イラク復興支援特別措置法にもとづく派遣命令を受けて24日、「イラク復興支援派遣輸送航空隊」が第1輸送航空隊を中心に編成を完結。愛知県の小牧基地第1格納庫で派遣部隊の「編成完結式」を行った。26日からクウェートに向けて出発、到着後は人道支援活動の調整作業を開始した。 小牧には地対空ミサイル対策でブルーグレーに塗られたC-130輸送機が待機。小泉純一郎首相、石破茂防衛庁長官、川口順子州相ら政府要人、石川亨統合幕僚会議議長、津曲義光航空幕僚長らが臨席した。隊員の家族たち45人も見守るなか、香川清治司令が石破長官に編成完結を報告し、隊旗を授与された。自衛隊の最高指揮官である首相が、海外に派遣される自衛隊の部隊編成完結式に出席したのは初めて。 【首相、期待と激励】 隊員一人一人と握手してまわった小泉首相は、日本の発展と繁栄は「世界の平和と安定があってこそ成し遂げられる」ことを踏まえ、「他国の平和復興のために力を尽くして」「厳しい状況を想定し、訓練に耐えてきた努力に心から敬意を表し」「日ごろの訓練によって鍛えられた平常心、勇気と自信をもって、立派に任務を果たすことを確信して」心から祈念し激励する、と訓示した。 【長官、信じて万全期す】 「廃墟の中から立ち上がり世界主要国の一員となったわが国が、イラク国民に手を差し伸べるのは、ほかの国にはなしえない意義を有する」と訓示したのは石破茂防衛庁長官。国益の観点からも歴史上の意味においても「極めて重要な意義がある」と強調した。 テロ行為に対し、「わが国として毅然たる姿勢を具体的に示す」こと。そして国連決議に応え、「自由と民主主義そして人権の尊重という共通の価値観を有する国々とともに立ち向かう」ことは、国連の主要な加盟国である我が国の「果たすべき責務だ」と述べた。 中東地域に石油を依存する日本が、「中東地域の安定は諸国の努力によって達成してもらいたい、安定したあとの利益は日本が享受するなどという姿勢が国際社会において決して通用するものでない」との認識を力説した。また日本にとって唯一の同盟国である米国に「出来る範囲で協力するのは同盟と安保体制をより強固なものとする」との考えを述べると同時に、「隊員の安全に配慮」し、「文民や民間人であれば危険を避けることができなくても、日夜訓練に励んだ諸官であれば立派に危険を避け任務を完遂することができる」「リスクを賭けてでも守らねばならないものがこの世の中にはあると信じる。諸官が任務を全うすることを信じ、そして愛する家族のためにも政治としてできる限り全てのことを果たす」と派遣部隊を励ました。