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空幕長から19名、7団体に感謝状 |
11月13日、「平成27年度航空幕僚長感謝状贈呈式」が東京のグランドヒル市ヶ谷で行われた。航空自衛隊の広報、教育訓練、就職援護、防衛基盤の育成等に対して著しい功績が認められた個人19名と7団体へ、齊藤治和空幕長(当時)より感謝状と副賞が贈られた。齊藤空幕長は「航空自衛隊の全国の基地・分屯基地はそれぞれの地域の皆様に叱咤激励を頂く事で、61年間やってこれました」と謝辞を述べた。(敬称は取材当時のもの)
受賞者は以下のとおり。
【個人19名】
▽伊藤清人(萩市自衛隊協力会名誉会長)▽井上澄子(久留米自衛隊協力会相談役)▽上原勝男(小禄地区自衛隊親睦会理事)▽大西信也(タイセイ動物病院院長)▽小田康夫(米国試験飛行操縦協会 フェロー 元幹部学校長)▽落合浩太郎(東京工科大学 教養学環准教授)▽菊田慎一郎(大田区自衛隊父兄会名誉会長)▽岸田定(饗親会会長)▽五島隆司(岐阜県隊友会顧問)▽佐々木清(三沢ボリューム会相談役)▽鈴木一洋(みなと協和法律事務所弁護士)▽谷口文男(小牧基地協力会副会長)▽土本武司(筑波大学名誉教授)▽富澤静雄(静浜基地後援会顧問)▽浜野三郎(防衛省共済組合輪島支部委託業者 輪島自衛隊友の会会員)▽堀田収(美保基地協力会顧問)▽松下京子(ハイフライト友の会事務局員)▽松橋昇(車力基地協力会理事)▽三好博(航空自衛隊を励ます会理事)
【団体 7団体】
▽一般財団法人宮崎県内水面振興センター▽医療法人隆信会遠賀いそべ病院▽エアーレッドクロス▽えんしん総合サービス株式会社▽株式会社シー・キューブド・アイ・システムズ▽財団法人航空保安協会三沢事務所▽三沢市防衛協会(敬称略・順不同) |
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英空軍輸送機A-400が美保基地来訪 |
10月23日、航空自衛隊美保基地(基地司令・高橋和久1空佐)に英空軍輸送機A-400(機長・スチュアート・パットン少佐)が訪れ、美保基地隊員と乗組員間で輸送機部隊間交流が行われた。
これまでも英空軍とは、ハイレベル交流、幕僚協議、戦闘機部隊間での人的交流を実施する等、各種防衛交流がされてきたが、英空軍機が空自基地を訪れるのは今回初となる。
パットン少佐は高橋基地司令、第3輸送航空隊飛行群司令・狗田将明1空佐を表敬、楯とA-400の模型の記念品交換が行われた。翌24日は部隊概要説明や意見交換、航空機見学が実施された。パットン少佐は「空自の機種について学ぶ貴重な機会、美保基地の最高のおもてなしを頂き光栄に思います」「次期輸送機C-2が導入される予定もあり、より一層深い協力関係を築きたい」と期待を述べた。第403飛行隊長・宮崎貴幸2空佐は「運用の違いだけではなく、類似性や共通点も多く知ることができた」と振り返った。訪問期間中に英空軍との関係の深化及び信頼関係の増進をさせる事ができ、有意義な部隊間交流となった。 |
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創立63周年行事
〈陸自幹部学校〉 |
11月とは思えない暖かさとなった7日、陸上自衛隊幹部学校(学校長・深津孔陸将=目黒)で創立63周年及び目黒駐屯地創立21周年記念行事を歴代学校長始めとする部内外からの来賓200名以上を招いて盛大に執り行った。
感謝状贈呈から始まった記念行事。午前10時からは、記念講演として國學院大学名誉教授・大原康男氏による「皇室と日本人」が行われた。特に皇室と軍事関係に焦点を合わせた「皇室と軍事の関係」については、皆身を乗り出して頷きながら聞き入っていた。
講演の後は祝賀会食が後援会共催で行われた。深津学校長は謝辞の中で「学校長としての要望事項は『創造と挑戦』を上げている。常に問題意識を持ち、既存の概念等にとらわれない創造性と自主積極的かつ新たなものへ挑戦する気概をもち日々修養を行うことが強靭な陸上自衛隊を作りあげると考えている」「陸自の基本は人であり、如何に有為な人材を育成するかが組織の基礎となり、安全保障の基礎となり、国家の基礎となる。陸自の骨幹を担う人材育成が幹部学校最大の任務と捉え、今後も努力する」等と述べた。
祝賀会の料理も厳選されたもので「こんなに美味しい祝賀会の料理も珍しいね」と参加者たちは舌つづみを打っていた。また、「お子様用」コーナーもありお菓子等が置かれ、隊員家族が嬉しそうに持って帰っていた。学校長の「平素から家族を大切にし…」という言葉が要所要所に溢れている記念行事だった。 |
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三宿地区合同創立記念行事 |
秋晴れの下、10月24日に若宮健嗣防衛副大臣をはじめ部内外から多数の来賓を招き三宿地区合同創立記念行事が執り行われた。今年度は昭和30年の三宿駐屯地創設及び自衛隊中央病院開院から60年目の節目であることから初めて三宿駐屯地及び中央病院の合同で創立記念式を挙行した。式辞で瓜生田曜造中央病院院長は「自衛隊を取り巻く状況を見据え、60周年を機に中央病院は自衛隊の最終後送病院として、また衛生科隊員の養成及び教育訓練を担うという役割を確実に果たすべく新たに当院のあるべき姿を"戦略運営検討"という形で検討しました。今後はその結果を踏まえ中期的な取り組みとして「危機対処能力の強化」「診療態勢の整備」「臨床教育態勢の整備」「病院運営基盤の整備」に取り組んで参ります」と述べ、続いて三宿駐屯地司令・松木泰憲陸将補は「衛生学校は、慈しみを表わす『仁』を教育理念とし、歴代学校長をはじめ諸先輩方のご尽力により、創立以来、2万3千名に及ぶ衛生科隊員に対する各種教育を実施、他にも臨床検査技師、救急救命士といった国家資格保有者を数多く輩出して来ました」とし、更に「今後も陸自として打ち出した『救命ドクトリン』の実現に向け衛生科の教育・研究を牽引していくため三宿地区に所在する機関・部隊は勿論、内外関係機関との連携を更に深めつつ精進して参る所存であります」と述べた。記念式に続き行われた祝賀会は、9月に落成された体育館で実施され現職隊員と来賓等が一層親睦を深めたほか、三宿地区OBは現職時代の懐かしい話に花を咲かせるなど会場は大いに盛り上がった。また記念行事の一環イベントとして中央病院と衛生学校が連携し第一線における救急救命士等の処置や医官による収容所でのダメージ・コントロール・サージェリーを現示した他、関東補給処用賀支処等の協力の下「移動式医療システム」、東部方面隊所有の「航空後送機材(大型輸送ヘリ)」の展示、陸自施設学校音楽隊による音楽演奏、病院業務見学・体験、医学情報資料室(彰古館)見学を実施し来賓からは驚きや賞賛の声が上がった。
天候にも恵まれた当日、初の試みだった合同創立記念行事は盛会裡に終了した。 |
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国連アフリカ施設部隊能力早期展開支援プロジェクト
(試行訓練)派遣要員帰国報告
陸自施設学校 |
9月7日から10月16日まで、施設学校及び各部隊からの要員で編成された11名が訓練教官として派遣され、(長…施設学校教官、企画(兼通訳)…CRF国際活動教育隊、教官…施設教導隊及び各方面隊の施設団又は隊1〜2名)ケニア共和国ナイロビで国連フィールド支援局が実施した「アフリカ施設部隊能力早期展開支援プロジェクト(試行訓練)」に参加しました。被教育者はケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアの各国軍から工兵幹部と軍曹等2〜3名の計10名。訓練教官等は8月29日に出国し30日に国際平和支援訓練センター隷下の人道平和支援学校に到着、31日より事務所、教場等の準備及び操作訓練場の構築を実施し9月7日に開講式後、教育を開始しました。
教育内容及び時間は、施設教導隊の施設機械操作課程とほぼ同様ですが、通訳を介するため1・5倍の時間をかけ教えました。ドーザ、グレーダ、バケットローダ及び油圧ショベルの基本操作は被教育者全員が【安全かつ確実に簡単な作業が出来る練度以上を保有】を目標に、操作訓練の時間を各個の練度進捗に合わせ配当しました。被教育者の中には車の免許も所有しておらず、グレーダによる後進を真っすぐできるようになるまで2週間も要した者もいましたが、このような者も全器材の練度判定に合格し目標を達成することが出来ました。日本での施設機械操作の教育が世界中で通じるもの、また各部隊から派遣された教官が十分な知識と技術、それに教育指導要領を保有していた結果であると言えます。
▽派遣教官・高橋2曹(施設教導隊)のエピソード
私は施設機械操作教育の教官の経験が何度かあり、機械の操作についての教育には自信があったため、海外でも自分の教育方法が通用するか試してみたいと思い、是非この派遣に参加したいと思いました。しかし、不安要素もいくつかありました。係業務の事、家族の事など。実際に準備が始まると、より良い教育をするため教育資料の作成に多くの時間を費やしてしまい、係業務については沢山の方からの支援を受け両立させる日々となりました。準備訓練では全国各方面隊から集められた機械操作や英語のスペシャリスト11名(後に派遣要員指揮官・岡崎倫明3陸佐にちなみ「岡崎イレブン」又は「岡崎ジャパン」と呼ばれる)全員で教育方針、課目の内容などを細部まで議論し実際に教授予行を行い、その都度After Action Reviewを実施し、教育方法などの認識の統一を図る事ができました。外務省の方から派遣国の基礎的知識の教育を、防衛省からは派遣間の留守家族へのバックアップ態勢等も確立して頂き当初抱えていた不安を払拭し出国できました。
訓練間、私は統括教官として教官要員に各機械の教育内容・要領の指示をしたり、学生が各機械を均等に訓練できるようローテーションの管理をしたり、学科教育の担当をしました。学科教育では主に施設機械の作業法や工事の計画・見積り等の教育を実施しました。全員がとても熱心に授業を受け、積極的に質問等をする学生が多く、とても教え甲斐がありましたが、日本とは文化が異なるため予測不能な質問もしばしば飛んで来ました。工程管理の課目の教育をしていた際、工事が遅れる原因に気象条件や土質の変化等があるという説明をしていた際、学生がこのような質問をしてきました。「工事が遅れるのは神様の仕業なのでお祈りが足りないのが一番の原因ではないのですか?」。一瞬、固まってしまいましたが熱心なキリスト教徒が多く否定はできないと思い「それも原因の一つですね」と答えざるを得ませんでした。
今回の派遣は試行訓練ということで試行錯誤が沢山ありましたが、その度に教官同士で深く議論し最高のものを残してきたと思っています。また、私が制作・プログラムした教育資料が今後、国連が施設機械操作教育をする際の一例として使用されることは、私の今後の自衛隊人生の中での大きな自信と励みになりました。次にこのような派遣の機会があれば積極的に参加し、自分のスキルアップを図りたいと思います。また、いつの日か今回の学生がもっと上達し、どこかのPKO派遣等の現場で一緒に機械作業をするのが私の夢です。今回の任務達成は、被教育者と教官の絆、協力を得たケニアの各機関との信頼関係、国連との連携強化、日本と東アフリカの4カ国との友好・親善関係に大きく貢献できたと思います。 |
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