私は、第13期イラク復興支援派遣輸送航空隊の飛行隊員(副操縦士)として、平成19年8月クウェートに到着しました。第401飛行隊員は複数回の派遣経験者が多く、私も今回の派遣で3回目になります。ただ、派遣に従事した過去の時期が、1回目は1月から3月までの間、2回目は10月から1月までの間だったため、いわゆる「猛烈な暑さ」を実際に体験したことがありませんでした。本派遣では8月下旬から12月下旬までの派遣だったため、それを経験することが出来ました。今回は、「派遣任務中の苦労話及び逸話等」を題目に投稿する機会を得ましたので、本派遣において体験した“最も暑かったクウェートでの体験"について、紹介したいと思います。
クウェートにおける気候について、とある旅行雑誌によると、「5〜9月にかけての夏は日中の気温が45℃を超え、特に7、8月は50℃を超えることもある」と記載されています。実際、私が体験した日の外気温は、車内で標示されている外気温計によると50℃でした。これだけの高温下では、太陽光に直接当たってない状態でも相当に暑く感じ、風が吹いても涼しくありません(却って、熱風だと感じます)。また、気温が高いものの、湿度が10%を超えないことが多いため、汗はすぐに乾いてしまいます。
このような環境で勤務していた某日のことでした。その日はいつもより屋外で活動する時間が多かったため、私は「今日はこれまで生活した中で一番暑い日だな」と感じていましたが、職場の他隊員は、いつもと変わりない暑さだと感じており、この暑さは自分だけが感じているのかと思いながら勤務していました。時間が経つにつれ、体調不良なのかもしれないと自覚し始めたため、衛生隊にて受診した結果、体温が39℃近くあり、急性腸炎の疑いと診断されました。
その後は、2日間の入室生活を余儀なくされました。入室時にも、暑さとの戦いは続きました。その当時、衛生隊は空調機が一部故障中だったことや、壁越しに伝わってくる太陽熱の影響により、ベッドで横になっていても汗がにじんでくるような状況でした。さらには、発病してからシャワーを浴びることができなかったため、体がベタベタしており、不快感と共に暑さが一層つらく感じられました。
本体験では、体調を回復させることが私の責務であったため、安静をとっていたわけですが、職場の班員(特に、同じ副操縦士の隊員)に多大な迷惑を掛けたと感じています。その理由は、我々の業務はクルーを固定化し(一部を除く)ローテーションさせているため、一人が欠けるとその影響が大きく、特に同じ特技の者に負担が掛かるからです。
今回発症した原因は不明だったのですが、健康管理の重要性を改めて強く感じました。特に、頭では大丈夫だと思っていても体が感じている疲労等を考慮し、早期に疲労の解消に努める等、環境の変化に対応しなければならないと感じました。
今後も、同種任務を遂行する際には、私のみならず他の者に対する教訓として、深く心に刻んでおきたいと思います。
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