10月18日から25日の間、海上自衛隊幹部学校(学校長・江川宏海将=目黒)は、「第11回西太平洋海軍シンポジウム次世代海軍士官短期交流プログラム(以下「WPNS STEP」)を開催した。本事業は海自幹部学校が主催する次世代海軍士官の人的交流の場として平成23年から行われているもので、今回はアジア・太平洋諸国26カ国から海軍大学の少佐や大尉相当の士官等29名と、海上自衛隊幹部学校第71期幕僚課程学生34名が参加。研究会、講義、部隊研修等を通じて我が国の安全保障、防衛政策及び防衛力整備、および歴史・文化等への理解を深めつつ、多国間協力の礎を築いた。
江川学校長は18日の開会式で分断と対立が顕在化している現代の国際社会において「本セミナーの目的は参加者同士の意見交換を通じた相互理解の促進にある。相互理解は、我々が直面している様々な課題に対し、協調して努力を継続するための第一歩である」と本事業の意義を強調するとともに、「今回のセミナーによる参加者相互の交流が、自由で開かれたインド太平洋の維持に資する海軍間協力を進展させ、ひいては共存共栄の国際社会の形成の一助となることを祈念する」と参加者たちに呼びかけた。
参加者らは横須賀基地で艦艇見学を行ったり富士吉田市で日本文化にも触れた。研究会では「海洋秩序維持・強化のための海軍間の取組」をメインテーマとして、「意図しないエスカレーション防止のための信頼醸成に向けた取組」、「人道支援・災害救助(HA/DR)における多国間協力の推進等」、「安定した海洋利用のための海軍間協力」をサブテーマに各グループによる研究成果発表を行い、各国海軍の協力の重要性について理解を深めた。
参加国は以下のとおり
オーストラリア、バーレーン、ブルネイ、カンボジア、カナダ、チリ、中国、エクアドル、フィジー、フランス、インド、インドネシア、イタリア、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、オマーン、パプアニューギニア、フィリピン、韓国、サウジアラビア、シンガポール、タイ、英国、米国、ベトナム ※フィジーは初参加 |