【1 はじめに】
財団法人自衛隊援護協会から進路設計相談員として青森駐屯地に配置されたのは平成13年4月1日でした。3年間の勤務を終え平成16年3月31日に定年退職予定です。日頃私が業務を通じて感じている事を紹介します。少しでも定年退職予定者や任期制隊員の再就職の参考になれば幸いに思います。
【2 民間企業の実態】
最近の我が国の経済状態はどうだろうか。企業倒産、リストラによる解雇等全般的にはデフレ経済の環境下にあり長引く不況からなかなか脱却できない状況であります。企業は企業の存続を維持するために、常用雇用を削減するなどの合理化に努めております。その中で、現在は自衛隊退職予定者の多数期に入っており、再就職を希望する自衛官にはまさに厳しい状況であります。このような厳しい環境での再就職は、退職予定自衛官自身の更なる意識改革が必要であろうと考えます。
【3 意識改革】
人生80年という時代に突入してきました。自衛官の場合は54歳から定年を迎えますが、定年は人生の一通過点と考え、第2の人生の始まりと思っては如何でしょうか。中には「第2の人生だから楽な仕事はないか」「女房が働いているので週3日位の仕事がしたい」等々甘い考えを持っている定年退職予定者がおりますが、この考えは払拭していただきたい。このように勤務意欲のない人を企業は求めておりません。今各企業の求めている人材とは、真に企業の利益向上に役立つ人間のみという事を真剣に知ってほしい。
【4 各部隊へのお願い】
(1) 任期制隊員に対する親身な就職指導
任期制隊員においては、曹候合格は非常に厳しく大半は社会に出ていかなければなりませんが、多くの任期制隊員は曹候に合格し自衛隊で生活したいというのが本音です。退職予定隊員には、個人の幸福を考え是非公的資格を取得する機会を与えてほしい。特別な資格技能を有している人はどうしても再就職には有利です。
(2)健康管理について
定年退職予定者において、入社試験時生活習慣病等により不採用になった隊員もおります。現職中にしっかりと治療し、定年直前になって慌てないようにしましよう。
(3)援護センターへの訪問
援護センターでは、毎週職業安定所から新求人情報を収集し、いつでも閲覧できるようになっておりますので援護担当者等気軽に訪問し、援護センターとの意思疎通に努めてはどうでしょうか。この事により企業の賃金や雇用情勢の厳しさがわかり定年退職予定者等に対する教育にも大いに役立つと思います。
【5 おわりに】
以上、私の日頃感じている事を抽象的に記述しましたが、少しでも参考になれば進路設計相談員として、また自衛隊OBとしてこのうえない幸せです。最後に厳しい再就職への道ではありますが、1人でも多くの退職自衛官が安定した企業に就職できるよう切に望むものであります。
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