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自衛隊ニュース   932号 (2016年6月1日発行)
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全国の部隊から
熊本地震

〈第7師団〉
 4月14日に発生した熊本地震に際し、第7師団(師団長・田浦正人陸将)は、第7後方支援連隊長(小薗井(おそのい)明裕1陸佐=東千歳)を長とする第7生活支援隊(第7後方支援連隊、第7特科連隊第1特科大隊、第11普通科連隊重迫撃砲中隊、第7通信大隊第1通信中隊の各指揮官以下、人員約390名、車両約180両)を編成し、災害派遣を実施した。
 4月17日、師団長以下、駐屯地の隊員及び道央地区自衛隊協力会連合会会長(千歳市長)をはじめとする各協力団体の方々の見送りのもと、第7生活支援隊は、降りしきる雨の中、被災地熊本に向けて駐屯地を出発した。熊本までの約2,000Kmに及ぶ長距離機動は、自走に加え、船舶を活用した輸送により行われ、派遣隊は、数個の区分に分かれて、活動地域の阿蘇地方に逐次集結した。
 到着後は、西部方面総監の下に編成された災統合任務部隊を構成する部隊として、被災者に対する給水・給食・入浴支援等を行った。
 この際、給水支援隊は、給水地点及び給水量等の細部にわたる調整に基づき、自治体のニーズに対応した柔軟な給水活動を行うとともに、雨で濡れた給水容器の拭き取りや高齢者の給水容器の運搬支援等、"一歩踏み込んだ支援活動" を行った。また、給食支援隊は、おかずの種類、味噌汁の具の量、ご飯の硬さに至るまで避難者の細かなニーズに応えた美味しい食事を提供した。さらに、入浴支援隊は、東日本大震災等の教訓に基づき、雨天用の待機施設の開設や高齢者用器材の導入を行ったほか、こどもの日には「しょうぶ湯」を入れるなど、被災者の目線に立った真心のこもった活動を実施した。
 第7生活支援隊は、約26日間、生活支援隊長の要望事項である「絆」、「真心」、「誇り」を信条として、任務を遂行し、5月13日早期までに全派遣部隊が帰隊した。
 第7師団としては、引き続き、即応態勢を維持しつつ、今回の派遣を通じて得た成果や教訓を部隊全体で共有し、いざという時に更に実効性のある活動ができるように、各種の訓練に加え、基盤の整備、関係部隊、自治体等との調整を着実に行う所存である。

慰問演奏を実施
〈第4師団〉
 第4師団(師団長・赤松雅文陸将=福岡)は、平成28年度熊本地震に伴い、災害派遣活動を実施した。今回の災害派遣では、全国から数多くの部隊が派遣さたが、師団は、第6師団(神町)、第12旅団(相馬原)、第13旅団(海田市)、北部方面支援隊(島松)及び第5施設団(小郡)を一部指揮して、阿蘇市・南阿蘇村周辺地域(一部、大分県)での人命救助、生活支援(入浴・給水・炊き出し)、物資輸送等を通じて民生の安定に寄与するとともに、避難所等における第4音楽隊慰問演奏を担任した。
 炊き出し支援にあたった第4特科連隊力田美幸3曹は「避難所の皆さんから『温かいご飯をありがとう』と声をかけられ、逆に元気とやる気を頂戴しました。被災地で生活している方々が1日でも早く元の生活に戻れることを願っています」と、被災民に寄り添った支援を続ける決意を語った。

〈倶知安駐屯地〉
 倶知安駐屯地(司令・前田貴大2陸佐)は、4月18日から19日にわたり、隊員25名及び車両11両が、熊本地震の被災地へ災害派遣に出動した。
 派遣部隊は、給水支援や野外炊事を主たる任務とした「北部方面対舟艇対戦車隊生活支援隊」(北部方面対舟艇対戦車隊(隊長・前田2陸佐)所属の隊員16名及び、第301対舟艇対戦車直接支援隊(隊長・原3陸佐)所属の隊員6名及び車両9両により編成)及び、ドーザ等の重機を使用し、倒壊家屋やガレキの除去を目的とした「北部方面施設隊」として、第13施設隊361施設中隊(中隊長・高野1陸尉)所属の隊員2名、第101施設直接支援大隊第3直接支援中隊倶知安派遣隊(隊長・山本3陸尉)所属の隊員1名及び車両2両が、被災地にて活動した。
 それぞれの部隊が派遣先で任務に邁進していたところ、大規模震災災害派遣の終結に伴い、災害派遣活動を終了することとなり、5月9日にそれぞれの部隊の編成を解組し、災害派遣を撤収した。

北の国から火の国へ
〈北部方面隊〉
北方自慢4つのお湯が被災者を癒す
 熊本地震の被災地に生活支援のため、現地入りしている北部方面隊(札幌)隷下の第2師団(旭川)・第7師団(東千歳)・第5旅団(帯広)・第11旅団(真駒内)は、各部隊の入浴施設を阿蘇市と南阿蘇村に開設し、被災住民の生活を入浴面から支えている。
 各師旅団がそれぞれ4種類の趣向を凝らした入浴を提供できるのは、4つの師旅団を保有する北部方面隊ならではである。
 阿蘇市の一の宮小学校と阿蘇小学校の2カ所に施設を開設している第2師団第2後方支援連隊は「大雪(たいせつ)の湯」、阿蘇市の農村環境改善センターに施設を開設している第7師団第7後方支援連隊は「すずらん湯」、阿蘇市の阿蘇西小学校に施設を開設している第5旅団第5後方支援隊は「熊乃湯」、阿蘇市の阿蘇西小学校に施設を開設している第11旅団第11後方支援隊は「藻岩(もいわ)の湯」と、それぞれ所在している市や地域の名所などの名称の暖簾を掲げ、北海道や市そして各部隊の代表として、利用者に温かいお湯とおもてなしを提供している。各部隊は、4月22日からの支援開始以降、利用者延べ約8,000名となっている。
 大雪(たいせつ)の湯に入浴をした女性は「毎日この風呂に入るのが楽しみです」、熊乃湯に入浴をした男性は「家が壊れて不便していて、大変助かります」、5月5日の端午の節句の日に菖蒲湯を提供した、すずらん湯に入浴をした家族連れの40代男性は「ここの浴場は雰囲気が良く、毎日利用させてもらっている。菖蒲湯に家族で入りました。その気遣いがありがたい」、藻岩(もいわ)の湯に入浴を利用した男性は「快適に利用させていただいています」とそれぞれ感想を述べた。
 また、入浴施設のほか、化粧室、休憩室、ベビーベッドなど入浴後も利用者がくつろいでいただけるような環境を整えた。さらに、環境向上のため要望ノートを置いたところ、感謝のメッセージが多数寄せられ、隊員の士気を高揚させている。

留守家族支援協定
米子市と締結
〈米子駐屯地〉
 米子駐屯地(司令・小見明之1陸佐)は5月12日米子市役所において米子市と大規模災害における派遣隊員の留守家族支援に関する協定を結んだ。
 この協定は派遣された隊員が安心して任務に専念できるように派遣隊員の留守家族の安否に関する情報提供や子供を一時預けられる施設を紹介、健康や親の介護の相談などについて米子市から支援を受けるものである。
 中国・四国では初めての自治体との協定締結となる。
 野坂米子市長は派遣隊員が後顧の憂いなく任務に出来るよう出来る限り留守家族の皆さんを支援させてもらうと挨拶した。また、小見司令は家族支援の自助、共助、公助のうち公助の部分を強化できた。今後も国民の安全・安心に尽力したいと誓いを新たにした。

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