ゲッキー)
最近、新聞やネットで中国に対する批判的な意見を多く見かけるようになったけど、世界でいったい何が起こっているの?
宇都)
30年前まで、中国はまだまだ発展途上にある後進国だったのだけど、この期間で、経済力(GDP)は約16倍、軍事費は約12倍へと成長し、今やアメリカに次ぐ世界第2位の大国になったんだ。
ゲッキー)
中国が大国になるのはいけないことなの?中国との商売で儲かっている企業も世界中にあるよね?
宇都)
世界は自由競争を前提としているから、キチンとしたルールを守って競争する分には問題ないけど、中国は安全保障面や経済貿易面で、自国のルールを強引に主張し「力による現状変更」を試みているので、各国から警戒され始めているんだ。南シナ海や、尖閣諸島も中国の主権の及ぶ管轄域だと主張しているし、貧しい国々に返済不能な開発支援を持ちかけては、債務不履行にして拠点化しているよね。
ゲッキー)
そう聞くと、ちょっと怖くなってきた…。最近は「米中紛争」とか呼ばれているけど、アメリカとだけ衝突してるの?
宇都)
かつては、成長する中国に寛容なムードもあったけど、今は欧米を中心に、オーストラリアやインド、一部のASEANの国々も厳しい批判をすることが多くなったよ。日本も、それらの国々と連携し、毅然とした態度で意見を表明しているよ。
ゲッキー)
チベットや新疆ウイグル自治区における人権問題についても、批判が巻き起こっているね。アメリカは、ジェノサイド認定したっていうけど、日本はこれからどう向き合うの?
宇都)
各国の情報機関やシンクタンクから、チベットや新疆ウイグル自治区における人権弾圧が行われていることを裏付ける調査資料と共に、人間の安全保障の観点からの問題提起がなされているけど、中国はこれらを否定しているね。勿論、国家的な人権侵害など在ってはならないことだし、日本はこれらの動きに対し国際社会と連携して非難決議等を出しているよ。まずは国際機関等による現地査察が行われるようにすることが重要だと思うね。
ゲッキー)
外務副大臣として、思い描いていた理想と現実世界のギャップのようなものってありますか?
宇都)
もちろん、それは存在します。どんなに高い理想を掲げても、やはり最後は自国の国益に合致するかという部分で賛同を得られない場合もあるし、国際社会の政治は、「多数決の原則(=民主主義)」ではなく、「全会一致の原則(=コンセンサス)」だから、物事が容易に決まらなかったりします。それでも、自国第一主義に走らず国際協調主義の下、理想を追求する姿勢が国際社会のリーダーに求められると思うんだ。そのような外交を追求していきたいです。
宇都隆史(自由民主党参議院議員、現外務副大臣、元航空自衛官)昭和49年生まれ、鹿児島県出身。平成10年に防衛大学校卒業(第42期)、航空自衛隊入隊。平成19年に政治の道を志して退官。平成22年自民党比例区で参議院議員に初当選。
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