報ブースの歯科医官や千葉地方協力本部の広報官から活動内容や募集要項の説明を受けるなど、多くの来場者が興味を示していた。
また、今学会では「災害現場に赴く歯科医師のあり方、自衛隊との連携と、有事における最先端研究について」と題する自衛隊と日本口腔外科学会が連携したシンポジウムが開催された。座長は日本口腔外科学会代議員で口腔外科指導医の自衛隊富士病院歯科部長・松江高仁2陸佐が務め、シンポジストは防衛省・自衛隊関係者からは、東部方面衛生隊長・相羽寿史1陸佐、自衛隊中央病院第3歯科部長・飯塚浩道1海佐、防衛医科大学校免疫・微生物学講座・木下学教授と、民間からは災害歯科医療を専門とする東京医科歯科大学・中久木康一客員教授が講演を行い熱い議論を繰り広げ、シンポジウムを聴講した参加者からは普段はあまり意識しない有事の際の医療、特に災害歯科医療について大変興味深い講演だった、と好評であった。
自衛隊衛生歯科から4演題をエントリーし、自衛隊中央病院歯科所属の高山智宏2陸佐、岡澤亮平1海尉、小林夏規2陸尉、自衛隊横須賀病院歯科診療部所属の平田洋介2海尉らによる学会発表も行われた。
口腔外科は歯科領域のなかで最も診療範囲が広く、歯はもちろんのこと顎や顔面、顎の関節を含めた口の周辺の外傷・腫瘍を治療範囲としている。自衛隊歯科において顎顔面外傷は有事の際最も重要な分野となり部内での教育に力を入れている。一方で口腔外科に限らず認定医や専門医を取得した後に入隊する公募歯科医官の存在もまた大きい。
自衛隊歯科は平時の診療で自衛隊員とその家族に対し最高水準の歯科医療を提供するとともに、有事に備え口腔外科を中心とした自衛隊衛生における歯科の精強性を高めておくことが極めて重要であると考える。有為な人材の確保は喫緊の課題であり、本学会において自衛隊歯科の存在を広く認知してもらえたことは今後の募集活動に大きく寄与するものと思われた。 |