8月3日に陸海空の3自衛隊で初となるMCLS(Mass Casualty Life Support)標準コースが空自百里基地で開催された。MCLS標準コースとは「多数傷病者への医療対応標準化トレーニングコース」であり、日本集団災害医学会、災害医療コーディネーション委員会において、消防や警察など災害のファーストリスポンダーとなりうる要因を対象とした災害医療の研修会として開発され、災害医療または防災業務に従事する者が、災害時に発生した多数傷病者への対応を適切に行うことにより、傷病者の救命率及び社会復帰率の向上に資することを目的とするコースである。
自衛官のみを対象として開催されるのは全国で初めてで、今回は消防特技員5人、警備特技員5人及び衛生特技員10人の計20人が受講し、日本集団災害医学会から30人の医師や消防士等が指導員として訪れた。
本トレーニングコース実施の主旨は今年10月、百里基地で開催される航空観閲式に向け、大きな事故等が発生した場合、自衛隊、警察、病院、消防及びDMAT等が共通の認識及び用語を共有することによって、多数傷病者発生時に効果的に連携し対応できるよう基地内の初動対処要員の資とするものである。
訓練は、災害・多数傷病者概論、災害現場対応の原則、災害現場医療の3T「Triage(トリアージ)、Treatment(治療)、Transport(搬送)」、各トリアージ現場救護所の設置・運営及び災害派遣医療チーム(DMAT)の現場活動要領等の基礎的な知識を習得することを目的に実施された。訓練の終盤では、筆記試験、口頭試問及び実技試験が行われ、その結果受講者全員が無事に合格することができた。
多くの訓練参加者から「多数傷病者発生時には消防、警備及び衛生が連携し対応することの重要性を改めて再認識できた」との声が聞かれた。また、今回参加した特技以外の隊員からもMCLSを学び、同じ思考で対応すれば、防ぎ得た外傷死を少しでも減らすことができるのではないかとの観点で、同じ訓練を開催して欲しいとの要望があった。 |