防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1059号 (2021年9月15日発行)
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自衛官にとっての「人生100年時代」(1)
「人生100年時代」を "我が事" として考えよう!

シリーズ開始にあたり
「人生100年時代」到来!
 我が国は、先進国で「少子高齢化」の先頭を走っており、ロンドン・ビジネススクール2人の教授の著「ライフ・シフト」が「100年時代の人生戦略」と邦訳されて以来、「人生100年時代」の言葉自体も定着している。
 だが、この「人生100年時代」が自分の人生にいかなる影響を及ぼすかを理解し、その準備にとりかかっている人はそう多くはないだろう。
 では、私達・自衛官にとってはどのような意味を持つのだろうか。任務最優先で日々の職務に全力を尽くす自衛官は、「人生100年時代」という言葉を察知はしても "我が事" とは思わず、仮に "我が事" と思っても「遠い将来のこと」であり、「今の自分には関係ない」と思っていることだろう。
 昨今、ようやく自衛官の定年延長が実現しつつある。しかし、1〜2年程度定年を延長しても、自衛隊の特性上、一般官僚や民間人に比して「若年定年」ということには変わりない。
 さて、長い自衛隊生活を終えて定年を迎える自衛官は、これまでとは全く違う「第2の人生」でカルチャー・ショックを感じる人も少なくない。中には、その変化に順応できず、戸惑い、悩み、岐路に立つ人もいる。
 それでも平成の前半頃までは、再就職をして7から8年(我慢して)勤務すれば年金受給年齢に達し、その後は悠々自適な余生(老後)を送れた。

「定年後も "長い" 人生は続く!」
 現在は事情が少し違う。民間企業の定年延長や年金受給開始年齢の引き上げの中、少数の恵まれた人以外は、再就職を全うしても、「第3の人生」を歩まなければならない。
 今度は、官の支援は得られず、「自己開拓」しかない。もはや自衛隊の経験も階級も特技も通じず、絶望感さえ感じるその困難さは体験した者でないと理解できないだろう。
 「人生100年時代」になると、また少し事情が変わるはずだ。マラソンに例えれば、自衛官は、人生の折り返しを過ぎたあたりで定年を迎え、人生の後半が益々長くなる。中には、「第3の人生」どころか「第4の人生」を歩む人も出てくる。つまり、若年定年の自衛官は「マルチ・ステージ人生」を歩むことが宿命づけられている。
 そのような自分の将来の人生をいつから意識し、何を準備すればいいのだろうか。また、現在のような就職援護態勢で十分なのだろうか。
 「人生100年時代」を迎え、 "若年定年の自衛官が退職後の人生をいかに過ごすか" はもはや各自衛官個人に課せられた問題ではなく、自衛隊組織の問題としてとらえるべきと考える。しかし、最も大きく変わることが求められるのは自衛官ひとり一人であることには変わりない。
 本シリーズは、「定年後も "長い" 人生は続く」ことをすべての自衛官が "我が事" として自覚し、必要な準備を始めてほしいとの願いを込めて執筆するものである。
 開始にあたり、紙面をご提供いただいた「防衛ホーム」に感謝申し上げ、毎月1回、約1年間の予定でシリーズをスタートする。請うご期待!

「退職自衛官の再就職を応援する会」詳細と問い合わせはこちら
 https://www.saishushokuーouen.com/
 info--※--saishushoku-ouen.com
「--※--」を「@」記号に置き換えてください。


ノーサイド
北原巖男
頼もしさ

 岸 信夫防衛大臣は8月10日の記者会見で、小学校高学年から中学生を主たる対象とした "はじめての防衛白書" を作成したことを明らかにしました。(現在、防衛省ホームページで公開中)
 曰く「令和3年版の防衛白書の内容のうち、我が国周辺の安全保障環境や防衛省・自衛隊の取り組みなどについて、若年層向けにできる限り分かりやすくまとめたもの」、「ターゲットを絞ったわが国の防衛政策について幅広く学べるコンテンツを、初めての試みとして作成」、「国の防衛には、我が国の将来を担う若年層を含む国民の皆様のご理解とご支持が不可欠」、「一人でも多くの皆様にご覧いただき」たい、「我が国の防衛政策、こうしたことに若年のうちから接していただいて理解を深めてもらう、そういう趣旨で作成」等々。
 画期的なことです。早速読んでみました。僕には今の小学校高学年から中学生の皆さんが理解できる内容や記述かどうか、正直分かりません。また限られたページにあれもこれも入れ込むのは難しいでしょうけれど、組織は人。防衛省・自衛隊の根幹である人的基盤についての記述が全然無いなぁ、男女ともに頼もしい自衛隊員たち。防衛省・自衛隊には自衛官の皆さんだけでなく事務官や技官等の皆さんも自衛隊員として一生懸命働いている、彼らの声も紹介して欲しいなぁ・・・そんな思いを致しました。
 そして「隗より始めよ」とばかりに、中3の孫をターゲットに、早速プリントアウトして渡しました。しかし「フーン」と気の無い一瞥をくれただけで関心を示しません。防衛省・自衛隊のOBとして「厄介なことを聞かれたらまずいなぁ」と心配していたのですが、孫の感想を全く期待できないことに、一抹の寂しさを覚えました。本紙読者の皆さん・全国の自衛隊員の皆さん、皆さんの小学校高学年から中学生の子供さんやお孫さんたちは、どんなでしょうか?
  "はじめての防衛白書" には、「できる限りわかりやすい言葉を使って説明していますが、難しい単語や表現が出てきて理解できない時は、辞書やインターネットを使って調べたり、周りの大人の人に聞いたりしてみてください」とあります。本紙読者の皆さん・大人、とりわけ自衛隊員の皆さんそしてOBの皆さんは、子供や孫たちの先生として責任は大です。
 しかし、そもそも、どうすれば多くの子供たちが "はじめての防衛白書" を読んでみようという気持ちになるのでしょうか・・・?
  "はじめての防衛白書" が次回以降にも繋がり、読まれ、初期の目的の達成を期して行くためには、「初めての試み」である今回、真摯なフォローアップ・分析・評価、そしてそれらを反映させて行く重層的な作業努力が欠かせません。
 こんなことを考えながら近所の世田谷区立千歳中学校の前を通りかかったとき、校門脇の掲示板に掲げられた「千歳中だより」が目に入りました。山本 武校長先生の講話が掲載されていました。
 その中にこんな記述がありました。
 「自分の限界は、自分自身が一番よく知っているようですが、実は、案外底は深かったりするものです。アーティスティックスイミングの指導者の井村雅代さんは、 "人間は引っ張られた方が変わりやすい。その引っ張り役が教師であり、コーチであり、会社の上司であるわけです。その人の熱意や情熱によって「できるかな」から「できるみたい」に変わっていくんです" といっています。人からの指示もその受け止め方により、自分の成長に繋がっていくものです。何のためにその指示が出ているのか、その言葉の裏に潜んでいる意味を考えてみようとすることは結構、大切なことかもしれません」
 本紙読者の皆さん、隊員の皆さんも、きっと心当たりがあるのではないでしょうか?
 何よりも部隊長等と隊員との間の人的信頼関係を基盤とした厳しい指導・訓練。それによって、常に国民と共にある士気旺盛・精強な部隊等を創り上げ、いかなる国民の負託にも応えて行ける、そんな頼もしく信頼される隊員・自衛隊です。
 ちなみに2020年10月〜11月に日本経済新聞社が実施した世論調査では、自衛隊を「信頼できる」と答えた人は59%に達しています。「信頼できない」と応えた人は僅かに5%。なお、自衛隊員も国家公務員なのですが、この世論調査の中では、国家公務員を「信頼できる」とした人は、自衛隊の半分以下の28%。「信頼できない」は、自衛隊の4倍の20%に及んでいます。(2021年8月18日付け日本経済新聞)
 自衛隊員の皆さんには、これからも、どこまでも謙虚に、そして矜持を胸にそれぞれの任務完遂に努めて行って頂きたいと思います。
 小学校高学年から中学生たちも、見ていないようで実は皆さんの背中をしっかり見ていると思うのです。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


防衛省 自衛隊
秋のメンタルヘルス施策強化期間
〜カウンセリングの推奨〜
 防衛省は、「秋のメンタルヘルス施策強化期間」(9月10日〜同年10月15日)に先立って、岸信夫防衛大臣及び松川るい防衛大臣政務官がカウンセリングを体験した感想を動画により配信をした(https://www.mod.go.jp/j/profile/mentalhealth/index.html)。
 この配信は、防衛省自殺事故防止対策本部長の松川防衛大臣政務官の、カウンセリングに対する隊員の抵抗感を少なくさせるための取り組みとして、防衛大臣及び防衛大臣政務官がカウンセリングを体験し、その感想等を防衛省・自衛隊内に共有するという提案によるもの。
 松川防衛大臣政務官は、「カウンセリングは特別なことではない。カウンセリングを受けたら、必ず自分についての客観的な新しい発見があって、しんどい人はしんどく無くなる方向にいけるし、問題ない人もよりよくやろうということにつながります。全ての隊員の皆様、ぜひカウンセリング体験をしてみてください。カウンセリングは、歯医者さんに時々定期的にクリーニングしてもらうとか人間ドックを年1回受けるのと同じだという感覚です」と述べている。

エールよ届け!!
陸自中央音楽隊
第16次DGPEジブチ派遣隊員激励演奏
 陸上総隊司令部(司令官・前田忠男陸将)第16次DGPEジブチ派遣隊員は、7月14日、陸上自衛隊中央音楽隊(朝霞)奥津1陸尉以下43名による激励演奏を受けた。
 曲目は陸上自衛隊創隊 20周年記念歌「栄光の旗の下に」など7曲を演奏、派遣を目前に控えた隊員の気持ちを鼓舞させるものとなった。
 指揮者の奥津1陸尉は「派遣隊員の心にエールが響くよう一心に指揮をしました」とコメント、歌手の松永3陸曹は「音楽の力(歌)をもって精一杯のエールを送りました」とコメントを述べそれぞれの思いを語った。
 7月20日、派遣隊員は家族・仲間達に見送られ出国した。
 派遣隊員が無事任務を完遂・帰国する事を心より祈念している。

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