マリナーズ・イチロー(38)の2011年の目標は「11シーズン連続200安打」。そのイチローが「えらい初夢を見てしまった」と苦笑していた。日本ハム・斎藤佑樹投手(22)=早大=の投げた160?の快速球を思いっ切り打ったところ「バットが折れてしまった」んだそうだ。「えらい初夢だったけど、決して悪い気分ではなかった」という。
「すごい人気。ああいう選手がどんどん出てきてくれて、日本のプロ野球を引っ張るようになれば、日本はもっともっとメジャーに近付いて、真のワールドチャンピオン・シリーズが夢でなくなってくる。佑ちゃんには、即一軍で頑張ってもらいたい」(イチロー)
新天地・アスレチックスでメジャー9年目を迎える松井秀喜選手(37)も「初対面は06年、斎藤君が高校日本代表でこっち(当時、松井はヤンキース)へ来たときだったが、いい顔していた。それからずっと注目しているが、言動が他の若者達とは雲泥の差。技術をさらに磨いて、日本のプロ野球を代表する投手に育って欲しい。一度、対決してみたいですね」とエールを送っている。
それにしても、斎藤の人気はどこまで続くのか。日本ハム入りを決めた昨オフからウナギ登りで、北海道未来総合研究所のソロバンでは「地元にもたらす経済効果」は58億円にのぼるそうだ。
札幌ドームでのホームゲーム、年間11試合が満員となれば46万2千人。他に交通、宿代、グッズ、飲食代など諸々を含めると、契約金1億円プラス出来高5千万円、年俸1500万円(いずれも推定)など「安い買い物」だろう。
この経済効果は、日ハム2軍の合宿・勇翔寮のある千葉県・鎌ヶ谷市にも波及する。早大OBの清水市長は「駅前の広告塔を佑(有)効利用してもらって、鎌ヶ谷を全国的に売り出してもらいたい」と意気軒昂。
だが、一部には沸点に達した"佑ちゃん人気"に、やっかみ半分の"雑音"が聞かれないわけでもない。2010年の流行語大賞に輝いた「持っているのは素晴らしい仲間」の句に対して「学生野球ならまだしも、プロの世界はチームメイト、仲間…、みんな敵、ダメになったとき、誰も助けてくれない。生きるか死ぬかの世界で、甘いこといってたら、すぐ引きずり降ろされてしまう」と苦言を提するOBもいる。早実の大先輩、ソフトバンクの王貞治会長は「華のある選手。周囲はあせらず、じっくり育てて欲しい。1年目は、私のズバリ予想では、ヒイキ目に見て10勝8敗」と、かなり厳しい評価をしているが、2ケタ勝ちなら新人王の座も見えてくる。
「北海道の人達も、鎌ヶ谷の人達も、みんないい人ばかり。こういうファンに囲まれてスタートが切れたことは、本当に嬉しい。心から感謝しています。一生懸命頑張って、開幕1軍ローテ入りを目指します」
佑勝、佑姿、佑等生…(いずれも佑と優を入れ替えた造語)。ついには追っかけの「佑(有)閑マダム」まで出現する超人気スターが、4月の開幕までどんな動きを見せてくれるのか。
「斎藤とかけて南北線と解く。その心は、王子(東京)を過ぎれば下るだけ」(立川談慶)なんて、落語のネタにされないよう、立てた目標目指して頑張ってもらいたい。やがて始まる紅白戦、オープン戦の登板が待たれるところ。
ちなみに、早大教育学部の斎藤の卒論テーマは日本ハムに絡めた「スポーツ経済学」だったそうだ。 |