防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   2011年12月1日号
-
1面 2面 3面 4面 5面 8面 9面 10面 12面

いざ、南極へ
砕氷艦「しらせ」
白瀬探検隊から100年、見送り1000人が無事祈る

 砕氷艦「しらせ」(艦長・中藤琢雄1海佐)の第53次南極地域観測協力の出国行事(執行者=横須賀地方総監・河村克則海将)が11月11日、東京港晴海埠頭で行われた。白瀬南極探検隊から100年、悪天候にもかかわらず約1000人の家族、関係者が乗組員175名の海自隊員たちを見送った。総行動日数151日、南極圏行動日数98日、総航程は約2万マイル。来年4月9日に帰国予定。

 当日はあいにくの雨。気温も低く寒かったが、朝早くから多くの家族、関係者が見送りに集まった。
 10ヵ月の双子の赤ちゃんをおんぶとベビーカーで連れ千葉から来た37歳の女性は「主人は今度で連続3回、合計5回の乗船。無事に帰ってくれれば」。
 静岡から来た71歳の男性は「妻と娘と3人で見送り。娘婿が3度目の乗船です。仕事ですから全うしてもらいたい。孫のことは任せてください」。お孫さんは4歳と1歳半とのこと。
 午前10時、「しらせ」に杉本正彦海上幕僚長が乗艦。観測デッキで乗組員から栄誉礼を受け、続いて士官室で中藤艦長から折木良一統合幕僚長(代理で副長)への出港報告に河村総監と陪席。雨のため格納庫で統幕長訓示(副長代読)のあと、壮行の辞を述べた。
 杉本海幕長は「白瀬中尉が率いる南極探検隊が開南丸でシドニーを出港した年から百年目。天候と装備の制約から、引き返すという苦汁の決断をしたが、隊員の命を失うことなく無事に帰還した。最善を尽くしてもらいたい」と話した。
 その後、船上で隊員たちは家族と最後のひととき。あちらこちらで子供を抱き上げるなどして家族と記念撮影。中には母親からたくさんのスルメイカの干物を人前で渡され、恥ずかしがる隊員もいた。
 出港見送りでは東京音楽隊の演奏の中、「しらせ」は多くの人々に見守られながら、ゆっくりと岸壁を離れていった。「ヤバいよ…」と言いながら涙ぐむ若い男性。旅客ターミナルのデッキ端で傘をさしたままいつまでも離れずにいる女性の姿も見られた。
 「しらせ」の"往路"は、11月25日にオーストラリアのフリーマントルに到着後、第53次南極地域観測隊等73名を乗せ、12月中旬に氷海へ進入。来年1月上旬に南極の昭和基地沖に到着の予定。
 "復路"は、2月中旬に第52次越冬隊員等72名を乗せ南極を出発し3月上旬に氷海を離脱。同18日にフリーマントルに寄港して南極地域観測隊を降ろしたあと、4月9日に東京港晴海埠頭へ帰国する予定。
 南極観測実施の中枢となる国立極地研究所によると「今回は国の6ヵ年計画の中で2回目の観測隊派遣。前回に引き続き地球温暖化について観測・研究を行うことが重点」という。


青空の下 笑顔輝く
第59回防大開校祭
東ティモール留学生ブースも

 防衛大学校(五百籏頭眞学校長)は11月12、13の両日、横須賀市走水の同校キャンパスで第59回開校記念祭を行い、晴れわたる青空の下、両日併せて約2万3500人が訪れた。
 主要行事として、初日は訓練展示、顕彰碑献花式、展示降下が行われ、翌13日は午前中に観閲式、午後に体育祭(棒倒し)を行った。観閲式では、中江公人防衛事務次官をはじめとする防衛省・自衛隊関係者など来賓や、招待者、一般来場者で観覧席は溢れんばかり。五百籏頭校長を観閲官とし、学生隊による観閲部隊の栄誉礼に続き、巡閲と観閲行進の間に学校長式辞と、青空をバックに、ブルーインパルスの祝賀飛行。陸自第1空挺団の空挺降下、防大儀仗隊のファンシードリルも彩りを添えた。学校長は訓示の中で、「今後の国と国民の安全は諸君の手にある。諸君の屈することのない研鑽、重大な事態に対する、単に観念上ではない現実の対処を持っての勉学と訓練を日々重ねるよう」要望した。
 午後に行われた防大伝統の棒倒しは、大隊の勝利と誇りと名誉とを掛け、気合いの掛け声が小原台に終始こだまし、見る者の心を揺さぶった。固いクレーの地面に身体を叩きつけられることも厭わず、ガムシャラに棒を倒そう、守ろうと必死な選手たち。応援の学生や来場者も声をからし、顔を真っ赤にして、選手の背中を後押しする。激闘の末に勝利した3大隊は試合後、キャンパスのメインストリートを凱旋行進。来場者から拍手喝采を浴びていた。
 両日とも、校内では研究室の一般公開、武道各部の演武や文化部の演奏・優秀演劇の発表、展示などが行われ、日頃の勉学・校友会活動の成果を、一般来場者や来賓、生徒の家族・友人・知人に広く知ってもらう機会が設けられたほか、学生による飲食売店や野外ステージにおけるAKB48の総選挙を模した1大隊「1BN総選挙」など、工夫を凝らした楽しいイベントも数多く、防大生、来場者とも笑顔の絶えない2日間だった。開校祭統一テーマ"結"にふさわしい、参加した人々を結ぶ磁場となり、大成功のうちに幕を閉じた。


Home
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2014 Boueihome Shinbun Inc