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935号 (2016年7月15日発行) |
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雪月花 |
今年の土用の丑の日は7月30日、ぎんぎらぎんの盛夏のはずだ。この日には養生食としてうなぎを食べる風習になっているが万葉集にも出ているというから何百年も続いており健康に効果があるのかも知れない。しかし、小さなかば焼きが一切れ入ったうな丼が2千円、3千円、うな重ともなれば万単位になる。長い間お目にかかったこともない。どうしてこんなに高級品になったのか、乱獲によるものらしい。河口で稚魚のシラス漁をしていた漁師には鰻御殿を建てた人もいる、ずいぶん前だが和歌山で見たことがある。にほんうなぎのピンチだ。筆者が小学生の頃は夏休みには朝から晩まで川にいた。竹を削ったヒゴの先にミミズを付けて川の中の石垣や岩の間に差し込む、針にかかったうなぎと格闘になる。10匹はとれた。夜は餌を入れた囮の籠を朝まで沈めておく、翌日うなぎが眼をさまさない早朝に籠を揚げに行く、5匹も10匹もはいっており、友だちと意気揚々とかえる。そのうなぎを小学生の自分が捌き家族に食べてもらう、得意絶頂のときだった。あの当時はうなぎはどこにもいた、大雨の時には道路に出てきたり田んぼの中にもいた。田んぼのうなぎは夜は畦に近いところで寝ているのでのこぎりの刃のほうでコツンとたたいて簡単にとれた。石狩挽歌ではないが、あれからうなぎは何処へ行ったやら。丑の日の時期になるといつもこんな郷愁に浸る。 |
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