本年も明けたと思ったらもう3月、年度末を迎えています。
この間、全国各地の自衛隊員の皆さんは、コロナ禍対策ための健康管理・医療支援やコロナに感染した島嶼住民のヘリ急患搬送、大雪による高齢者住宅や小中学校の木造校舎等に対する除排雪作業・北陸自動車道等における滞留車両周辺の除雪・同ドライバーの皆さんへの燃料や食料等の配布、更には全国各地で大量に発生している鳥インフルエンザに対する養鶏場内における殺処分等、そして東日本大震災の再襲来かと肝を冷やした福島県沖地震に対する給水支援など、まさにさまざまな「災害派遣活動」に取り組んで来ています。
一言で「災害派遣活動」とくくっても、それぞれの活動は正に千差万別。
しかし、常に国民と共にある国民の自衛隊員としての矜持を保ち、日々の教育訓練・任務遂行に士気高く精励して来ていればこそ、いかなる災害派遣要請についても、迅速かつしっかりと対応出来、もって国民の皆さんの負託に応えられて来ているのだと思います。
同時に、例えば、想像を絶する沢山の鶏を殺処分等しなければならない現場にいる隊員の心中はいかばかりかと察するとき、ただただ「・・・頼みます」と心の中でお願いすることしかできません。
今日以降も、新年度も、さまざまな災害派遣要請は突然来ます。
全国の隊員の皆さんには、これからも頑張って頂きたいと思います。
そんな皆さんに、自衛隊OBの一人として、老婆心ながら申し上げたいことがあります。
「自分が自分でなくなるようなことはしない!自分に対するもう一人の自分の無責任な言い訳や自己弁護の悪魔のささやきに負けない!」
私たち自衛隊員は、特別職の国家公務員です。国民全体の奉仕者として公正に職務の遂行に当たることが求められています。いわゆる「利害関係者」の皆さんから贈与を受けたり接待を受けることなどは、法律で禁止されています。
しかし、いつどのようなときに、皆さんが、なかなか断りづらい危険な立場等に置かれないとも限りません。
そんな時に、是非思い出していただきたいのです。
断る勇気を発揮し、本来の自分であり続けて頂きたいと思います。
皆さん一人ひとりは、どこまでも厳正かつ公正に任務の完遂に努める自衛隊員たる国家公務員です。
例年であれば、これから新年度のスタートに向けて、華やかな修了式や卒業式のシーズン到来です。昨年来コロナ禍が続く今年は、どのようなやり方で実施されるのでしょうか。
隊員の皆さん自身や家族の皆さんの中にも、新しい出発に不安と逸る気持ちを抑えきれない方がきっとおられることでしょう。
かつて僕が東ティモールに住んでいたときに、東ティモール独立回復闘争の最高司令官であり、その後首相等として国づくりの先頭に立たって来られたシャナナ・グスマン氏から言われた言葉があります。
東ティモールは、インドネシアからの独立回復を目指して、24年間厳しい独立回復闘争を展開して来ました。当時、日本を含むアメリカやオーストラリア等の国際社会は、この独立回復闘争は成功しないと見ていました。しかし、彼らは独立回復を成し遂げました。
今度は皆さんに、僕から贈ります。
「Fight for Your Dream with Courage and with Passion!(あなたの夢の実現のため、勇気と情熱を持って戦え!)」
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |