〈はじめに〉
出雲駐屯地開設10年目の昭和37年1月、第13対戦車隊が創設されました(同年8月、第13師団発足)。平成11年3月には旅団化に伴う改編で第13対戦車中隊として縮小化しましたが、高田初代対戦車隊長の『山椒魂』(=小粒でもピリッと辛い)を『合言葉』に、脈々と伝統を受け継ぎ46年になりました。
しかしながら、平成20年3月25日をもって、第13対戦車中隊は廃止。最後の中隊長として、この幕引きにあたり『伝統』の継承と『有終の美』について特に留意し勤務させていただきました。
〈中隊の伝統〉
『伝統』とは、任務の完遂、訓練練度、競技会優勝といった表面上のものと、検査等における優良な評価、無事故、徹底といった地味な基礎的なものがあります。対戦車中隊は、「持続走」と「地道さ」が伝統でした。これは先輩方の『山椒魂』が脈々と継承され、最後まで諦めず結果を出そうとする執念があったからだと思います。基幹部隊ではないので訓練や行事等、表舞台の「場」は限られていますが、任務の軽重に関係なく一つ一つの「場」を大切にし、シナリオを描き、隊員一人一人が最後の詰めまでよく没頭して任務完遂してくれたと思います。
〈有終の美〉
『有終の美』は単に結果の累積ではありません。3月末の廃止式典をイメージして最大の焦点に見据え、逆行的に目的や中間目標を定めて着々と準備し、シナリオどおり任務を完遂してきた隊員の行動結果の『結晶』だと思います。大勢の把握、決勝点詳細情報の入手・分析、タイミング、隊力の集中(分散)、順序(入れ替え)、不測事態の予測・処置を準備しました。常に0―1、0―2の方針と問題点・処置に疑問を持ち、「更なる不測事態の対処」と、より効率・効果的な「0―3、0―4探し」の発想転換に力を入れていました。
情勢・状況の変化に合わせて方針と要領の変更は頻繁でしたし、地図では「針」で示させ現場では「かかと」の位置で示させる細かさで、隊員は苦労したと思いますが、おかげで動揺せずに予期のとおりで集中して中隊を指揮できました。
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〈廃止業務〉
廃止業務は『静かな戦い』と矢達第4部長から伺っていましたが本当にそのとおりです。現場の問題点・ニーズを早期に把握し、迅速に対応する事が鍵でした。問題点を自隊で解決するか上級部隊等で処置して頂くかどうかの判断は「残された時間」でした。
佐藤旅団長、北崎駐屯地司令には度重なるご指導・ご配慮・機会を頂き大変感謝しております。また、旅団司令部・出雲駐屯地、関係部隊の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。この場を借りて謝ります。「申し訳ありませんでした…でも、『ありがとうございました』」
〈おわりに〉
最後に、個人・チームワーク・組織と、速度が素晴らしくバランスのとれた第13旅団と第13対戦車中隊に勤務できたことに大変感謝しています。第13旅団の皆様と元第13対戦車中隊のみなさんのこれから益々のご活躍・ご発展を祈念いたします。 |