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1063号 (2021年11月15日発行) |
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雪月花 |
TKG 友人からこれは何の略か知ってるかと言われて、東京都管弦楽団?東京都コロナ学会?と答えたが正解は「卵かけご飯」。若い人たちの間では常識らしい。いつの時代でも卵料理は誰にとっても一番人気である。一時は「巨人大鵬卵焼き」と言われたこともあった。昔から卵は物価の優良児と言われ何十年も他の食料品に比べて価格の上昇は遅かった。しかし著者が子供の頃は現金収入にするかお客さんの食べるもので病気にでもならなければ食べさせてもらえなかった。家には茶褐色の鶏を10羽ほど飼っていた。庭の片隅に10畳くらいの鶏舎を作り、餌は与えていたが鶏舎から自由に出入り出来るので畑の虫や野菜を勝手に食べて勝手に寝る、自由な放し飼いだった。卵も小屋に帰って用意した敷き藁の上に勝手に生んでくれた。頃合いを見てこれを取り出しに行くのが筆者の役割だった。それを察知した鶏たちに引っかかれるなどの抵抗も激しかった。今のように身動きも出来ず完全に管理され生む機械になった彼らより情があるのではないかと思うのは都合のいい人間の理屈だろうか。さらにお祭りやお祝いの時などには今朝まで元気に走り回っていた一羽が調理されて食されるのだからいつの時代でも鶏は気の毒だ。自衛官も鳥インフルエンザの消毒や鶏の処理に出動しているが何10万羽の生き物の命を絶つことに限りない絶望を感じるということを聞いたことがある。今では全国各地で美味しい鶏肉や卵の研究競争でいろんなブランドが出されている。有名なのが名古屋コーチン、比内鶏、土佐ジローなどがあげられるが検索してみるとズラーッと郷土自慢の卵が並んでいる。奈良県の大和なでしこ卵、三重県のきみ若丸、群馬県からは赤城の名月卵など47県に楽しいネーミングのものがいっぱいある。食料品とは思えない丸々とした愛嬌のある卵、いつまでも愛され続けて食卓の王座を譲ることはないだろう。たまたま10月30日にスーパーに行ったら本日は「卵かけご飯の日」として卵の特売をしていた、根拠は不明。 |
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