東京都中央区の晴海埠頭で7月26日・27日の両日、募集協力者および一般者の体験航海が行われた。募集対象者や受験希望者、予備自補制度や定年退官者の雇用に理解のある企業が招待された。 東京地連(部長・用田和仁陸将補)が毎年主催している広報活動で、これを護衛艦「たちかぜ」(艦長・小野寺功1海佐)が支援。26日の部では埼玉地連と群馬地連が、27日には埼玉地連と栃木地連がそれぞれ参加支援した。 2日間で1,400人が集まり、夏の穏やかな海で約90分間の遊覧を楽しみ、各種アトラクションを通じて防衛庁・自衛隊との交流を深めた。 梅雨明け間近の27日、集まった700人が見守る中で、まずは1日艦長を迎える「体験航海オープニング・セレモニー」が始まった。 セレモニーは東京地連の須賀芳夫広報官の司会でテンポよく進み、護衛艦「たちかぜ」を代表して艦長・小野寺功1海佐と乗組員2名に花束が贈呈された。盛大な拍手の後に小野寺艦長が「今日は楽しんでください」と笑顔で挨拶し、マイクは体験航海のメイン・イベント「1日艦長任命式」に引き継がれた。 式は、東京地連の募集援護に協力のあった人に、艦長から任命書と識別帽が渡される恒例の行事。26日の1日艦長は東京地連友の会会長で東新自動車販売?社長・鈴木淑雅(よしまさ)さんだった。「誇りを持ち勤務する姿に接して頭の下がる思い。厚意に感謝」と挨拶し、大役を果たした。 27日の1日艦長は東京都大田区の東京農業大学研究生・堀野尚美さん。堀野さんは今年、海上要員として幹部候補生を受験し見事1次試験に合格しており、この日は一足早い海上勤務となった。 演台に立って堀野さんは、安全第一で最後までよろしく、と挨拶し丁寧に敬礼した。乗員のエスコートで1日艦長が乗艦すると、13時からは一般客が喜々として乗艦した。夏休みの家族連れも多く、子供の素朴な質問に、乗組員は懇切に対応していた。13時50分、早めの出航の掛け声に「大きい音がしますよ」と客を気遣うラッパ手が勢いよくラッパを吹いた。1日艦長が「出航用意」の発声をし、岸壁からロープが解かれると同時に船首の日の丸がたたまれた。晴天の日差しの中、快適な船出となった。常に指令・伝達が飛び交う操縦室の手際の良い協力ぶりに搭乗者は感心していた。 艦上では、防火チーム、立入検査隊の役割紹介など、各種レクリエーションが催された。艦の装備品にはイラスト入りの丁寧な解説が貼られ、稼動させるアトラクションに喚声があがった。 湾内を12ノットのスピードで遊覧後、15時45分に埠頭に戻るまでの間、交流がはかられ、防衛庁・自衛隊への理解と信頼が培われた。(入船浩之)