平成26年1月28日(火)、中部方面後方支援隊(司令・駐屯地司令兼飯田重樹1陸佐)は、6年ぶりの野外炊事競技会を桂駐屯地で実施した。
本競技会は、「有事及び近い将来発生が懸念されている南海トラフ大地震等の各種災害に備え、各部隊の野外炊事能力の向上」を目的とし、中部方面後方支援隊隷下部隊7コ部隊が、駐屯地グランド内に野外炊具を展開させ、北風が吹く寒空の下、部隊の名誉を賭け競い合った。
各部隊は、炊事班長の指揮の下、2時間30分という限られた時間内で連携した炊事動作を実施し、ご飯、酢豚、塩クラゲの酢の物、ニラ玉スープの4品を調理した。また、付加調味料(隠し味)の使用が認められており、各部隊とも研究を重ね、工夫を凝らした炊事を実施した。
審査については、「炊事動作」「衛生管理」「安全管理」「出来栄え」の4項目であり、隊長、副隊長、関西補給処桂支処長等9名の審査員で審査を実施し、頭を悩ませながらも厳しく採点した。
競技会の結果については、優勝が中部方面後方支援隊本部付隊、準優勝が中部方面輸送隊、第3位が第302高射直接支援中隊であった。
閉会式で飯田後方支援隊長は、「各部隊の炊事能力を確認できた。各部隊とも炊事要員の数は限られているが、底辺の拡大を図る上でも、今後も練成を継続してもらいたい」と述べ、本競技会を締めくくった。
桂離宮をイメージした正門が自慢の京都市在唯一の陸上自衛隊桂駐屯地にある中部方面後方支援隊。1月28日野外炊事競技会を取材した。包丁を使って皮剥きをする者、具材を混ぜるための大きなヘラを身体全体で駆使する者、冷たい水で手を真っ赤にしながら洗い物をする者、この競技会のための応援歌で応援する者など、それぞれの任務を懸命にこなしていた。
審査は、飯田隊長始め全員が真剣そのもの。「あれっこっちとどう違うの」「俺の味覚変なのかな」など行ったり来たりしながら一つ一つ丁寧に食べていた。同じ食材を使っていても、具材の切り方で見た目も違うし、味も各部隊で違う。こんなに違うものかと驚いた。
東日本大震災での災派時、大量におにぎりを作っていた姿、被災者に暖かい食べ物を作り自分たちは冷たい物を袋ごと見えない所で食べていた姿、野外炊事具の前に行列を作り暖かい食べ物を手にして喜ぶ被災者たちの姿、「演習から戻って来て見えた湯気に安堵した」と語る隊員さんたちを思い出し、野外炊事の凄さを改めて感じた。
各地で行われる災害派遣や過酷な演習時に暖かい食べ物は身も心も癒してくれる。野外炊事能力の向上と技能維持は、自己完結能力維持に欠かせない力の一つだ。(吉田佳子) |