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自衛隊ニュース   2013年12月1日号
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各地で広報などに貢献
砕氷艦「しらせ」・南極の氷
 11月8日に東京・晴海ふ頭から南極へ向かった砕氷艦「しらせ」(艦長・日高孝次1海佐)。出国前には、8月28〜10月2日までの間、各種の訓練を実施しながら全国各地を寄港し、一般公開等を行い多くの市民を集めた。

期待を背に南極へ旅立つ
晴海で第55次南極地域観測協力の出国行事
「忍耐強く最善を尽くしてもらいたい」(河野海幕長)
 砕氷艦「しらせ」(艦長・日高孝次1海佐)による第55次南極地域観測協力の出国行事が11月8日、東京・晴海ふ頭で行われた。
 横須賀地方総監・武居智久海将を執行者に行われた出国式典には、家族や関係者など約800人が参列。河野克俊海上幕僚長の出迎え・栄誉礼、日高艦長による海幕長への出国報告、松村五郎統合幕僚副長の代読による岩崎茂統合幕僚長の訓示、河野海幕長の壮行の辞などが行われた。
 河野海幕長は「各人がそれぞれの持場において平素から培ってきた実力を存分に発揮することを期待する」などと激励の言葉を贈るとともに、ここ数年の極めて厳しい氷の状況から、過去2年連続で昭和基地沖へ接岸できない状況下での任務(搭載ヘリなどによる物資のピストン輸送)になっていることに触れ、「困難な局面に際しても最後まで忍耐強く最善を尽くしてもらいたい」と期待を寄せた。
 その後、船上で隊員と家族が出国前のひと時を過ごしたのち、盛大な見送りを受けて出港した。昭和基地の越冬成立のため物資の輸送、越冬隊員の交代という重責を担う「しらせ」は11月22日にオーストラリアのフリーマントルに入港、観測隊を乗艦させ南極圏へ向かう。日本への帰国は来年4月7日を予定している。

一般公開約6400人来艦
ひと目見ようと
十勝港に「しらせ」初寄港
帯広
 帯広地本(本部長・山下和敏1陸佐)は、9月6日〜9日まで、広尾町の十勝港第4埠頭で実施された海上自衛隊横須賀地方隊・砕氷艦「しらせ」の艦艇広報を実施した。
 「しらせ」は6日午前10時に入港し、歓迎行事に引き続き特別公開。7、8日は午前9時から午後4時まで一般公開を実施した。6日の特別公開は地元小・中・高生約100名、関係者約50名に対して行われ、一般公開は、両日とも雨模様だったが、「しらせ」をひと目見ようと2日間で約6400人以上が来艦した。岸壁ではミニ制服の試着や南極の氷の展示も行われ、特に最終日は日曜とあって約3500人の来艦者を迎え大盛況だった。来艦者からは「どうやって氷を割って進むんですか?」「何mの氷の厚さまで進めるんですか?」「凄く大きい!」などの感想が寄せられていた。
 また、帯広地本キャラクター海上自衛官の「ひマリン」も登場し、艦艇広報の盛り上げに一役かった。第4普通科連隊(帯広)の支援による96式装輪装甲車、軽装甲機動車の装備品展示も来場者に大好評だった。
 帯広地本は、「これからも海上自衛隊と連携し、積極的に地域の皆様に自衛隊活動に対する理解の深化を図っていく」としている。

氷に負けないで
「しらせ」へ 応援メッセージ
沖縄
 沖縄地本(本部長・本松敬史陸将補)は、砕氷艦「しらせ」の寄港に際し、課外授業や校外学習(特別公開)に参加した県内の小学児童達からの「しらせ」乗員への応援メッセージを収録したビデオレターを作成した。
 課外授業や特別公開の際にお世話になった児童らが「しらせ」乗員に対し任務達成を願って応援メッセージを送りたいとの声に応え地本が支援したもの。贈呈式は、砕氷艦「しらせ」後援会のオーロラ会(会長・茂原清二氏)事務局長・大木淳氏、沖縄出身のソプラノ歌手・宮良多鶴子女史の尽力により、10月28日に海上幕僚監部で本松本部長と第55次日本南極地域観測隊副隊長兼越冬隊長・牛尾収輝氏同席の中行われ、宮良女史より児童達の元気な歌声やメッセージを記録したDVDと児童達の手紙を綴った文集等が日高艦長へ手渡された。
 「しらせ」は2年連続で厚い氷に阻まれ昭和基地へ接岸することができなかったが、今回はこの応援メッセージに込められた沖縄の児童達の熱い思いが氷を砕き、無事接岸できることを願う。

石巻の艦艇広報に7000人超
震災後初の港湾感謝祭に「しらせ」
 宮城地本(本部長・笹木明仁1陸佐)は8月31〜9月1日、震災後初となる宮城県石巻市主催の第11回港湾感謝祭に招かれた砕氷艦「しらせ」の一般公開を支援した。一般公開に先立ち行われた入港歓迎式では、日高艦長が石巻市より花束を受け取り、「艦内を見学することで、多くの市民に気分転換を図ってもらいたい。南極観測業務の理解に繋げて欲しい」と挨拶した。
 艦内では、観測隊員の宿泊部屋の狭さや艦橋から見える景色の良さに来場者はそれぞれ驚きを見せていた。格納庫には観測隊防寒服の展示をはじめ南極の氷や石に触れられるコーナーが設けられ、普段見ることができない南極の石を珍しげに眺めて記念撮影を行っていた。岸壁では、国土交通省・海上保安庁などが広報ブースを出す中で宮城地本は募集広報ブースを展開。1/2tトラックの展示やミニ制服の試着を行い、訪れた募集対象者の獲得に努めた。また、「海まさむね君」の着ぐるみが登場すると多くの家族連れや子ども達で記念撮影の長い列ができた。
 残暑が厳しい中にも関わらず2日間で7000人を超える来場者が乗艦し、多くの人に南極観測船業務の理解を広めるとともに環境の大切さを発信した。
 宮城地本は、「今後とも各種イベントにおいて支援を積極的に行い、自衛隊と自衛隊の活動に対する理解の促進に努めていく予定である」としている。

「しらせ」
県民の関心高く
小学校2校に南極の氷贈呈
高知
 高知地本(本部長・佐藤文章1陸佐)は9月20日に奈半利町立奈半利小学校へ、9月25日には、いの町立川内小学校へ、それぞれ南極の氷を贈呈した。
 この氷は今年4月に南極から帰還した砕氷艦「しらせ」が持ち帰ったもので、9月27日の「しらせ」の高知新港入港に先立ち高知地本広報班長の三輪3海佐より氷の説明と贈呈が行われた。当初スライドを使って南極の概要を説明した後、氷を実際に触ったり、気泡のはじけるパチパチという音に聞き入ったりして思い思いに楽しんでいた。
 南極には富士山よりも高い4500mもの氷の層があることや大陸の総面積が日本の約36倍であることなどが広報班長から説明されると子供たちは目を丸くし、「南極にはどんな動物がいるの?」「氷は何℃でできるの?」といった質問が飛んでいた。
 高知地本は、「この様子はNHKや地元テレビ局のニュースでも紹介された。例年実施されている事業ではあるが今年は、『しらせ』の高知港入港を控えていたため県民の関心も高く、効果的な広報活動が出来たと思われる。今後もこのような活動を通じて引き続き自衛隊に対する理解と関心を高め、防衛基盤の充実を図って行きたい」としている。

浜松市の小学校で南極の体験学習
「しらせ」元乗組員が夢の大切さ語る
静岡

 静岡地本浜松出張所は、9月10日、浜松市立南の星小学校で南極についての体験学習を実施した。
 講師として「しらせ」乗組員だった松下永樹2海曹(伊東地域事務所)が南極の概要や当時の勤務の様子などを映像やクイズを交えて分かりやすく紹介。その後、南極の氷に触れる体験や展示品の見学も併せて実施した。
 参加した6年生児童・教員約100名は終始真剣な面持ちで松下2曹の話に耳を傾けていた。クイズに積極的に手を上げ回答したり、南極の氷に閉じこめられた空気が弾ける音には、「パチパチと音が聞こえた」などと目を輝かせていた。
 松下2曹は南極を紹介した本との出会いから海上自衛官になる夢を努力して掴んだ経験を語り、「ぜひ、皆さんも夢と希望をもって何事にも挑戦してほしい」とエールを送った。
 浜松出張所は、「今後もこのような学習の機会を積極的に設け、自衛隊への関心を高めて貰うよう努めていく」としている。


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