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   2003年5月1日号
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12飛教団
国内初配属2機を公開
T-7早期戦力化へ
 空自第12飛行教育団(司令・大久保淳1佐)では4月12日午前、T-7初等練習機の公開行事式を防府北基地で行った。
 T-7はT-3の後継機として国内で初めて12飛教団に配属されたもので、この日、2機が初公開された。
 式典で、大久保司令があいさつに立ち、ライト兄弟が初めて空を飛んで今年が100周年にあたることについて触れながら「組織を活性化するには新しいことを始めるのが一番」と強調、「T-3に有終の美を飾らせるとともにT-7の一日も早い戦力化、飛行教育に移行しうるような態勢をつくり上げていく」と抱負を述べた。
 次いで、来賓60名を代表して松浦正人防府市長、中司実市議会議長が祝辞を述べた。引き続き、飛行教育・岡崎博3佐のT-7概要説明、T-7初公開などが順次行われ、式典を終了した

アジア太平洋空軍交換将校
最優秀賞にフェラー大尉
熊谷基地
 熊谷基地の日米交換将校・フェラー大尉は恒常業務のほか、在日交換将校間のIT管理、環境改善、厚生活動でのチャリティー活動が評価され、3月21日「アジア太平洋空軍交換将校尉官最優秀賞」を受賞した。
 この賞は、アジア太平洋空軍交換将校の佐官クラスと尉官クラスの中から、年間を通した最優秀者に贈られるもの。
 アジア太平洋空軍の交換将校は、日本、オーストラリア、韓国、タイ、インドの5カ国に尉官、佐官合わせて50人いる。日本には7人が交換将校として勤務している。
 フェラー大尉は、日米交換将校に一昨年就任、今年の10月で2年目を迎える。交換将校の任期は2年だが、大尉は「日米の交流が好きで、もっとその経験を積みたい」また「せっかく覚えた日本の伝統文化を日米の友好に役立てたい」と考え、期間の延長を希望。来年の10月まで留任することになった。
 大尉は、交換将校としての経験に加え、前任地の横田で2年間勤務しており、日本の経験はかなり豊富。さらに、ハワイ出身であるため、まわりに日系人が多く、華道や茶道など日本文化にも触れる機会が多かったという。
 留任希望のもう一つの理由は、ハワイアン・ライフスタイルを日本の人にもっと教えたいと考えること。そのため、大尉は課外活動としてハワイアンバンドを結成、月2〜3回週末にライブを行っている。また、湘南海岸で2回、ハワイアンを披露したり、昨年はCDを出すなど、幅広く活動している。
 日米友好に活躍している大尉は、残念なことに来年は任期が満了する。その後、大尉は自国勤務ではなく世界に出て働きたいと考え、イギリスにある通信部隊のフライトコマンダー(編単隊長)として勤務することを希望している。

全国5ヵ所で陸白イメージ映像大型スクリーン放映
 陸上自衛隊では、青少年や女性を対象に「国の防衛を基本として、多様な役割に即応する陸上自衛隊」をより一層理解してもらうため、全国主要都市5カ所で30秒のイメージ映像を1時間ごとに2回、1週間にわたって放映する。
 これは、陸幕広報室が監修し、301映像写真中隊が製作したもので、各方面隊の地域特性(風景)へ主要訓練、災害派遣活動、PKOなどを映像で表現、各都市の主要行事に合わせて街頭の大型スクリーンで放映される。
 上映時間、主要行事、場所は次のとおり。
 ▽4月29日〜5月5日(博多どんたく)福岡市西鉄駅前ソラリアビジョン▽7月21日〜27日(天神まつり)大阪市道頓堀トンボリステーション▽8月2日〜8日(仙台七夕まつり)仙台市駅前スーパーライザ仙台▽12月19日〜26日(クリスマス)東京都新宿アルタビジョン▽平成16年2月5日〜11日(札幌雪まつり)札幌市読売メガビジョン4プラ

陸自広報ビデオが完成
リアルな映像が魅力
 陸上幕僚監部広報室では陸上自衛隊の広報ビデオ「The shining Ones――輝けるもの――」をこのたび制作、完成させた。
 これまでの陸自を詳しく解説するビデオとは打って変わり、今回の内容は15分間の中に市街地戦闘訓練、幹部レンジャー教育、在外邦人等輸送訓練などの教育訓練をはじめ、PKO活動、災害派遣などを少しずつ散りばめた、陸自の任務のアラカルトといった感じ。
 映像は、映画の予告を見ているような感覚で、実際の訓練の緊迫感や最先端の装備品、凛々しいWACの姿など見せ場の連続。わずかな時間で様々な側面から陸上自衛隊のイメージが広がる。また、過酷な訓練にも真摯に取り組む隊員のリアルな映像はそのまま隊員の魅力となって印象的だ。
 いち早く一般公開された朝霞の広報センターでは、自衛隊イコール災害派遣という認識しかなかった若い主婦層にも「陸自の幅広い活躍を初めて、知ることが出来た」と好評で、、男子学生からは「もっと見たい、自衛隊への興味が深まった」との感想も聞かれた。
 この映像は広報センターや陸自ホームページで見ることが出来る他、各方面総監部や駐屯地、地連等にビデオが配布され、多方面で活用される。
 陸幕では同時に国際平和協力業務の10年間の活動をまとめた記録ビデオ(26分)も完成。カンボジア、モザンビーク、現在も任務が続くゴラン高原、東チモールのPKO活動に加え、ルワンダ難民救援活動の業務内容、解説などが収められている。
 また、これら隊員の作業風景や、現地での交流場面の写真パネルが4月21日から防衛庁A棟1階のロビーに展示される。写真は1カ月半ごとに入れ替えられ展示期間は半年。この機会に各国それぞれの写真を見比べながら10年の歴史を振り返ってみては。

<論陣>
治にいて乱を忘れず
=対イラク情報戦から=
 イラク戦争は情報戦、心理戦が、戦場でものすこい威力を発揮、マスコミをどういう形で利用するかを、いやというほど知った。米英連合軍側は、もっぱら空襲、地上戦での実績をPR。イラク軍側は爆撃で死んだり、ケガを負った女性、幼児の姿を取材させ「無謀な戦争」を宣伝した。攻める側と守る側がそれぞれ全く違ったアングルの"情報"を武器として火花を散らせた。日本でイラク戦争の移り変わりなどをテレビを通して観戦した人達は「一体、どっちの情報が正しいのか」との疑問を抱き、心理戦争のすざましさに目を見張らせていた。
 米英連合軍側は、中央司令部副司令官の准将、少佐、大尉クラスの報道官が、毎日、プレスセンターに現れ、こと細かに作戦の内容を説明。「イラク国民への自由のプレゼントが、いかに兵士を戦死させ、補給がむずかしいのか」をブリーフィングした。
 一方、イラク側は記者団からこっそりと取材費をとって一日に一回か二回、ジャーナリスト達が集まっているホテルのロビーや玄関前で「米英はバクダッドをはじめ、大きな都市を落としたといっているが、あれはウソだ。イラク軍は健在で士気も高く、聖戦(ジハード)として戦っている。敵は善良な女、子供を大量に殺傷させている。この現実を、悲劇を世界の人達に知らせてくれ」と語り続けた。
 心理戦、情報戦が「戦争」を遂行する上で重要なことは分かるが、こんどのイラク戦争ほど"情報作戦"が表面化したことは、これまでの過去の戦争ではなかった。また、両軍が何百人もの記者、カメラマンを軍に同行させたことも初めて見る光景だった。
 湾岸戦争の時、米軍の取材制限は厳しかった。従軍を希望する記者たちは腕立て伏せ50回以上などの体力測定をさせられたのち、指定された日時に集められて大型上陸用舟艇(LST)に乗せられた。報道陣は「いよいよ上陸か」と取材準備を行った。ところがLSTは、何時間も空母の周りを、ぐるぐる回るだけ。その間に米軍は上陸していた。ジャーナリストは怒り狂ったが、あとの祭り。取材は空振りになってしまった。そのごは、もっぱら空母の中や司令部内でテレビで米軍のピンポイント爆撃がいかに正確な作戦であるかをブリーフィングされる場合が多かった。
 報道陣の強硬な抗議に対して米政府はもっぱら「ベトナム戦争時の反省だった」と回答し続けた。そういえば、ベトナム戦争当時、米軍、南ベトナム軍の報道関係者への取材協力は、実に積極的だった。司令部での記者会見でも「いまベトコン(北ベトナム軍)はここに集結している。明日はここをたたく」など、明日の作戦を説明し、希望者にはヘリコプターを提供してくれるほど親切だった。テレビ、ラジオは「明日の米軍の手の内はこうだ」とばかり放送。ベトコン側が、この情報をほおっておくはずはなかった。米軍の作戦の裏をかいて、奇襲、逆襲の場面は数多くあった。これがべトナム戦争で米軍が敗戦してしまった要因とはいえないが、敗戦の一因であったことは間違いなかった。
 この戦訓を元に検討した結果が、湾岸戦争時の厳重な"取材規制"だったのである。ところが、こんどのイラク戦争で米英連合軍のジャーナリストに対する態度は一変した。650人もの報道陣の従軍を認め、人員輸送車(APC)までくり出すサービス振りだった。湾岸戦争後の報道関係者の抗議や、その他の情況から"サービス"に変化したのである。
 いまひとつ、イラクの情報相の毎日の会見での"どしゃ降り"のような情報提供量という怪物が出現したのである。「目には目を、歯には歯を」かも知れないが、イラクに負けないような"情報戦"を展開しなければならなくなった。中央司令部副司令官、各作戦部隊の情報担当官(尉官、佐官)を「報道官」として、連日、対イラク心理作戦を実行した。連日の世界でのニュースは、実は情報、心理作戦だったのである。平時、戦時を問わず「心理戦」は、軍の重大な任務である。
 防衛庁、自衛隊にも「広報担当」は存在し国民、その他に"防衛"を理解してもらうために連日、努力をしている。たヾ、有事のときにイラク戦争時のような厳しい情報、心理戦が展開できるのか。平時のいま、おゝいに対策(作戦)を練っておくべきであろう。

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