ゲッキー)今日は、アフガン情勢について伺いたいと思います。背景にはどんな歴史があるの?
宇都)かつて、アフガンはタリバンが政権を支配していて、アルカイダというテロ組織の温床になっていたんだ。2001年9月11日に起きた米国同時多発テロをきっかけに、アメリカはタリバンとの戦争(アフガン戦争)に突入しました。その結果、タリバン政権は崩壊し、新しい新政権はタリバン(パシュトゥーン人)以外の少数民族連合が担うこととなり、親米的な政策を進めることになったんだけど、それからも長いことタリバンとの間で内戦が続いたため、米軍はずっとそれを支援していたんだね。
ゲッキー)
今回急に情勢が悪化したのはなぜ?
宇都)
アフガン軍事介入の良い結果がでないため、予算も犠牲も払い続けることに国内世論が否定的なったアメリカは、トランプ前大統領が、米軍のアフガンからの完全撤退を決めたのです。そして、バイデン大統領は時期を少し延長し、同時多発テロの起きた9月11日までに完全撤退する方針でいました。ところが、米軍が撤退し始めると勢いを取り戻したタリバンが次々と町を陥落させ、あっという間にアフガン全土の殆どを掌握してしまったのです。
ゲッキー)
アフガン政府とかアフガン軍は何をしてたの?
宇都)
ガニ大統領は、タリバンの報復を恐れて、多額の現金を持って国外に逃亡してしまいました。また、アフガン軍も士気・能力が低く、まともな戦闘もできずに侵攻を許してしまいました。現在は、政府と呼べるような秩序を維持できておらず無政府状態で、近々タリバンによる新政権が樹立すると見られています。
ゲッキー)
多くのアフガン人が空港に詰めかけている写真等を新聞で見ました。なぜ国を棄てて国外に逃げようとしているの?
宇都)
かつてのタリバン政権時代を知っている多くの国民は、恐ろしい独裁政治が再来することを恐れているのです。アフガン政府に協力していた者を報復として殺害したり、女性の人権を激しく弾圧したり、理由もなく拘束され留置させられたりするのではないかと恐れているのです。空港には何千人という人が集まっている情報もあります。
ゲッキー)
現地の日本人はどうなりましたか?大丈夫ですか?
宇都)大使館職員の12名は8月17日に全員が国外に脱出し、現在はトルコのイスタンブールで、暫定の大使館業務に当たっています。その他、約10名の日本人が国際機関等で働いていたのですが、それぞれの機関の決定に従って一部は出国したり、一部は現地に留まって引き続き国際機関としての活動をしたりしています。今のところ安全はきちんと確認できていますよ。
ゲッキー)
あんな状態になるなんて、とても怖いですね。何か日本に出来ることはありますか?
宇都)
まだアフガンには多くの米軍人や米国人が取り残されています。国際社会と連携して、その安全な移動等に日本としても協力することが必要です。また、新たに樹立する新タリバン政権に対し、自国民への暴力をやめ、人権に配慮した政権運営を行うように、諸外国と協力して促していかねばなりません。
また、日本もアフガンを他人事と考えずに、日本の安全はキチンと自衛隊が守れる体制を日頃から整えておく努力をすることです。同盟国が積極的に日本を守るのではありません。私たち日本人が自らの手で日本を守ることが重要なのです。
宇都隆史(自由民主党参議院議員、現外務副大臣、元航空自衛官)
昭和49年生まれ、鹿児島県出身。平成10年に防衛大学校卒業(第42期)、航空自衛隊入隊。平成19年に政治の道を志して退官。平成22年自民党比例区で参議院議員に初当選。 |