防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1054号 (2021年7月1日発行)
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読史随感
神田淳
<第80回>

上杉鷹山の美しい生涯

 上杉鷹山(1751-1822)は江戸時代中期の第10代米沢藩主。江戸時代最高の名君と評価されている。内村鑑三が英文著作に二宮尊徳、西郷隆盛らと共に『代表的日本人』として取り上げた5人の内の一人で、ケネディがアメリカ大統領に就任したとき、「最も尊敬する日本人は上杉鷹山だ」と語った人である。
 上杉鷹山は17歳で米沢藩主上杉家の家督を継ぎ(鷹山は高鍋藩主秋月家から上杉家に入った養子)、窮乏のどん底にある藩財政の立て直しに渾身の努力を傾注し、これを成し遂げた。この時代、全国の藩で財政悪化が進んでいたが、特に米沢藩15万石の窮状は甚だしく、第9代藩主重定のときには、どうにもならない状態になっていた。巨額の負債の返済の見通しはたたず、重税にあえぐ領民は疲弊し、かつて13万人いた領民は10万人に減少していた。重定は一時領地を幕府に返上するしかないとまで思いつめたが、幼少より英明をうたわれる若い養子・鷹山に藩の将来を託すことにした。
 鷹山の藩政改革は、大倹約の実行に始まり、農業の振興と農民の教道、人材の登用、家臣の意識改革、養蚕・織物業等の産業振興、国産品の奨励、難工事を伴う水利事業の実施、藩校創設と教育の振興、飢饉対策(備籾倉の創設)、老人福祉、間引きの習慣の廃絶など多岐にわたる。鷹山の「成せば成る、成さねば成らぬ何事も、成らぬは人の成さぬなりけり」の精神で、長期にわたり真摯に実施された。鷹山の晩年には、かつて11万両余に達していた藩の負債は全額返済完了し、領民の人心も改まっていた。鷹山が72歳で没したとき、「民は、自分の祖父母を失ったかのように泣いた。階層を問わず悲しみ、その様は筆につくしがたい。葬儀の日には、何万人もの会葬者が路にあふれた。合掌し、頭を垂れ、深く悲しむ声が誰からも漏れた。山川草木こぞってこれに和した」と伝えられている。
 鷹山は上杉家の家督を継いだとき、師である儒学者細井平洲の教え「藩主は実の父母のように領民を愛し、慈しむ」ことを神に誓い、祖神・春日社に誓詞を納めた。このことは誰も知らず、この誓詞が発見されたのは百年後である。
 鷹山の治政はこうした儒教の実践にとどまらない。鷹山は引退するとき新藩主となる治広に、後に「伝国の辞」と呼ばれることになる藩主の心得を授けた。「一、国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして、われ私すべきものにはこれなく候。一、人民は国家に属したる人民にして、われ私すべきものにはこれなく候。一、国家人民のために立てたる君にて、君のために立てたる国家人民にはこれなく候。右三条御遺念あるまじく候こと」。これは驚くべき藩主機関説であって、二番目、三番目はまさに民主主義思想そのものである。この「伝国の辞」はその後代々の新藩主に伝授される慣例となった。
 鷹山は謙虚で、非常に愛情深い人間であったが、ただ優しいだけでなく、強い忍耐力をもち、諄々と人を諭して倦まず、正しいことを実行する不屈の決断力と勇気をもつ君主だった。まさに封建時代の理想的君主だったが、鷹山の人間性からは、「伝国の辞」に見られる政治思想をはじめとして、封建時代のいわゆる「名君」を超えた、現代に通じる普遍性をもった指導者のあり方が伝わってくる。
 上杉鷹山の愛に満ち、高尚で勇気ある美しい生涯は時代を超えて、現代に生きる我々に力を与えてくれる。
(令和3年7月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


防衛省・自衛隊 地方協力本部
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大久保駐屯地創立記念行事を特別に見学
<京都>
 新型コロナウイルス感染症の影響により、駐屯地等創立記念行事の一般公開が中止された令和2年度から1年が経過、令和3年度は、万全のコロナ対策の下、参加者を京都府内に限定して、大久保駐屯地創立記念行事が実施された。
 京都地方協力本部(本部長・巻口公輔1陸佐)では、5月29日、京都府内の募集対象者・保護者・学校教諭97名並びに令和3年度新規に連名委嘱される募集相談員及び防衛モニター13名が、第4施設団長兼ねて陸上自衛隊大久保駐屯地司令・坂元秀明陸将補の協力を得て『大久保駐屯地創立64周年及び第4施設団創隊60周年記念行事特別見学』に参加した。
 見学者は、まず9つのグループに分かれて、大久保駐屯地の隊員引率の下、自衛官の生活環境(部屋・食堂・浴場・厚生センター)や装備品の見学を行った。装備品見学では、92式浮橋の連結や掩体掘削機について説明を受けた。特に、92式浮橋は、お笑い芸人「メイプル超合金」のカズレーザーさんが陸上自衛隊施設学校への潜入リポートの中で、「自衛官でも滅多に見られない」と紹介されたもので、参加者にとって貴重な見学となった。最後に、創立記念行事式典を来賓席から見学し、観閲部隊の凛々しい姿、ドローンや施設器材を用い災害派遣を想定した訓練展示に圧巻の様子だった。
 参加した学校教諭からは、「施設科部隊の災害派遣での活躍がよくわかりました。本校卒業生の元気な姿も伺え、もっと学生に自衛隊を紹介したい。自衛隊は、任期終了後再就職先を面倒見てくれる懐の深い組織であるので、今後授業の一環として、学生を見学させたい」との声が聞かれた他、参加者の学生からは、「見学で一番印象的だったのは、ショベルカー等の説明を受けている間、ずっと微動だにせず、立っていた隊員の方々です。見えにくいような所でもきちっとされている自衛官の姿に感動しました。とても濃い充実した時間を過ごせ、終始ワクワクしました。ありがとうございました」などの感想を得ることができた。
 京都地本は、「今後も、各部隊と密接に連携しつつ、新型コロナ感染拡大防止に万全を期して、創意を凝らした広報を企画し、自衛隊の魅力を発信していく」としている。
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本部長が大学等を表敬
<熊本>
 熊本地方協力本部(本部長・ 本賦1陸佐)は、5月20日〜24日の間、本部長による大学、高校及び塾への表敬訪問を実施した。表敬訪問は新型コロナウイルス感染拡大防止策に十分配慮した上で行われた。
 今回の表敬訪問には、熊本分駐所長(淀川桂介3陸佐)が同席し、学校内における自衛官説明会の実施やポスター等の掲示等、日頃の募集活動に関する謝意を伝えるとともに、自衛隊には宇宙・サイバー・電磁波等の新たな分野を含めた幅広い職務・職域があり、魅力的な職業であることを説明した。その上で、学校の特性やコロナ禍という時世に応じて、大学に対しては一般幹部候補生や貸費学生及び予備自衛官補の処遇等について、高校及び塾に対しては防衛大学校、一般曹候補生、自衛官候補生、航空学生について、その制度や将来のキャリアアップ、任期制自衛官の退職後における大学進学支援等を説明し、それぞれの採用上の特性について理解をしてもらった。
 各学長等からは熊本地本に対する自衛官募集に関する各種説明会の開催や個別説明への対応等の依頼が多く寄せられた。
 今年度は、今回の表敬訪問を皮切りに熊本県内各学校への訪問を継続的に実施する予定である。熊本地方協力本部は、各関係協力団体及び地域の皆様の協力のもと、これからも地域と一体となった募集広報活動を、部員一同努めていく。
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優秀新人広報官に入隊者からもお祝いの声
<埼玉>
 埼玉地方協力本部(本部長・山下真司1空佐)は、5月25日に「令和2年度優秀地域事務所および優秀隊員の表彰式」を実施した。
 この模様をツイッターに投稿したところ、優秀新人賞を受賞した木村1曹の携帯に入隊者からも祝意のメールが寄せられた。
 「優秀新人賞おめでとうございます。入隊して大変なこともありますが多くの仲間ができて私も頑張っています」(今年度航空自衛隊入隊の女性隊員)
 木村1曹は、「入隊して2か月が過ぎ教育も後半戦で大変な時期の中、ツイッターを見て連絡をしてくれたその言葉に、表彰以上に喜びを感じました。私自身も表彰を受けたとは言え、1年間は本当に結果と苦悩の戦いでしたが、その苦労を全て打ち消すが如く、入隊者からのメールは心に響き、より多くの入隊者を獲得するぞ!という気持ちになりました」と喜びを語り、決意を新たにした様子であった。
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県立高校オンライン説明会
先生方への理解促進
<茨城>
 茨城地方協力本部募集課(募集課長・宮下友佳2空佐)は、茨城県教育庁の協力のもと、6月9日及び10日に「茨城県教育情報ネットワーク」を活用し、進路指導の先生方へ向けたオンライン説明会を開催した。
 この説明会は、自衛隊の採用種目、任期制自衛官の再就職援護活動、学校と連携した広報活動などについて、更なる理解を深めてもらうことを目的としている。今回は県内の県立高校32校が参加した。
 参加した先生方からは、訓練内容、寮生活に関する疑問や女子の採用人数に関すること等さまざまな質問があり、丁寧に回答した。また、「部隊見学にぜひ参加したい」という要望があり、好評だった。
 茨城地本は、今後もオンラインを活用した広報活動を企画し、自衛隊の幅広い活動や広範な職域などについて理解を深めてもらえるよう努めていく。
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住友生命自衛隊説明会
あらゆる分野から情報獲得
<青森>

 青森地方協力本部青森募集案内所(所長・福田歩1陸尉)は、5月18日、住友生命保険相互会社青森支社において自衛隊説明会を実施した。
 生命保険会社社員に対する本説明会は、今回が初の試みであり、幅広い分野にわたる顧客を持つ外交員に対して自衛隊の募集種目等を説明することで、興味・関心のある顧客等に対して自衛隊を紹介してもらい、募集対象者等の情報獲得を期待して実施された。
 当日は、住友生命保険相互会社青森支社社員30名(リモート参加2名含む)が参加した。
 福田所長はスライドを使用し、自衛隊の任務をはじめとし、陸・海・空自衛隊における各職種や採用種目等について丁寧に説明を行った。参加した外交員の中には、自衛官を顧客とする人もおり、自衛隊の認識を深めることでよりニーズに合った商品を紹介できることもあり、福田所長の説明に対し、熱心に耳を傾けていた。
 少子化に伴う対策として大学生等、一般の募集強化に重点を置く中、今年度新施策にチャレンジする最初の事業を見事成功裏に収めた。
 青森募集案内所は、今後も積極的に民間企業等新たな分野・領域への自衛隊説明会実施に取り組み、自衛隊の活動や魅力を幅広く理解してもらい、あらゆる分野からの情報獲得を目指して推進していく。


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