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自衛隊ニュース   893号 (2014年10月15日発行)
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松島基地で
自衛隊記念日行事の体験飛行
スペシャル企画も!
 10月4日、自衛隊記念日行事の一環として各地で「体験飛行」が航空自衛隊主催で行われた。松島基地(CH—47J)・入間基地(CH—47J)・小松基地(C—1)・新田原(CH—47J)の4基地で開催され、約10倍の「抽選で勝ち取ったハガキ」を手に、それぞれの基地で有意義な体験をした。
 松島基地では、初めての自衛隊記念日体験飛行。1回30名搭乗を4回行った。地元からのみならず、山形や秋田から「何かあったら困るから朝4時に出て来た」人や「おじいちゃんが連れて来てくれた」「他基地に応募したことがあるけど初めて当選した」人などが参加した。
 飛行場のCH—47Jの後方には、民間のクレーン車やダンプが見える。施設隊が作った津波対策の堤防の外側に、県や国が堤防を作る工事をしている車両たちだ。
 「ヘリの揺れは普通の飛行機と違って身体にずんずん来た」体験飛行が終わったあとは、松島基地ならではのスペシャルな体験が待っていた。CH—47Jから飛行場に降りるとバスに乗り換えそのまま第11飛行隊の隊舎前へ。なんと格納庫を経由して出口に向かうという。「うっそ〜〜、ブルーインパルスがこんな間近に!」「大きいね」と、機体をカメラに収める人、機体と一緒にカメラに納まる人、上から撮影する人など様々にスペシャルな時間を過ごしていた。
「久しぶりにブルーインパルスを見ました。早く飛んでいるところが見たい。松島航空祭が再開することを祈っています」と福島から来た女性。きっと皆同じ思いだろう。

元気です。松島基地
 東日本大震災で大きな被害を受けた航空自衛隊松島基地の復旧は着々と進んでいる。
 管制塔は今年3月3日に「新管制塔」の運用を開始し、3年間松島で活躍していた移動管制隊の移動式ラプコン装置レーダー・タカン装置などは百里に戻った。また、簡易格納庫で凌いでいた松島救難隊も今年3月27日に新格納庫が完成した。場所も移動し、約4メートルかさ上げした新格納庫は、約3000平方メートルあり洗機システムも備わった優れもの。そして、第11飛行隊ブルーインパルスの格納庫も約4メートルかさ上げした新格納庫が今年3月31日に運用開始となった。来年度末には他の駐機場や格納庫もかさ上げ等が完成する予定。
 基地の外周には、北、中、西、南混隷下の航空施設隊からのべ約9、500人を動員して作った。2メートルを超す高さの堤防が約4キロメートルに亘り続いている。その外側には国や県の堤防を作る作業車の姿が見える。
 基地の中は民間のダンプカーが行き交い、多い日には1日500台が出入りするという。そして、クレーン車やシャベルカーがあちらこちらで作業をしている。間もなくこれらの民間の作業車がいなくなり、新しい基地の顔を見せてくれるのであろう。
 松島基地周辺も今年から稲の栽培を再開し、大豊作だという。矢本駅前には、「この地域一番のイベント」として「松島基地航空祭」の看板が掲げられていて、地元住民の松島基地への愛情を感じる。
 一方で、基地から少し離れると仮設住宅が何カ所もある。そして基地の至るところに書かれている「津波到着ライン」。全国の自衛隊員が全てを懸けて国民の生命と財産を守ろうとした事を忘れてはいけない、生まれ変わりつつある元気な松島基地を見ながら感じた。

アジア大会体育学校選手団帰国
 9月19〜10月4日まで韓国・仁川で行われた第17回アジア競技大会に自衛隊体育学校(学校長・保坂一彦陸将補=朝霞)から23人の選手、12人のコーチ・役員が派遣され、金1・銀5・銅4、15人の選手が計16個のメダルを獲得した。(金、銀は本文を、銅メダルは別表参照)
 体校選手で唯一の金メダルを獲得した男子50km競歩の谷井孝行2空曹は、惜しくも45km地点で失格となった山崎勇喜3陸尉と共にハイペースで3位の選手を突き放し、日本歴代2位の3時間40分19秒でゴール。レスリングではグレコローマン80kg級で鶴巻宰1陸尉がアジア大会2大会連続の銀。水泳100m×4自由形リレーのメンバーとして予選、決勝を戦った原田蘭丸2海尉は決勝で48秒49の好タイム(前回アジア大会では同種目決勝で49秒16)を記録し銀メダルに貢献した。近代五種(男子=三口智也3陸曹、藤井真也3陸曹、岩元勝平3陸曹 女子=山中詩乃3陸曹、島津玲奈3陸曹、伊谷温子2海曹)では男女ともに団体で銀。岩元3陸曹は馬術で首位、山中3陸曹はコンバイド(射撃と800m走の複合競技)で2位、島津3陸曹が総合5位入賞など個人でも好成績を収め団体優勝に貢献した。坂本圭右2陸曹が銀を獲得した、フェンシング男子エペ(エペは頭部を含む全身を突く)は強豪カザフスタンを準決勝で破っての価値あるものだった。
 帰国後、メダリストをはじめ体校関係者は連日防衛省を訪れ、6日に谷井2空曹が斎藤治和航空幕僚長に帰国報告を行ったのを皮切りに、江渡聡徳防衛大臣(9日)、岩田清文陸上幕僚長(8日)、河野克俊海上幕僚長(6日)に帰国報告を行い、アジア大会での功績を讃えられ温かな労いの言葉を受けた。
 中でも、競歩の世界規模の大会で日本人初の優勝という快挙を達成した金メダリスト・谷井2空曹は、廊下に並ぶ大勢の隊員たちの万雷の拍手を浴びて空幕長室に向かい歩を進め、感激の面持ちで「自分は幸せな環境で競技が出来ているんだなと、改めて思いました。世界陸上、五輪でのメダルを目指してまた一から頑張ります。今後も応援の程、宜しくお願いします」と挨拶。幕長室で申告を受けた斎藤空幕長は「おめでとう、実に嬉しいです。ご苦労さまでした。次の高みを目指してガッツで頑張ってください。これは、君が優勝したら航空自衛隊の隊員から贈ると(幕長が谷井2曹と)約束していた品です」と、谷井2空曹がレース前に必ず食べるというゲン担ぎのラッキーアイテム、チョコ菓子"コアラのマーチ"30箱を贈呈した。これには、やや緊張の面持ちだった谷井2空曹も相好を崩し、「レース前に食べた時に好成績が出て以来、欠かさず食べています。30箱…レース前は勿論、私生活でも娘と一緒に食べます」とホクホク顔だった。
※仁川アジア大会・自衛隊体育学校の銅メダリスト▽レスリング・フリースタイル61キロ級=高塚紀行2陸曹▽ボクシング・ライトウェルター級=川内将嗣2陸尉▽射撃・ライフル射撃50m3姿勢団体=山下敏和1陸尉、松本崇志2陸尉、谷島緑2陸曹▽男子近代五種個人=岩元勝平3陸曹

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