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余震の続く会場で一般幹候1次試験 〈熊本地本〉 |
自衛隊熊本地方協力本部(本部長・勝井省二1陸佐)は、5月14日、合同庁舎で平成28年度自衛隊一般幹部候補生の1次試験を実施した。4月14日地震発生以降、余震が続く中64名(他地本2名含む)が受験した。
試験開始前、勝井本部長は受験者に対し、震災に関するお見舞い、余震が続く中での受験への謝意をはじめ、今回の自衛隊の活動及び幹部自衛官の魅力について短い時間ではあるが丁寧に説明した。その後、受験者は合格を目指して試験問題に取り組んだ。
受験者の1人は「勝井本部長のお話を聞いて、幹部自衛官という職業への興味を掻き立てられました。いつでも本部長室に話の続きを聞きに来て下さいとおっしゃっていたので、ぜひお話をうかがいたいです」と意欲を見せていた。
熊本地本は、今後各学校と連携をさらに深め、より多くの志願者獲得に努めていきたい。 |
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キッズルームが実動開設 〈海自・大村航空基地隊〉 |
第22航空群大村航空基地隊(基地隊司令・大渡久志2海佐)は、4月14日深夜と16日未明に発生した平成28年熊本地震(最大震度7)に際し、緊急登庁支援の一環として、実動におけるキッズ・ルームを開設した。
キッズ・ルームは、緊急登庁時に子どもの預け先がなく、帯同して登庁せざるを得ない隊員の子供を、基地内において一時的に預ける施設である。
4月14日、21時26分に熊本県を震源とする最大震度7の地震が発生し、21時38分、大村航空基地に勤務する自衛官総員に警急呼集が発令された。22時10分、厚生隊当直員(給養員)が厚生棟2階の多目的ルームにキッズ・ルームの設営を開始。その他の厚生隊隊員や各隊から派出された支援員が続々と参集し、22時45分、最初の子供の受け入れを開始した。23時48分、部署が終結し、翌0時15分、受け入れた子供5名すべて保護者に引渡し、この日の開設を終了した。
また4月16日未明の1時25分に発生した地震においても、警急呼集の発令後にキッズ・ルームの設営を同時に開始し、前回の約4倍となる19名の子供を受入れたが、大きな混乱もなく朝9時頃までにはすべての子供を無事保護者に引渡した。
今回、大村航空基地においてキッズ・ルームの速やかな設営と円滑な子供の受入れができたのは、年2回の基地全体で実施する警急呼集訓練時だけではなく、隊員家族が基地内に集まる年末の餅つきやアット・ホームデーなどに合わせた厚生隊隊員のみでキッズ・ルーム設営するなど、積極的に設営訓練の機会を増やしてきた成果が実ったものと考える。
また、預けられる子供にとっても初めて訪れる場所に預けられるより、事前に保護者と一緒に訪れた場所であるという子供の心理的負担を軽減させるため、来隊した家族の休憩場所としてキッズ・ルームを提供してきたことも功を奏したものと思われる。
16日に子供を預けた隊員は「今までであれば、小さな子供がいる隊員は深夜の呼集にすぐに応じられず周囲に迷惑をかけていたが、一時的にでも預けられる。こうした制度は今後も充実させて欲しい」と述べた。 |
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「地の利」「人脈」を活かして 〈大分地本〉 |
自衛隊大分地方協力本部(本部長・渡辺辰悟1陸佐)は、平成28年熊本地震に対し、情報収集等の災害派遣任務を遂行した。
4月14日夜、熊本県震度7の地震速報を受け、25分後に大分県庁に連絡幹部を派遣するとともに指揮所を立ち上げ、大分県内の被災状況を上級司令部に一報した。続く4月16日未明の本震以降は、震度6弱を観測した別府市、由布市を含む11市町に連絡員を派遣して、隊友会員からの情報も含め、住民の避難状況を司令部に通知するとともに、自治体の物資支援要請等に関して連絡調整を実施した。
また4月17日には、緊急支援物資を積んだ海上自衛隊輸送艦しもきた(呉基地所属)の大分港及び別府港入港の調整及び支援を実施した。
今回の地震は、八代〜熊本〜阿蘇、そして別府に連なる断層帯で広域に発生しており、震源が別府湾内の場合、大分県には津波を含む甚大な被害の発生が懸念されたこともあり、大分地本は大分県庁と密接な連携を保持して部隊の状況等を継続的に県に情報提供した。
地方協力本部の災害派遣は、県内各地に拠点を構えている「地の利」と、本部と県庁、各地域事務所と市町村役場、そして父兄会、隊友会等との間の平素からの「人脈」を活かしたものであり、大分地本は、この地方協力本部の特性が災害発生時の自衛隊の即応やきめ細やかな調整に活かされ、国民に評価されているということを誇りに、今後も地域と密着した活動を続けていく。 |
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即自が地元力・特技能力発揮 〈えびの駐屯地〉 |
第24普通科連隊(連隊長・稲田裕一1陸佐=えびの)は、4月14日熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の前震に引き続く、16日の最大震度7の本震発生に伴い、災害派遣活動を実施した。
即応予備自衛官は、4月22日から逐次に出頭し、4月25日、162名の出頭が完了し、連隊として編成完結式を実施した。
連隊長は式の訓示の中で、今回の災害等招集命令の目的は、常備自衛官の質的不足を即応予備自衛官が補うことであり、即応予備自衛官が日頃培っている、常備自衛官が保持しない技術・技能等を最大限発揮するための招集であることを強調するとともに、要望事項として「常即一丸となり、質的能力すなわちクオリティの発揮、特に九州出身者がもつ地元力すなわちローカリティ、そして個人が保有する特技能力すなわちスペシャリティの最大限発揮」、「被災者の方々の立場にたった活動の即実行」、「自己管理と安全管理」の3点を要望した。
支援内容は、地元力(ローカリティ)として、熊本在住の地の利を活かした他方面隊や、航空自衛隊からの支援物資輸送部隊に対する、被災地域における道案内及び被災者との方々とのコミュニュケーションの実施、特技能力の発揮(スペシャリティ)として、フォークリフト操縦による大量の支援物資の迅速な仕分け・積載、調理師の特技を活かした約3200人に対する質の高い食事の提供、看護師・整体師・作業療法士等の特技を活かした避難所における被災者に対する健康巡回指導及び心身のケアを実施し、安心感を与えることができた。
5月2日連隊としての活動期間最終日の編成解組式において連隊長は、「被災現場における約7日間の活動内容は、即応予備自衛官制度開始以来、歴史に刻まれる活動となった。本災害派遣活動を誇りに思い、じ後の各企業等での活用を期待するとともに、招集訓練時には、自衛官として常備自衛官に引けを取らない各職種のプロフェッショナルを目指してもらいたい」と所見を述べるとともに、常備自衛官に対しては、中隊長を核心として平素から「牽引力を無限に発揮」し、現場において即応予備自衛官を強力にリードしうるような隊務運営を平素から、こころがけるよう要望した。
最後に、本災害派遣における連隊の活動と成果を今後各方面に積極的に発信し、全国の即応予備自衛官の仲間、コア部隊にとって励みとなり、練成目標となりうることを祈念して指揮を解いた。 |
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