|
26年度QMフェア開催
13式空挺傘に注目が集まる
〈需品学校〉
「水陸両用作戦への貢献」等をテーマに |
陸上自衛隊需品学校(学校長・今金元陸将補=松戸)は11月26日、駐屯地体育館・厚生センターで平成26年度QM(※)フェアを開催した。同フェアでは、需品科に係る官民の展示、技術セミナー、合同意見交換会が行われた。展示部門では、官側から需品学校のカリキュラムに関する展示(テーマは「燃料」)、補給統制本部が鉄帽や防弾チョッキ、戦闘服等の改善装備品の展示、技術研究本部による先進個人装備システムやパワードスーツに関する展示等が、民側からは戦闘服から事務用品に至るまで幅広い分野の企業計50社が器材や技術を出展した。
コピー機の展示があるかと思えば防弾チョッキまで、QMフェアは糧食・燃料・需品器材や被服の補給、整備及び回収、給水、入浴洗濯等、需品科がカバーするジャンルの多様さを改めて認識する機会でもある。当日は冷たい雨交じりの底冷えする寒さだったが、出展ブースは官民多数の来場者が訪れ活発な意見交換等が行われた。
展示部門で一際注目を集めたのは関東補給処松戸支処が出展した、今秋部隊配備が開始されたばかりの最新の13式空挺傘(1月11日に陸自第1空挺団等が主催して「初降下行事」を実施)であり、体育館の天井から開傘された状態で展示されていた。13式空挺傘は、空中接触や上下接近時の安定性に優れた空挺傘で、現用の仏製(※ライセンス国産)696MIより航空機からの両扉連続降下等に適した空挺傘である。60式空挺傘以来の最新鋭国産空挺傘ということもありブース付きの落下傘部の自衛官、落下傘の整備を担任する女性技官の来場者への説明も自然と熱を帯びた。
今年度はサブテーマの一つとして「水陸両用作戦への貢献」がうたわれており、技術セミナーでは、需品学校研究部が聴講者である企業関係者に水陸両用作戦の概要を説明し、水陸両用作戦に一層貢献できる器材等の提案を求めた。展示部門でも離島防衛に威力を発揮する、海水を濾過して真水を作り出す最新の「浄水セット 逆浸透2型」(平成24年度装備化)を需品学校が屋外展示した。また、補給統制本部は米海兵隊の戦闘服等を展示。普段間近に見る機会の少ない米海兵隊の戦闘服は大いに注目を集めポケットの位置等細かい仕様までもチェックする来場者が見られるほどだった。※QM=Quartermaster.需品職種の意 |
|
三菱や日立など3社を表彰
防衛基盤整備協会賞贈呈式 |
「防衛装備品の生産及び調達に関連し自主的に民間で行われた研究開発・生産技術の向上などで特に優れた業績を上げたグループまたは個人を表彰する」26年度防衛基盤整備協会賞の贈呈式が、11月25日グランドヒル市ヶ谷で行われた。
ことしは、三菱重工業の「12式地対艦誘導弾の開発」「敷設支援システムの開発」、日立国際電気の「洋上無線ルータORQ—2シリーズの開発」、日立製作所の「水上艦用魚雷防御システムの開発、装備化」の3社4グループの業績が評価され宇田川新一理事長より賞状が手渡された。
公益財団法人防衛基盤整備協会が昭和54年から設置した同賞はことしで通算37回目になり贈呈式には防衛省、装備施設本部、技術研究本部、三幕の幹部や防衛産業関係者など大勢が出席した。 |
|
富士調査研究会同を開催
120社以上、1200人が参加
〈富士学校〉 |
11月12日・13日の両日、富士学校(学校長・武内誠一陸将)は、第9回「富士調査研究会同」を開催した。
本会同は、自衛隊内外関係機関との情報交換等により、入校学生・教官・研究員等の科学技術・研究開発に対する見識を深め、諸職種協同の中核として、普・特・機の将来の研究開発に寄与することを目的として、平成18年度から毎年開催している。
今年度は「普通科・野戦特科・機甲科 将来の戦い方」をテーマとして掲げ、昨年を上回る120社以上の参加企業と約1200人の関係者が参加した。自衛隊側からは、技術研究本部・補給統制本部・研究本部・海上自衛隊艦艇開発隊をはじめ、指揮幕僚課程、幹部高級技術課程及び需品学校幹部初級課程など14の機関・部隊等並びに富士学校に在籍する職員・学生など多数が研修し、過去最大の規模により実施された。
会同は、「職種部からの情報発信」及び「開発実験団からの情報発信」をはじめ、防衛関連品展示、教材展示、企業プレゼンテーション等を実施し、企業及び学校が、最新の科学技術と運用者のニーズ等について相互に意見を交わした。 |
|
「複合緊急事態の民軍連携」でシンポ 統幕学校国際平和協力センター |
12月5日、東京都新宿区の会議場で統合幕僚学校(学校長・高橋勝夫陸将)国際平和協力センター主催のシンポジウム「複合緊急事態における民軍連携」が開かれた。
国内外の紛争や武力衝突、テロなどに起因する複合的な緊急事態という環境下での人道危機に対処する際、民間組織と自衛隊などの軍組織がどう連携していくか、その際の課題はなにかということを民と軍の立場から討議する今回のシンポジウムは、昨年の「大規模自然災害後の災害救難における民軍連携」に続く実務的かつ喫緊の課題への取り組みがテーマとなった。
シンポジウムではまず、特別講演で国連平和維持活動局軍事顧問のマクスード・アーメッド陸軍中将(パキスタン)が「国連の活動は(展開から)6カ月が厳しい。インフラもなく情報収集も不十分、文民保護が十分できない」と問題点を指摘。その上で「平和維持活動は人類に資するもの。人員コストがかかるがやらない、の選択はない」と強調した。
その後、国連人道問題調整事務所マリ事務所のソフィー・ソロモン民軍連携担当官、内閣府国際平和協力本部事務局の土本英樹次長、国境なき医師団のジェレミィ・ボダン日本事務局長、ピース・ウィンズ・ジャパンの山本理夏海外事業部長による討議が行われ、大阪大学大学院国際公共政策研究科の星野俊也教授がモデレーターを務めた。
ボダン事務局長は「人を救うことがミッションで必要に応じて全ての武装アクターと接触し、政治・軍事的に利用される危険があるが人道とのバランスを取るよう努めている」との立場を説明、山本事業部長も「治安に関する情報、治安確保は軍に頼るが、どんな現場でも民軍が連携するのがよいとは限らない」とし、自然災害と異なり紛争で対立する勢力が入り乱れる現場での人道支援活動の難しさを強調した。
星野教授は最後に「人道活動はそれぞれの現場で柔軟性とスピード感をもって最善の方法を選択するよう民と軍が連携することが、難しいが重要である」と総括した。 |
|
アジア太平洋地域後方補給セミナー
統幕首席後方補給官ら参加 |
米太平洋軍が主導する多国間セミナー「アジア・太平洋地域後方補給セミナー(PASOLS)」が11月4〜6日、インドネシアで開催され、統幕首席後方補給官の大力政富海将補をはじめ陸幕装備部武器・化学課化学課長など4人が参加した。
今回のセミナーでは陸幕が「ハイチPKOの教訓及びフィリピン国際緊急援助活動」について発表するとともに、日米豪3国間会談をはじめ7カ国計8つの会談を実施して主に「今後の後方協力」などについて意見交換を行った。
同セミナーは1971年から開催され、日本は1980年のオブザーバー参加を経て1995年に正式加盟。現在は31カ国が加盟、12カ国がオブザーバー参加し、各国国防省などの将官級の後方補給主務者が一堂に会して相互理解や信頼醸成を目的とするセミナーを毎年1回、加盟国の持ち回りで開催している。
セミナーは昨年から「教育」「ネットワークス」「プロダクツ&サービス」を活動の3つの枠組みとして掲げ、各枠組みで議長国を指定してより実効性のある活動を進めている。今年は「プロダクツ&サービス」で日本が議長国になり、3つの分科会のそれぞれの議長(シンガポール、オーストラリア、1カ国は未定)とともに今後3年間リーダーシップを発揮することになった。
防衛省・自衛隊では、米太平洋軍がPASOLSを今後より戦略的に有効活用しようとしていると思われることから、日本として米国やシンガポール、オーストラリアなどとも緊密に連携して、日本のプレゼンスの更なる向上に寄与していきたいとしている。
|
|
第2回予備自衛官招集訓練について
〈小牧基地〉 |
航空自衛隊小牧基地は、10月10日から10月14日の間、本年度第2回予備自衛官招集訓練を実施した。本招集訓練においては、第1回招集訓練に引き続き、部内外広報の一環として、部内では、基地所在部隊等の長、基地所在編制単位部隊等の長及び准曹士先任等が招集訓練を見学した。また、部外では、基地モニター及び企業者を基地へ招へいした。
成果としては、予備自衛官の制度の説明、招集訓練(基本教練)の見学、航空機等の見学の実施により、予備自衛官の制度及び更なる自衛隊への理解を得ることができた。特に、先の東日本大震災を始めとする各種事態においての予備自衛官の役割が国防等に直結しており、予備自衛官に対する防衛省自衛隊の期待が極めて高いことについて、十分な理解を得た。
なお、本訓練では、上級部隊の予備自衛官の募集、制度、教育等に係る担当者も来基し、招集訓練及び部内外広報等の実施要領等を実地に確認された。今後も上級部隊と緊密な連携を図り、より一体となることが極めて肝要であるものと考える。
今後も部内外広報等の実施を継続することが重要という認識のもと、本制度への更なる理解を得られるために尽力し続けたい。 |
|
NEXT → |