水に映ゆ空の明るき蛍狩 鶴 たけし
初蛍単身赴任の子を思ふ 西田真由美
熟寝児を抱きて潜る茅の輪かな 藤井功風
路地を来る浴衣姿の異邦人 江口景舟
勝手口開けて青田の風通す 宮本立男
蜂の巣を燒く煙這ふ深庇 石川武次
梅雨探し会話にならぬ母に添ひ 川端初枝
国道へ神輿出てすぐ脇道へ 水野 正
野仏の夏柑ふたつ萎びをり 宮崎 薫
悠然と野良猫歩む梅雨の門 岩城節子
磐石を滑り落ちたる瑠璃蜥蜴 尾野千惠子
渡舟場の木立に紛れ青胡桃 佐賀あかり
みちのくの湖畔の園にポピー咲く 加川師亨
青竹の柄杓新し梅雨に入る 門田美佐子
蕉翁の辿りし道のねぶの花 氷川杜夫
留守の家に確かと咲きし薔薇の花 岩田芳秀
選 者 吟
黒南風に押され入江を潮上ぐる 成川雅夫
(「栃の芽」誌提供) |