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自衛隊ニュース   923号 (2016年1月15日発行)
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日英防衛相会談
「2+2」でも議論深める
 中谷元防衛大臣は1月9日、日英2+2会合のため訪日中のファロン英国防大臣との間で、市ヶ谷庁舎第1省議室において日英防衛相会談を行った。
 英国政府は、昨年策定した「戦略防衛・安全保障見直し(SDSR)」の中で、アジア太平洋地域を含めグローバルな存在感を継続していく方針を明らかにし、そのために、「日本はアジアにおける最も緊密的な安全保障パートナー」と謳っている。こうした状況下だけに、防衛協力・交流について双方から多くの新提案があり、非常に活発な議論を展開。会談予定時間を30分以上もオーバーするほどだった。
 具体的には、次の4つの分野で協力・交流を進めることが確認された。
(1)防衛装備技術分野 
 ▽新たに「人員脆弱性評価」の共同研究を開始。防弾チョッキなどの個人防護装備の研究開発に不可欠となる技術。戦場での兵士の人命を守ることに資する。コストの削減にも繋がる▽防衛装備庁と、英側カウンターパートである貿易投資総省国防・安全保障機構の間で職員の交流
(2)部隊間交流
 ▽英空軍の最新鋭戦闘機ユーロファイター・タイフーンの2016年中の訪日▽ペルシャ湾での国際掃海訓練の機会を活かし日英二国間での訓練実施▽イギリスが知見を有する水陸両用能力や、対即製爆発装置(IED)能力向上のための協力
(3)能力構築支援
 ▽東南アジア諸国の能力構築支援のために日英のワーキンググループを新設▽2016年のパシフィックパートナーシップにおいて、英国軍医官の海自艦への乗艦
(4)物品役務相互提供協定(ACSA)など
 ▽ACSAについて双方で可能な限り早期の締結を目指すことを確認▽そのほか、共同訓練等を円滑化するための可能な方策を議論していくことを確認
 これらのうち、タイフーンの訪日は、英側が、アジア太平洋地域における影響力行使及び日英の防衛協力の深化を示すものとして強く求めたとみられる。派遣規模などの詳細は今後調整し決定される。
 なお、防衛相会談に先立ち、前日の9日に開催された第2回の日英2+2会合(日英外務・防衛閣僚会合)では地域情勢の議論に多くの時間が割かれた。北朝鮮、南シナ海・東シナ海、テロ対策、中東、ロシア・ウクライナ情勢など数多くの問題が議題にのぼり、防衛相会談でも両大臣から、北朝鮮の水爆と称する核実験について、「国際社会の平和と安全を著しく損なうものとして断じて容認できない」との一致した発言があった。

CRF司令部訓練始め
 1月6日、中央即応集団司令部(司令官・川又弘道陸将=座間)は、川又司令官を統裁官に、約200名の隊員が参加して平成28年訓練始めを行った。
 まず冒頭、年頭の辞において川又司令官は、CRFに課せられた国際任務・国内任務として「平和安全法制成立に伴う任務の拡大に対応。伊勢・志摩サミットの支援」を挙げた。また、「何時、如何なる任務にも即応しうる態勢を維持するため、より実戦的・実際的な状況を想定した各種演習を通じ各隷下部隊の練度の維持・向上を図るとともに、海空自衛隊、米軍及び部外関係機関との連携強化を深化させていく」等と隊員を前に力強く誓った。
 達磨祈願では目入れに携わった司令部6役と各部課官長らが年間目標を掲げた。最後に点眼した川又司令官は笑顔も交え「大変なこともあろうかと思うけれどもみんなと一緒になって頑張っていきたい」等と隊員に語った。
 年頭の辞に続いては、競技会「12・7mm重機関銃の分解・搬送・結合」が行われ、実施要領の展示を統裁官の川又司令官自ら担当したのをはじめ副司令官以下部課官長等は司令部勤務員と共に選手として参加。AからFのグループに分かれ、3人一組(各グループに8〜11組)で重機関銃を銃身・尾筒・三脚に分解し60mのレーンを走って搬送、搬送先で結合させ射撃動作を行い、再びスタート位置まで搬送、結合させるまでのタイムを競った。
 いずれの組も寒空を吹き飛ばす気合いの掛け声に合わせた見事なチームワークで、早さと正確さを披露。グループ優勝F(司令部付隊)、組別優勝F・2組(2分42秒)、2位F・1組(2分52秒)を表彰したあと、川又司令官は「検閲において対空行動を評価するが、幹部は普段は重機関銃を触る機会が少ないので本種目を選んだ」と同競技会選定理由を述べると共に、「競技会のために秘密の特訓をした者もいたと聞いた。部隊火器、個人火器は触れば触るだけ馴染む。今後も機会をみては触れて、使えるように」等と今後の継続にも期待を寄せていた。

陸自最先任上級曹長交代式
 12月22日、防衛省A棟講堂において陸上自衛隊最先任上級曹長交代式が厳粛に執り行われた。式には宮前稔明統合幕僚監部最先任下司官、関秀之海上自衛隊先任伍長、山崎勝巳航空自衛隊准曹士先任の他、在日米軍からも陸軍司令官や各最先任上級曹長らが陪席した。
 第4代最先任上級曹長・鈴木喜晃准陸尉から岩田清文陸幕長に対し識別章が返納され、第5代に指定された川畑博盛准陸尉に識別章が授与された。岩田陸幕長は参列した市ヶ谷駐屯地所在准曹士を前に、平成26年8月に上番した鈴木准尉の功績を紹介。「旺盛な責任感と卓越した実行力で職務を遂行し、陸上幕僚長を適切に補佐してくれた」と深甚なる敬意を表した。そして新最先任上級曹長の川畑准陸尉を「厳しさと愛情を備えた鬼軍曹」と紹介。「強靭な陸上自衛隊の創造を目指す上でなくてはならない存在である」と評価した。さらに上級曹長業務系統を、指揮官を補佐する従来の指揮系統、幕僚系統に続く第3の柱として重要視し、「強固な信頼関係を構築し上意下達・下意上達の具現化を図るとともに基本基礎徹底の要としてさらに深化しほしい」と期待を述べた。
 鈴木准陸尉は「これからいかなる事があっても教育訓練の成果を発揮し自衛官である自信と誇りを持って国防にあたってほしい」と退任の挨拶を行った。バトンを引き継いだ川畑准陸尉は、重点事項に「強固な連携」「部隊は家族」の2つを掲げ、「一致団結して揺るぎない信念と気概を持ってより一層、部隊准曹士の皆さんと精進することを誓います」と表明した。
 なお12月31日を持って退官した鈴木准陸尉には、その功績が著しいと認められ第3級賞詞が防衛功労章を添えて授与された。

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