防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
spacer
防衛ホーム
spacer
home
spacer
news
spacer
購読
spacer
2022 2024
2023年 INDEX
12月1日 12月15日
11月1日 11月15日
10月1日 10月15日
9月1日 9月15日
8月1日 8月15日
7月1日 7月15日
6月1日 6月15日
5月1日 5月15日
4月1日 4月15日
3月1日 3月15日
2月1日 2月15日
1月1日 1月15日

-

スペーサー
自衛隊ニュース   1096号 (2023年4月1日発行)
-
1面 5面 6面 7面 8面 10面 11面 12面

ノーサイド
北原巖男
スタートに添えて

 月日の経過は正に脱兎の如き速さで進み、早や4月、新年度がスタートしました。
 国際安全保障環境は、混沌とし全く予断を許しません。むしろ緊張が高まっています。こうした中、3月28日には、防衛力を抜本的に強化して行く初年度として、史上最高額6兆8219億円の2023年度防衛関係予算が成立しました。
 これからも浜田防衛大臣を先頭に、防衛省・自衛隊の全隊員挙げて、国民の理解と支持を得て行く丁寧な説明努力を継続されると共に、予算の公正・適切な執行に努めて行って頂きたいと思います。
 隊員の皆さんの使命は重く、責任は重大です。しかし、それだけにやりがいがあると言えるのではないでしょうか。矜持と謙虚さを併せ持つ健全な社会人・自衛隊員として、大変な時ほどプラス志向で、お互いに力を合わせて取り組んで行ってください。そんな皆さんに心から力いっぱいの声援を送ります。
 皆さんは、新社会人として自衛隊に入隊したばかりの隊員でしょうか。それとも課程教育や部隊訓練を終了したり、新たな任務や勤務地等で夢や期待あるいは一抹の不安を抱きながら新年度を迎えた隊員でしょうか。年度をまたいで取り組むべき懸案事項に腹をくくって闘志を新たにしている隊員でしょうか。別に何も変わらないなぁとつぶやきながら本稿を読んでいる隊員でしょうか。正に一人ひとりの隊員それぞれの新年度のスタートですが、皆さんは、みんな国民のための自衛隊の国民と共に在るか
けがえのない自衛隊員です。
 〇皆さんの中には、東京都立豊多摩高校の卒業式でいつも読み継がれている「三つのイメージ」として著名な詩「あなたへ」をご存知の方もおられると思います。同校出身の詩人谷川俊太郎さんが、今から55年ほど前に母校の後輩達に贈った詩です。「同窓たちは、時折、それぞれの歳にふさわしく噛みしめなおす。もちろん、私も。」(46期 里憲治 同窓会報第65号)とのこと。
 僕は同校との関係はありませんが、折に触れて読み返すとき、今直面している事象、抱えている事象、生起している事象を、自分はどう考え、どう行動していくか、自分自身の在り様を追求して行くヒントを投げかけてくれているように捉えています。
 この詩は、次のような表現で終わっています。
「あなたに
 火と水と人間の
 矛盾に満ちた未来のイメージを贈る
 あなたに答えは贈らない
 あなたに 一つの問いかけを贈る」
 火・水・人間・・・3段に分かれた約60行の長い詩。時間の許すときに、インターネットで検索してみてください。
 〇僕は、3月18日に公益財団法人オイスカ西日本研修センター(福岡市)で行われた令和4年度海外研修生研修修了式に、東ティモールの人材育成を温かく支援してくださっている一般財団法人新倉会理事長の名代として参加する機会を得ました。
 約1年間、環境保全型農業の研修に全力で取り組んで来た修了生は、軍がクーデターを起こして2年、未だ混乱が続いているミャンマーからの女性を含め、フィジー・インドネシア(女性)・マレーシア・モンゴル・東ティモール・パプアニューギニアの7か国7名。彼らの日課は、毎朝自国の国旗を掲揚することからスタートします。自分は国を代表しているんだとの自覚や母国への思いや誇りを込めて国旗を高々と掲揚。冬の寒さの中でも背筋を伸ばして国旗を掲揚して来たとのこと。
 修了生に贈られた中野悦子オイスカ理事長のはなむけの言葉。
 曰く、「一生懸命頑張っても、収穫するときに台風等の自然災害に遭うかもしれません。それでも、今出来ることを精一杯やらなければ、何も出来ません。」
 曰く、「私たちは、大自然の大いなる営みの中に生かされていることに気づかされ、作物を育てることによって、自分のわがままな心に打ち克ち、謙虚さと感謝の心を持つことが出来るようになります。」
 曰く、「大事な自分の人生を、自分の幸せだけを追求するのではなく、人々から、ありがとう、嬉しかったよ、と感謝されるような人生を歩んで行って欲しいと願っています。皆さん達は、その覚悟さえあれば、必ず心豊かな人生を歩んで行くことが出来ると信じています。」
 懸命に研修生に伝えようとされている核心は、一見農業とは関係が無いように思えた国民の負託に応えるため防衛の任に邁進している隊員の皆さんにも共通するのではないか、僕にはそう思えました。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


NEXT →
(ヘルプ)
-
shop
-
マスク
-
日本の機甲100年
通販部
10
Copyright (C) 2001-2023 Boueihome Shinbun Inc