防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
spacer
防衛ホーム
spacer
home
spacer
news
spacer
購読
spacer
2022 2024
2023年 INDEX
12月1日 12月15日
11月1日 11月15日
10月1日 10月15日
9月1日 9月15日
8月1日 8月15日
7月1日 7月15日
6月1日 6月15日
5月1日 5月15日
4月1日 4月15日
3月1日 3月15日
2月1日 2月15日
1月1日 1月15日

-

スペーサー
自衛隊ニュース   1106号 (2023年9月1日発行)
-
1面 2面 3面 4面 5面 7面 8面 9面 10面 11面 12面

「まるわかり! 日本の防衛 〜はじめての防衛白書第3版〜」HPで公表
 防衛省は、8月1日、「まるわかり!日本の防衛〜はじめての防衛白書第3版〜」を同省のホームページで公表した。「まるわかり!日本の防衛」は、主に小学校高学年や中高生を対象に、7月に公表した「令和5年版防衛白書」の内容をわかりやすく解説することを目的としており、令和3年に初版が発行されて以降、今回が第3版となる。
 「反撃能力」や「中国の無人機・気球」などの難しい用語や最近注目された事象などを、より平易な言葉で解説する「キーワード」や、キャラクターによる解説コーナーを設け、分かりやすく説明している。さらには、装備品の大きさや速さの比較、自衛官の仕事や生活について質問形式による紹介などを盛り込んだ巻末資料を新たに設けた。
 また、「まるわかり!日本の防衛」の内容を短時間で理解したい読者のために、コンパクトにまとめた資料も省ホームページに掲載している。
 防衛省大臣官房広報課防衛白書事務室は、「わが国の将来を担う若い世代が安全保障や防衛に興味を持った際に、知る機会を提供することで安全保障環境や自衛隊の活動について理解を深めてもらうきっかけになればと思い、作成した。第2版で好評だったキャラクターを今回も使用しているので、地方協力本部等で作成されるビラなどにぜひご活用いただければと思っている」としている。

与那国町長から診療支援に対する感謝状
 8月4日、与那国駐屯地(司令・鵜川優一郎2陸佐)において、昨年11月から島内唯一の診療所である与那国町診療所で診療支援を実施している与那国駐屯地医官の今野光彦3陸佐等に対して、与那国町の糸数健一町長から感謝状が手渡された。
 西部方面隊および与那国駐屯地は「引き続き地域に貢献して参ります」としている。

ノーサイド
北原巖男
覚悟

 8月18日、米国キャンプ・デービッドにて、岸田文雄首相・ジョセフ・バイデン米国大統領・ユン・ソンニョル韓国大統領は、日米韓首脳会合を行いました。マルチ会合の機会ではなく、単独で日米韓首脳会合が開催されたのは、史上初めてとのこと。また、岸田首相とユン・ソンニョル大統領は、バイデン大統領がキャンプ・デービッドに最初に招いた外国首脳となりました。
 会合終了後、「キャンプ・デービッド原則」、「日米韓首脳共同声明」、「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」を発出し、3者は共同記者会見に臨みました。
 これまでの日米韓3か国の協力関係は、主として北朝鮮の核やミサイル開発に対するものでした。
 しかし、今回合意された「キャンプ・デービッド原則」、「日米韓首脳共同声明」は、ロシアのウクライナ侵略、覇権主義的行動を益々強めている中国を念頭に置いて、3か国の協力範囲をインド太平洋地域にまで拡大。同地域の安全保障を中心とした広範囲の協力を、継続的かつ確実に行っていこうとする決意を表明しています。
 曰く、
 「日米韓三か国は、インド太平洋国家として、国際法の尊重、共有された規範及び共通の価値に基づく自由で開かれたインド太平洋を引き続き推し進める。我々は、力又は威嚇によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する。」「日米韓三か国の安全保障協力の目的は、地域全体の平和及び安定を促進し、強化することにあり、また、そうであり続ける。」「何よりも、日米韓が一丸となった時、我々三か国、そしてインド太平洋の力は更に大きなものになると考える。」(「キャンプ・デービッド原則」)
 「我々は、日米同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへ(to new heights)と引き上げる。この新たな時代に共に乗り出すに当たり、我々が共有する価値が我々の指針となり、三か国の5億人の国民が安全と繁栄を享受する自由で開かれたインド太平洋が、我々の共通の目的となる。」「我々のパートナーシップは、我々の国民のためのみならず、インド太平洋全体のためにある。」(「日米韓首脳共同声明」)
そして共同記者会見での岸田首相発言。(首相官邸HPより 筆者抜粋等)
 「・・・今、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が危機に瀕しています。ロシアによるウクライナ侵略により、国際社会は、その根幹が揺るがされています。東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みは続き、北朝鮮による核・ミサイルの脅威はますます増大しています。
 こうした状況において、今、日米韓3か国の戦略的連携の潜在性を開花させることは、我々にとっての必然であり、また時代の要請でもあります。本日、ここに我々3人は、「日米韓パートナーシップの新時代」を拓いていく、という決意を示します。」
 更に、岸田首相は、3か国の協力をいかに展開していくかについて、次の3点を挙げています。
 (1) 日米同盟と米韓同盟の連携を強化し、日米韓3か国の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる。複数領域に及ぶ日米韓共同訓練の毎年の実施、北朝鮮ミサイル警戒情報のリアルタイム共有、北朝鮮のサイバー活動に対するワーキンググループの立ち上げ等。
 (2) 日米韓の連携の推進と、その分野を拡大する。北朝鮮に対する制裁の完全履行・対話・拉致問題、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携、特にASEANや太平洋島嶼国に対する海洋安全保障分野での能力構築支援、重要・新興技術協力、サプライチェーン強靭化等。
 (3) 日米韓協力の枠組みを整備し、3か国の連携を継続的かつ安定的に強化して行く土台を創る。あらゆるレベルで、重層的に連携を進めて行く。少なくとも年1回の日米韓首脳会合開催、外務大臣・防衛大臣・国家安全保障局長もそれぞれ少なくとも年1回会合開催、財務大臣・商務産業大臣会合も実施等。
 今回の日米韓首脳会合で打ち出された安全保障分野を中心とした3か国の連携の強化・拡大が持つ歴史的意義は、大変大きいものがあります。他方、中国は激しく批判しています。
 それだけに、3か国の連携がインド太平洋地域の平和と安定に真に寄与する枠組みとして機能するよう、3か国は一層緊密な会談・意思疎通に努め、相互に信頼関係の下、それぞれに国内政治事情等を抱えながらも、合意内容を確実に実施して行かなければなりません。
 同時に、中国との対話の重要性については論を待たず、これまで以上に機会を捉え、継続して行って頂きたいと思います。
 また、本年12月、東京にて「日ASEAN友好協力50周年特別首脳会議」を開催する我が国にとって、ASEAN諸国(加盟が近い東ティモールを含む11か国)に対する能力構築支援等を含めた関係強化は、喫緊の課題でもあります。
 改めて述べるまでも無く、日本と米国、米国と韓国は、相互に強固な同盟関係にあります。日本と韓国は、同盟関係にはありません。
 今回発出された「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」は、次のように記しています。
 「日米韓三か国は、安全保障上の利益又は主権を堅持するため、全ての適切な行動をとる自由を保持する。このコミットメントは、日米安全保障条約及び米韓相互防衛条約から生じるコミットメントに優先したり、これと抵触したりするものではない。このコミットメントは、国際法又は国内法上の権利又は義務を生じさせることを意図するものではない。」
 こうした前提で、日米韓の安全保障上の協力・連携を考えるとき、同盟関係に無い日韓は、具体的にどのようなときに、いかなる協力が期待され、どのような協力を行うことが出来るのか。また実行しなければならないのか。巷間言われている「台湾有事」が万一生起した場合にはどうするのか。あるいは朝鮮半島有事の際は?国民は、それらの事態に臨んで協力する覚悟は出来ているか。そんな疑問が湧いて来ます。しかし、日韓の信頼関係を前提とした日米間の緊密な連携が、ひいては日米・米韓同盟の信頼性の一層の強化に寄与すると言っても過言ではありません。
 国際公約をした我が国が、その合意に基づいて協力の責任を果たして行くためには、まず国民の理解と覚悟、そして支持を得なければなりません。その上で、日韓・日米韓で早急に詰めておく。課題は多く、そう簡単なことではないと思います。
 日米両国間にあるような外務大臣と防衛大臣による2+2の日韓版を速やかに開設する。日韓が相互信頼を前提とした協力を協議して行くための第一歩と考えます。
 なお、現在世界的に注目されている福島第一原子力発電所からの処理水排出についても、科学的根拠に基づいた分かりやすい説明と関連するデータを全て継続的に公表していく透明性を持った真摯な対応が、既に理解を示してくれている韓国や米国をはじめとする多くの国々との信頼関係維持にとって、欠くべからざることは申すまでもありません。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


NEXT →
(ヘルプ)
-
shop
-
マスク
-
日本の機甲100年
通販部
10
Copyright (C) 2001-2023 Boueihome Shinbun Inc