防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   2008年11月1日号
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スポーツよもやま話
根岸直樹
清原(オリックス)、涙の引退試合
数々の記録、エピソード残し・・・
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 コツコツと
 アスファルトを刻む
 足音を
 踏みしめるたびに
 俺は俺でありたい
 そう願った
 ………
 ああ 幸せのトンボが
 ほら 舌を出して
 笑っていらあ

 親友・長渕剛が心を込めて熱唱した「とんぼ」を聞きながら、清原和博(41)=オリックス=が泣いた。大粒の涙をぬぐいもせず、だれはばかることなく号泣した。
 現役23年の幕引きの日、10月1日、対ソフトバンク戦。正直いって、清原がこんなに泣いたのを初めて見た。驚いた。PL学園から西武―巨人―オリックスと、23年におよんだ野球人生。一スポーツ記者として見続けてきただけに、清原ってこんな男だったのか、と不思議な気がしてならなかった。
 取材するたびに、木で鼻をくくったような答弁をされ「お前が野球のプロなら、オレだって書き屋のプロ。聞かれたことに対しては、ちゃんと答えろ」と切れかかかったことがある。
 しかし、振り返ってみれば、ときには悪態・悪口の中に、ちゃんと核心をのぞかせてくれていて「いい記事が書けた」と、ひとりほくそ笑んだこともあった。
 引退試合直後の記者会見で「自分の弱さを見せまいと、いろいろわがままをいい続け、やり続けてきたことを許して下さい」と、深々と頭を下げたのを見て、ちょっとばかり見直した。何で、もっと早く自分に素直になれなかったのか。
 担当記者からこんな話も聞いた。オリックスのある若手選手が、折れたバットを無造作にごみ箱に捨てるのを見て「サインしてファンにやれば、喜ぶ人もいるんじゃないか」と論したという。西武、巨人時代に清原がそれをやっていたらどうだったろう、としみじみ思ったことだった。
 しかし、あの男はあれでよかったのだ。ウェート・トレでマッチョに変身。ダイヤのピアスをつけ、頭髪をツルツルに剃り上げ、肩で風切って歩き続けた23年間。清原は、やっぱり「凄い男」だった。あのイチロー(マリナーズ)でさえ、一目も二目も置いていたのだから、何をかいわんやだ。
 ユニホームを脱いだ後、清原はどこへ行くのか。「当分は、抜けガラみたいなもんや。野球を忘れて、といっても無理な話だから、ふたりの息子とキャッチボールでもして遊んでやりたい。女房にも苦労のかけっ放しだったし、気楽に家族旅行でもして過ごせれば」と、現役時代には考えられなかったような発言を聞いて、耳を疑ったのは、小生だけではないはず。
 だが、清原から野球を取り上げてしまったら、何も残らない。巨体を生かして格闘技転向のウワサもあるが、あの両ひざの故障、隠し切れるものではない。
 ならば、球界にとどまってコーチ、さらには監督として再出発するのか。「桑田ならともあれ、それは考えられない。生まれ変わったように思えても、あの性格は生涯、変わらないだろう。人に教え、人の上に立つのは無理。野球解説、スポーツ紙評論家あたりが無難」「一部の一流選手には慕われても、技術の未熟な若い選手は育てられない」とは、清原をよく知る旧知の友人の予想だ。人間性の問題か。
 「幸せ者の和博よ。お前は野球人生の“極み"へ入っていく」と長渕剛は言ったそうだが「極み」とは何を指し、意味しているのか。
 ああ 幸せのトンボよ
 お前は
 どこへ飛んでいく
 ………
 清原和博の野球人生、ついに終止符を打つことになるのか。いまは「お疲れさまでした。ゆっくり休んで下さい」とだけ言っておこう。


シリーズ イラク派遣を終えて
空自第3航空団(三沢)整備補給群補給隊 2空尉 野村 拓郎
「現地調達」の難しさを痛感
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 私は、平成20年3月から7月までの間、第15期イラク復興支援派遣輸送航空隊の補給小隊長として勤務しました。補給としての経験が少なかったので多少の不安はあったのですが、まあ「なんとかなるべ」くらいの気概で派遣に臨みました。そのなかで起きた体験談をお話したいと思います。
 一般的に基地で物品を調達する場合、業者が調達物品について入札を行います。しかしながら、クウェートに於いては入札業者が極めて少ないため、価格が高騰しがちとなっています。そこで、限りある予算を有効に活用するためにクウェート市内の商店へ直接行き、我々が普通買い物をするように、物品を調達する「現地調達」という手段をとります。やることは非常に単純で、品質を見極め、安い物を買うということだけなのですが、事は簡単には進みません。まず、物がどこにあるのか探し出すだけのことでも、お世辞でも堪能とは言えない英会話能力が必要となります。さらに、店員の英会話能力が無い場合もあり、身振り、手振り、そして擬音を駆使しなければなりません。
 そういう多大な労力を要して物品を探し出したとしても、必ずしも欲しい量があるわけではなく、例えば、部隊で必要なトイレットペーパー5000ロールという量は在庫として持っていることはほとんどありません。そこで店員とさらに交渉が必要となります。クウェート人から見ると、我々は怪しげに見えるらしく、なかなか信用してもらえず、最初は前払いでないと物を用意できないと言われます。拙い英語で度重なる交渉を行い、ようやく必要な物品を用意してもらう所まで漕ぎ着けますが、後日実際に調達へ行くと担当者が休みで何も用意されていないということもありました。最終的には何とか調達に漕ぎ着けることは出来るのですが、直ぐに終わるはずであった業務が、半日以上かかるとやるせなくなることもあります。
 現地調達を一例として挙げましたが、文花や生活習慣の違いか、この国の人はおおらかな人が多いという感想を持ちます。個人的なことであれば、「郷に入っては郷に従え」の精神で気にもならないのですが、組織の行う業務として考えると目的は必ず達成しなければなりません。そこで思ったのは「なんとかなるべ」と大きく構える気持ちも必要なのですが、「なんとかするべ」と積極的に行動する気持ちが大切であるということです。今後の自衛隊生活でも「なんとかするべ」の気構えを持ち、頑張っていきたいと思います。

HOME's English Class
(防衛ホーム英語教室)
There isn't any possibility of your failing!
お前が失敗する可能性はこれポッチもないさ!
ゼア イズント エニ パッサビリティ アブ ユア フェイリング
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 Hi! How are you doing? 皆さん、お元気でしょうか。涼しくなってきました。関東の天気予報では、丁度秋と冬のかわり目に当たるそうです。今が最高の季節ですね。関東地方の紅葉もこれからです。楽しみです。軽装で一寸遠くまで出歩いて見ませんか。
 さて、今回の表現は、“There isn't any possibility of your failing!"「お前が失敗する可能性はこれポッチもないさ!」です。There is〜は、〜があるという意味でしたね。それを今回はis notと否定形にしてさらに短縮形で使っています。次に続くanyへリズムを刻んでいます。Anyは否定文で使われると「少しも〜ない」という強い意味になることを覚えておいてください。Failは「失敗する」です。failingという形にして、「失敗すること」という行為の意味で使っています。
 秋の名月、自然、木々の紅葉、香りの高い花々が咲き、秋は深まっています。こういった気候の良い時には、人も体を癒そうとします。夏の疲れが自然に出てくるときでもあります。軽い運動をしながら、調子が整えられるといいですね。日々、陽気でストレスの溜まらない生活をお楽しみください。
 それでは、皆さん。See ya!
(小平学校)〈スワタケル〉


防衛ホーム 俳句コーナー
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雷鳴に驚かされし一の酉 岡野アイコ
霊廟へ八雲辿りし落葉道 友国 博子
梢よりぬつと顔出し松手入 御手洗敬子
貨物船朝の米研ぐいわし雲 吉永 紅市
城に向き礼をしてより松手入 駒野 英明
秋草を活けし次官の部屋を訪ふ 佐藤 玲美
幻想のやうに去り行く冬の蝶 長谷川ハルエ
蓑虫や何処へも行かず誰も来ず 米田ふさゑ
子を看取る日々を重ねて秋深む 森 未知子
図鑑手に花野の径を分け入りぬ 木通 佳子
揺り椅子に秋思の髪膚ゆだねをり 田中 雅巳
旅の宿菊枕とはありがたし 青木彦一郎
秋燕の練習船の帆を掠め 斎藤紀一郎
星空を眺め夢見る賢治の忌 關 由紀夫
廃屋に取り残されし秋すだれ 松村久美子
古里の人なつかしき秋祭 菊池 緑
横向きに煙草を吹かす冬帽子 伊藤 天草
冷込みて白菜の玉締りきし 大西 寿翁
  選 者 吟
薄紅葉してより急ぐ気配なし 成川 雅夫
(「栃の芽」誌提供)

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