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   2004年4月1日号
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春の人事異動 2、3、6面

小泉首相「国際社会に貢献する幹部自衛官に」
防大48期卒業式
理工学部研究科 後期課程から初の卒業生誕生
第48期卒業生が一斉に帽子を投げた
(3月21日、防大50周年記念講堂で)
 文武両道の日々、起床から消灯まで真勇、廉恥、礼節を貫いた青春、ここに卒業──。3月21日の防衛大学校第48期卒業式には、小泉純一郎内閣総理大臣、石破茂防衛庁長官はじめ、衆参国会議員、防衛庁・自衛隊の高級幹部、内外来賓、父兄等関係者が多数列席し門出を祝った。陸上競技場で行われた観閲式では、曹長の襟章をつけた卒業生が陸海空に分かれて整列。留学生も各国の軍服で並んだ。
439名の本科学生と81名の研究科学生は、「朝に勇智を磨き、夕に平和を祈り」、新たな時代のために「築いた礎」を胸に、小原台の学舎を巣立つ。
卒業生代表が小泉首相に宣誓書を渡し固く握手
 歴史の瞬間に立ち会ったかの印象を受ける。正しくは可能性の萌芽だ。卒業生は未来、重大な事態に臨み主役となって決断し、歴史を作るかもしれない。
 本科生から陸自193名・海自109名・空自101名が曹長に任命され、幹部候補生学校に入校する。
 また、大学院課程に相当する研究科の卒業生は、任務遂行に必要とされる高度な理論を修め、それぞれの専門分野で引き続き自衛隊に貢献する。
 理工学研究科前期課程第41期生、総合安全保障研究科第6期生が修士号を取得。理工学研究科後期課程では5名の第1期生が誕生し、卒論の博士認定に期待が集まる。

【日本と世界のために】
 午前10時、50周年記念講堂に小泉首相が臨場し、防大儀仗隊による栄誉礼を受けた。会場には厳しかった学生生活の緊張感がそのままみなぎる。引き締まった空気に隙はない。荘厳な「君が代」が場内に響いた。
 壇上には21名の留学生の祖国、タイ、韓国、ベトナム、モンゴル、シンガポール、ルーマニア、インドネシア、7つの国旗が掲げられた。
 西原正校長が本科学生全員と、研究科学生の代表3名に卒業証書を手渡した後、校旗と日の丸を背に式辞を述べた。
 「習得した知識を活かし精神面をさらに深化させ、国防に当たること」また「任務は予期せぬ時に予期せぬところで求められる」そのための柔軟な思考と洞察力の下地として「歴史書、古典文学に親しみ、海外を旅行して異文化に接すること」「沈着さと自制心と共に、高い道義観を持った指揮官に」と希求した。

【首相、活躍と発展を】
 小泉首相は訓辞でまず、平成3年以来の国際貢献活動の成果に触れ、イラクで活躍中の第27期卒業生・佐藤正久先遣隊長の「日本国民の善意の代表者、実行者として、精一杯人道復興支援に取り組まねばならない」というメッセージを紹介した。さらに36名の女子卒業生には、女性自衛官の活躍範囲の拡大に期待し、21名の留学生には「各国防衛当局の間の強い信頼の絆」となって欲しいと述べた。
 最後に「過去半世紀、2万人を越える先輩達が積み重ねた実績を受け継ぎ、一層の努力により国民と共にある自衛隊、国際社会の平和と安全に貢献する自衛隊の実現を」と呼びかけ、祝いの言葉を結んだ。

陸上競技場で観閲官の石破長官に在校生が栄誉礼
 【長官、新しい時代に】
 「水がほしい、学校に行きたい、医者にかかりたい、そのような願いに真剣に応える義務が我が国にはある」。イラク国民が復興の期待を託す機関の筆頭に日本を挙げていることを踏まえて、石破長官は「国民同士の信頼こそが条約の基礎であり国益」と訓示した。
 第24期卒業生・番匠幸一郎群長はじめ海外で活躍する先輩自衛官の活動が「国民の理解を着実に高め」「世界の人々から高く信頼され評価されるに至った」ことに続けて、シビリアンコントロールに関しての持論を展開。「専門的な知見を有する自衛官が意見を申し述べることは権利であり責務だ」と重ねた。
 結びに「我々は大きな時代の変わり目に生きている。新しい歴史を作っていけることを心より期待し、関係者全員に心より敬意を表したい」と締めくくった。

 【ゆくてに波さかまくも】
 来賓を代表して岡崎久彦元駐タイ大使が、過去400年の世界史を振り返り、50年後の未来に思いを馳せ「日米同盟さえ維持、強化していれば日本の国益は守れる。現在重要なことは集団的自衛権の行使を認めることだ」と祝辞を述べた。
 卒業生代表の齋藤真吾学生が答辞し、力強い決意表明で祝福に応じると、全学生が学生歌斉唱で続いた。一般幹部候補生任命・宣誓では、陸海空の各幕僚長から曹長の任命を受け、自衛官としての決意を「宣誓書」として小泉首相に手渡した。
 祝賀のフィナーレに、「ともに頑張ろう!」と学生長が一喝、一同がいっせいに帽子を宙高く放り投げた。
会場を揺るがす歓喜の叫びを残して、全員が駆け出し、一陣の嵐となって講堂を後にした。

仲間を代表して宣誓を読みあげる齋藤学生

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