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923号 (2016年1月15日発行) |
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雪花月 |
映画「杉原千畝」を見た。モデルになった杉原さんは第2次世界大戦中、日本領事代理として赴任していたリトアニア国で、ナチスドイツによって迫害されていたポーランドから逃れてきた多くのユダヤ人にビザを発給し、避難民の救済に尽力したことで知られている。ドイツ軍は西から侵攻してくるため東へ逃げる道しかなく、シベリア鉄道を利用してアメリカに脱出したい避難民は日本の通過ビザを求めていた。しかし日本の外務省は発給の了承をなかなか出さない。収容所に連れて行かれるユダヤ人が多くなり一刻も早くリトアニアを脱出したい、領事館に押しかけるそんな群衆を見て杉原領事代理はビザの発給を決断した。必死にサインを続ける杉原領事代理、領事館が閉鎖になっても街のホテルや列車が出発するぎりぎりまで駅でもビザに代わる渡航証明書の発給をつづけた。その枚数は2139枚にのぼった、1枚のビザで子どもも同行できるので少なくとも6000人の命が救われたと言われている。さらにその子孫を数えると大変な命の繋がりになる。戦後日本に帰国した杉原さんは外務省からの訓令違反などで退職勧告を受け辞職した。1986年、86歳で亡くなったがその前年にはイスラエル政府から「諸国民の中の正義の人賞」が贈られた。また2000年には外務官としての名誉も回復しているが死去14年目であった。今、ヨーロッパではシリア難民が苦しんでいる。人類は何度おなじ歴史を繰り返せば気がすむのか、唐沢寿明と小雪の控えめながら迫力のある演技を観ながら思ってしまう。 |
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