防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   935号 (2016年7月15日発行)
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国際活動教育隊
報道公開
International Peace Cooperation Activities Training Unit
国際活動に係る教育、各部隊の訓練支援等を実施
衛生課目を公開
識別接近射撃システム「TLOCE」を展示
 6月29日、陸上自衛隊は、国際活動教育隊(隊長兼ねて駒門駐屯地司令・野村昌二1陸佐、以下国際教)の報道公開を行い、報道陣約10名が参加した。
 報道公開は野村隊長自らの部隊概況説明からスタート。参加者は「駐屯地開放で来た事はあるけど、具体的にこのような活動をしているとは初めて知った」などと、身を乗り出して聞き入っていた。国際教のある駒門駐屯地、「駒門と言えば戦車のメッカ」というイメージが強いが、平成19年に中央即応集団(CRF)新編と同時に隷下の国際教も駒門駐屯地に新編され活動を続けている。国際教は、(1)国際平和協力活動等に関する教育として各方面から入校してくる学生に対して基本教育(幹部特技課程「国際活動(OIC)」及び上級陸曹特技課程「国際活動(SIC)」)を行うこと (2)方面持回りのため派遣活動を待機している待機部隊や派遣が決定した派遣前部隊に訓練支援を行うこと等を任務とする自衛隊唯一の専門部隊である。現在も行われている国連PKOミッションである南スーダンミッション及びジブチ海賊対処行動に派遣されている部隊は、派遣前訓練において国際教の訓練支援を受けているのである。
 野村隊長の説明に続いて一行は、駐屯地の各所で、教育で用いる施設・装備、実際の教育の一端を目撃。貴重な体験の数々を通じ更に部隊への理解を深めることができた。
 「OIC(衛生課目)」の教育公開は、軽装甲機動車が事故にあい乗員が負傷した状況で実施された。学生たちは車両から負傷した隊員を素早く車外に運び出し、教官のアドバイスを受けつつ何十もの手順に沿いきびきびと応急処置を施していた。「国外では国内と違い、適切な治療を受けられるとは限らないため重要な課目」(国際教共通教育科・川本1陸尉)との説明が印象深く心に残った。
 こうした一例からも分かるように、国内とは前提条件が全く異なる環境での活動に特化した教育を集中的に行っているのが国際教である。
 強力な武器を携行した現地人への対処は最たるものと言えるだろう。
 武器使用に係る教育で用いられる小銃シミュレータ(識別接近射撃システム『TLOCE』)及び、状況判断シミュレータ(『VBS』)の説明及び展示では、陸自や世界中の軍隊が過去に得た教訓から着想を得た多種多様なシナリオに沿った状況付与により、学生の咄嗟の判断力に磨きをかける教育をうかがい知ることができた。TLOCEでは、脅威のレベル別に、自衛隊活動に対し「反対意志はないナイフ、銃携行者」「反対意志があるナイフ、銃携行者による抗議活動」そして、「ナイフ、銃使用者による自衛隊活動の直接妨害」などの状況が付与され、約100のシナリオが用意されている。
 射手+組長の1〜2名の警衛隊員を訓練対象とするTLOCEでは、自衛隊の宿営地前もしくは作業現場に接近した現地人たちの突発的な行動を再現したコンピュータ動画を大型のスクリーンに投影。それに対し、口頭での警告や射撃により適切に対処する要領を学ぶ。実際の小銃の銃口と引き金にセンサーを取り付け、射撃の情報を逐次記録、行動が正しかったか否かを正確に判定できる。
 当日公開されたTLOCEの展示は、「宿営地前でのケンカに注視しつつ、宿営地内へ侵入する現地人への『口頭による警告』」→「拳銃を取り出し上空へ発砲する者に対して、『銃の志向、射撃の警告』、『警告射撃』」というシナリオに従って進行した。展示の時間は約1分あまり。その短時間に、シミュレータ訓練の前段階で学んだ銃使用に係る法規等も踏まえ、約100のシナリオ毎に、適切な行動を選択する。そのシビアさは想像に難くないだろう。暗闇の中でスクリーンに向かい小銃を構え、刻々と変化する状況に応じて「ジャパニーズエリア!ストップ!ストップ!」等と大声で相手に伝わるように英語で警告し、発砲等の判断を行っていく隊員の様子はリアルな緊迫感に溢れており、息を呑むのも忘れるほどだった。
 TLOCEはTrainees Level-up of Close Combat Evaluation=訓練生の接近戦闘評価のレベルアップの意=の略で、トゥルースと読む。陸自北部方面隊が開発し、平成22年度から国際教に導入されたシミュレータ教材だが、トゥルース、Truth=真実の意=も込められているという。例えシミュレータであっても可能な限り現実感を訓練対象者に与え、目の前の光景に没頭して欲しい。そうした開発者の願いはここ駒門の地にも確実に届き、大きく花開いているように思われた。
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-国際活動教育隊の取り組み-
幹部課程と陸曹課程

 国際活動派遣部隊等の幹部・陸曹として必要な知識・技能を修得させることを目的とし日本全国から入校者を受け入れ。幹部課程は約4週間、陸曹課程は約3週間、充実したカリキュラムで教育する。卒業者は各方面隊等の基幹要員としての活躍が期待される。

全国を訓練支援
 全国に出張支援し、各方面隊が実施する国際活動に関する練成訓練を支援。その回数は年間約40回にのぼり、各方面隊等の円滑な練成訓練の実施に寄与している。

 国際活動教育隊には国際平和協力活動等に参加した隊員が教官・助教等として所属しており、実経験を踏まえた教育・訓練支援等を行っている。

民軍連携
 中央即応集団司令部民生協力課と連携し、民軍連携に積極的に取り組んでいる。
 国際平和協力活動に関する部外の機関等と積極的に連携しており、そのような場を通じ、自衛隊の国際平和協力活動等についての理解を広めている。
 また、教育においても部外から幅広く講師を招聘している。

海外PKOセンター等への留学
 教官等の職能向上のため海外PKOセンター等へ研修・留学を行っている。

※出典=国際活動教育隊パンフレット

主な業務
★国際活動要員育成のための課程教育の実施
★国際活動に係る訓練支援
★国際活動に必要な教育訓練等の研究

編 成
国際活動教育隊
隊本部 隊の維持管理
共通教育科 国際活動に関する教育の実施
評価支援科 各方面隊が実施する訓練の支援
研究科 国際活動に関する教育訓練等研究
教育支援小隊 隊が行う教育・訓練支援の支援

※出典=国際活動教育隊パンフレット


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