初めての観艦式、また観閲艦「しらね」の乗り心地はいかがでしたか?
阿部 艦に乗ったのが初めてだったので、急な階段など無駄のない船の構造や「しらね」はコンピューターまかせでなく、蒸気で動く船だと聞いて驚きました。観艦式では、受閲部隊が線も目印もない海上で美しく整列することにびっくりして、隊員の方でもめったに見る事の出来ない光景だと聞いてますます感激しました。
特にターンして隊列を組み直すのは大変な技術だそうですね。平方さんは今回の観艦式の他にも乗艦したほどの自衛隊ファンだということですが。
驚きは爆発音と隊員の礼儀正しさ
平方 はい。今年の夏には陸上自衛隊の富士総合火力演習にも行って来ました。その時は戦車や大砲をまじかで見て衝撃を覚えたのですが、今回は隊員の方と直接話すことが出来て、また新たな発見がありました。初日は友人からチケットを譲ってもらい乗ったのですが大雨で、船は揺れるし、寒いし、乗客は大騒ぎだったのです。隊員の方々はびしょ濡れになりながら毛布を持ってきてくれたり具合の悪い人を介抱したり皆さん一人ひとりがすごく親切でその対応ぶりはきちっと礼儀がされていました。私たち演歌の世界もかなり上下関係とか規律とかが厳しくて、礼儀作法も叩き込まれるのですが、その自然な振る舞いに感心させられました。今まではメディアの印象で、怖いっていう印象が強かったので、その優しさに驚きました。「あー同じ人間なんだな」っていう。(笑い)
阿部 本当にやさしかった!それと気になったのが、みんな靴がピカピカだったこと。決まりでもあるのかなと思って。
決まりはないと思いますが、学生時代に教育された身だしなみの習慣が体に染み付いているのかもしれませんね。防衛庁でも、制服で汚れた靴を履いている人を見た事がありません。訓練展示では何か、印象に残っている場面はありますか?
阿部 補給艦「はまな」と護衛艦「じんつう」の洋上補給が一番すごいなって思いました。台風の影響で波も荒くて、失敗するかもというアナウンスが流れた程で、固唾を飲んで見守りました。燃料補給だけでなく、実際は物資も提供しあうということで、色んな可能性が広がる支援活動なんだと思います。
それと、爆発音が迫力満点でおなかに響きました。
平方 そうですね。ミサイルの振動はぞーっとしたものがあります。US-1の離着水の展示を見ている時に乗務員をしていた隊員の方が説明してくださったのですが、そうとう難しいらしく、訓練でも事故があるって言うんです。「なんで訓練で」って聞いたら「どんなことがあっても人を助けられるように最悪の状態で訓練は行われる」って。実際とてもきれいに着水するので簡単そうに見えるけど実際は命がけでやってくださるんだ。という感激で胸がいっぱいになりました。
あたたかい長官と海幕長に感激
観閲台の小泉首相の姿を見る事はできましたか。
阿部 今、自衛隊のイラク派遣についていろんな情報が流されている時期なので首相の厳しい表情が伺うことができました。訓示ではイラクの問題についておっしゃっていて日本の自衛隊の力、素晴しさっていうのをこの観艦式うぃ通して、一般の方もそうですし、政治を動かしている方もわかったのではないかなと思います。
お話をされて一緒に写真を撮られた石破長官と古庄海幕長の印象はいかがでしたか?
阿部 お二人ともすごくやさしくて、特に石破長官は怖い感じの方だと思っていたので「船の操縦席に座ってきなさい」と長官自らおっしゃっていただいて光栄でした。古庄さんは海のジェントルマンという感じで、やさしいのだけどきりっとした目元と制服姿が素敵で、あんなかっこいいおじさま見たことない!空と陸の人に会うのも楽しみです。
平方 長官と海幕長は、前回、総火演の時も写真を撮らせて頂いたのですが、一言でお二人ともとてもあたたかいですね。海幕長は私の歌い手の仕事を覚えていてくれたのか「歌のほうはどうだい。頑張っているかい」って声を掛けてくださったんです。現在、私は歌は心がないと歌えないという事に気づいて、どう伝えるかを勉強しているんですが、お二人は会った瞬間にそれを感じるっていうか、それが上に立つ人なのかな。って思いますね。
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