防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2004年5月1日号
1面 2面 3面 5面 9面 11面 12面

危険業務従事者叙勲 6、7、8、9面
(5月1日号紙面をご覧ください)

「かしま」「はまぎり」「うみぎり」出発、
「しらせ」は帰国
<晴海埠頭>
海自第48回遠洋練習航海
8ヵ国12寄港地歴訪へ
出航行事を終えて次々に乗艦する約740名の派遣隊員
(4月20日、東京港晴海埠頭)
 汽笛一声、南米航路──。 海上自衛隊は4月20日、東京港晴海埠頭で平成16年度遠洋練習航海に旅立つ練習艦隊(司令官・東郷行紀海将補)の出発式を行った。嘉数知賢防衛庁政務官、古庄幸一海幕長、横須賀総監・齋藤隆海将をはじめ防衛庁・自衛隊の高級幹部、訪問国や各関係機関からの来賓、乗組員の家族など約500人が列席して練習艦隊を見送った。
 HK岸壁では400人の家族らが、船影が見えなくなるまで手を振って無事を祈り、甲板の乗組員は「帽振れ」で応えた。海自東京音楽隊の「軍艦マーチ」にのって艦隊は埠頭を滑り出し、まずは一路、ハワイを目指す。
 日米交流150年目の今回、訪問国はアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、メキシコ、パナマ、トリニダード・トバゴ、アメリカ、ウルグアイの南北アメリカ8カ国。
 遠洋練習航海は昭和32年から毎年実施され、今年で48回目。初級幹部にとって最初のビッグタスクとなる。乗員は第54期一般幹部候補生課程を修了した約170名の新任3尉、指導要員など総勢約740名。練習艦「かしま」(艦長・林宏之1海佐)と護衛艦「はまぎり」(豊住太2海佐)「うみぎり」(三浦昌伸2海佐)の3艦で艦隊を構成する。
 午前9時20分に嘉数政務官への栄誉礼に始まった式典では、政務官が副長官の訓示を代読。外務大臣に代わり外務省中南米局・坂場三男局長が訓示を読み上げ隊員を督励した。

乗員、一致団結
 続いて古庄海幕長が、現在1100名の隊員が海外で活躍していることを踏まえて「国際感覚を養い」さらに「カリブ海、大西洋と変化のある航海は訓練に絶好、海を好きになり、時に千変万化の大自然の力を知り、司令官の下に一致団結して立派な士官に成長してほしい」と要望を述べた。結びに、隊員家族には今後とも理解を呼びかけた。
 東郷司令と各艦長および実習生代表が支援団体の代表から花束の贈呈を受け、決意の敬礼を岸壁に残して艦隊に乗り込んだ。乗艦者の列に拍手と声援が贈られた。
 遠洋航海を通して海に慣れ、幹部自衛官として必要な知識と技能を体得した初級幹部たちは、諸外国との友好親善の絆を手土産とし151日後、再び晴海に姿を現す。一回り大きくなった一群を乗せ9月17日、練習艦隊の汽笛が秋空に響くはずだ。


(写真・手前に練習艦隊、奥に砕氷艦・晴海埠頭)

 総航程は地球を半周。砕氷艦「しらせ」が「第45次南極地域観測協力」を完遂し、無事に帰国した。艦長・原口一之1海佐以下、乗員171名の胸には青の防衛徽章。海外で活躍した者の証だ。一層逞しくなった隊員を家族が出迎え、151日ぶりの再会を祝った。後部飛行甲板で行われた帰国式典では海幕長・古庄幸一海将から労いの言葉があり、留守を預かった家族の方を振り向いて「無事に艦長以下、総員帰って参りました。今後もよろしくお願いします。今日はありがとうございました」(4月12日、東京港晴海埠頭HI岸壁)

 お台場の高層ビルを背に、ゆっくりと現れたオレンジの艦体。3月上旬から快調に氷を割り北上し、3月26日に67人の観測隊員をシドニーに届けて、以降も順調に航海を続けてきた。
甲板に整列した隊員の輪郭が晴天に浮かび上がった時、それまで穏やかだった岸壁の一隅が色めき立つ。
 10時には予定通り入港。練習艦隊音楽隊のマーチ演奏が「しらせ」に届く距離になると一転して、子供達も静かに接岸作業見守る。    
だが来賓の乗が済むと、再び目に見えてせわしく、300人の隊員家族は堰を切って「しらせ」艦内に吸い込まれた。
 飛行甲板には儀仗隊が整列し古庄海幕長に対し栄誉礼。横須賀総監・齋藤隆海将、防衛部長・倉本憲一海将補、文部科学省の幹部が列席し帰国式典が行われた。原口艦長と隊員の職務精励に対し、2級表彰が贈られた。

「しらせ」飛行甲板で古庄海幕長に栄誉礼
英気は家庭から
 今次は天候に恵まれたものの、基地周辺では係留地点をたびたび変更し、臨機応変に物資の陸揚げを行った。
 これに対し古庄海幕長は「貴重な体験を今後の任務に活かし、更なる活躍を期待」しつつ「引き続き良き伝統を継承し、いかなる困難も克服しうる努力と精進を希望する」と訓示した。「留守を預かったご家族に心から感謝し、引き続きご理解支援を」と呼びかけ、「久しぶりに家族共に過ごし、大いに英気を養い次の任務に備えることを期待する」と隊員を鼓舞した。
 結びに、東京港ポートガイドの脇田久美さんが原口艦長に花束を贈呈した。
科学史に父の足跡
 99日間にわたる南極圏での行動は実に広範囲。 とりわけ野外観測に必要な人員や機材などの輸送では、隊員たちは厳寒の中で4.5キロの防寒衣を着て連日の作業に奮闘した。
 巨大気球実験や観測拠点での深層コア掘削など。観測の成果は宇宙と地球の成り立ちや、3万年以上も昔の南極がどのような姿だったかを解明する。大発見を「お父さんが手伝ったんだよ」と言える日が来るかも知れない。(写真・2月に生まれた第1子と甲板で初対面)

2面へ
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2008 Boueihome Shinbun Inc