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自衛隊ニュース   2011年7月15日号
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第205教育航空隊、半世紀の歴史に幕
航空士教育の任務全う

 海自下総教育航空群(群司令・山作房彦1海佐)は5月31日にYS-11Tの除籍行事を、また、6月1日には教育航空集団司令官(方志春亀海将)をはじめ下総に所在する部隊指揮官等の臨席のもと、第205教育航空隊(司令・阿比留義顯1海佐)の解隊行事を実施した。
 第205教育航空隊は昭和36年9月1日、航空教育体系の改変に伴い、鹿屋教育航空群の新編と同時に発足。昭和49年2月16日に下総教育航空群が新編されると同時に下総へ移転、平成23年5月31日までの半世紀にわたり、航空士(操縦士以外の航空機搭乗員)を育成してきた。昭和63年1月12日までは、P-2J及びYS-11Tを使用した実用機課程の教育航空隊として、戦術航空士、機上整備員、機上武器員、機上電測員、機上対潜員、機上通信員等を育成した。昭和62年12月1日にP-3Cの教育部隊として、第206教育航空隊が発足した後の昭和63年1月13日からはYS-11Tを使用して、主に航空士基礎課程の教育航空隊として、航空士戦術(基礎)課程、及び将来、音響・非音響・機上整備・機上電子整備、回転翼航空士といった各種搭乗員となるための基礎課程の教育を実施してきたが、平成23年4月15日、航空士戦術(基礎)課程の学生6名を最後に、50年にわたる航空士教育の幕を閉じ、第203教育航空隊及び第211教育航空隊(鹿屋)にその任務を引き継いだ。同隊は発足当時から4月15日までに、6538名にのぼる修業者を各航空部隊等の最前線に送り出してきた。また、昭和45年5月から導入が開始されたYS-11T-A型練習機6機も、老朽化が年々進むとともに、部品枯渇の影響により、平成22年度からは全6機体制から順次除籍し、解隊間際の平成23年5月には3機を残すのみとなり、同月31日をもって全機が除籍した。
 3月11日に発生した東日本大震災への対応として、下総航空基地のみならず、教育航空集団隷下の徳島航空基地、小月航空基地から被災地周辺の空港及び自衛隊の各基地へいち早く救援物資輸送を遂行した。また、福島第1原子力発電所事故に対する原子力災害派遣では、全国の海上自衛隊の航空部隊(八戸、鹿屋、徳島、小月等)からの派遣要員の輸送任務を遂行した。
 第205教育航空隊は航空士教育のほか、募集広報等にも広く活躍し、基地周辺住民や学校から親近感のある航空隊で知られ、YS-11Tを保有する部隊として認知度は高かった。特に昨年秋に実施された下総航空基地開設記念行事では、「さようならYSイレブン」と題し、一般開放では最後の公開を行い、体験搭乗等の広報を実施し、中でも航空機見学では、退役を惜しむ見学者が長蛇の列を作ったことは記憶に新しいことである。さらに、基地周辺の中学校及び高等学校が実施する職場体験や就業体験では、同隊の全面的な支援により、参加者の海上自衛隊に対する理解を促進させ、大きな広報効果が得られた。
 5月31日に実施された、YS-11Tの除籍行事は、晴天に恵まれ、除籍機3機(6901号、6905号、6906号)及び下総教育航空群隷下の隊員が参列するなか、第205教育航空隊の教育飛行隊長である松岡2海佐、同列線整備隊長の田中1海尉、同先任伍長の鶴園海曹長が除籍する航空機にそれぞれ花束の献上を行い、引き続き、山作群司令、阿比留1海佐(205教空司令)及び木村1海佐(203整補隊司令)がそれぞれ装備後の無事故飛行と多数の航空士を育てた国産航空機に感謝しつつ、献酒を行った。
 翌6月1日には、第205教育航空隊が当地に移動してから37年間にわたり、厳しい訓練に耐え抜き、巣立っていった訓練生を見続けてきた銘板も下総教育航空群司令及び第205教育航空隊司令により取り外され、ひとつの時代に終止符が打たれた。
 続いて、第205教育航空隊の解隊及び平成22年3月に着任した第29代同隊司令の阿比留1海佐の離任披露が行われ、山作群司令は、「着任以来、熱意と愛情を持って搭乗員教育を行うとともに、YS-11Tの老朽化及び部品枯渇のなか、常に安全の確保に努め、無事故で最終飛行を迎えた。また、東日本大震災では、震災後、最も支援物資が必要な時に、タイムリーに任務を遂行した」とこれまでの功績を讃えた。
 解隊式では、教育航空集団司令官が訓示を述べ「第205教育航空隊は搭乗員養成の任務を全うして、その役割を終える時がきた。昭和36年9月、鹿屋航空基地において新編されて以来、戦術航空士及び航空士を養成して実戦部隊に送り出し、今日の世界に冠たる海上航空部隊の礎を築き上げてきたものであり、歴代の教育航空隊司令をはじめ、第205教育航空隊の伝統を継承し、搭乗員の育成に邁進してきた諸先輩並びに隊員諸官の尽力に深甚の敬意を表する。第205教育航空隊は、本日をもって役割を終えるが、諸官が継承し発展させてきた伝統は、海上航空部隊の搭乗員一人一人の血となり肉となり精神的支柱となって生き続け、燻し銀の輝きを放ちながら永く後世にわたって海上航空部隊を力強く支え続けてくれるであろう」と述べた。また、新たな出発をする第205教育航空隊の隊員を前に「諸官一人一人が最後まで第205教育航空隊の一員として搭乗員の養成を担ってきた自信と誇りを胸に、そして諸官をも育んできた第205教育航空隊への愛着と感謝の気持ちを忘れることなく、培ってきた熟練した能力を存分に発揮して、新たな職務に邁進してもらいたい」最後に東日本大震災の活躍について触れ「最後につらい役目を負うこととなったが、これはYS-11T、第205教育航空隊を愛するものしかできないことであり、最後までよく尽くしてくれた。ご苦労さん!」と激励した。
 下総教育航空群司令は「第205教育航空隊は、約50年にわたる、航空士教育の歴史に、幕を降ろすこととなった。この50年間に、第205教育航空隊を修業した学生は、6538名にのぼり、海上自衛隊航空部隊の任務遂行の原動力として活躍してきた。そして、5月18日の最終フライトを終え、同月31日をもって全機が除籍となった。YS-11Tは、41年の長きにわたり、1機も事故で失われることなく、無事に任務を果たし、最後は、東日本大震災の災害派遣において、救援物資輸送及び原発放水員輸送で活躍し、航空機として有終の美を飾ったと思っている。阿比留司令をはじめ、第205教育航空隊の隊員諸君は、YS-11Tの老朽化・部品枯渇のなか、創意工夫を凝らし、部隊の高い士気を維持し、学生教育を最後まで成し遂げた。今後、諸君が新たな配置において、海上自衛隊のため、そして日本のため、益々活躍してくれることを希望する」と述べ、最後に「下総教育航空群は、本日から新たな体制に移行するが、精強な搭乗員の育成という任務がいささか変わるものではない」と締めくくった。
 阿比留1海佐は、「最後の同隊指揮官として、無事故で最終飛行及び解隊の日を迎えられたことは誠に誇り高きことであり、本日まで支えて頂いたOBや関係者をはじめ隊員諸官に感謝するとともに、これまで6500名を超える搭乗員が巣立った当隊の歴史と、本日まで培ってきた海上自衛隊航空部隊の伝統が将来にわたって継承されるよう願って止まない」と思いを語った。
 なお、阿比留義顯1海佐は、同日付で下総教育航空群司令部付となり、また第205教育航空隊の解隊に伴い、第203整備補給隊第2031及び第2032検査隊は、第203検査隊へと改編され、P-3Cの整備に一本化された。(下総教空群広報)


防衛研究所主催
「戦争史研究国際フォーラム」

〈日時〉 平成23年9月14日(水) 9:30〜17:50
〈場所〉 都市センターホテル 3階「コスモスホール」
     東京都千代田区平河町2-4-1 電話:03(3265)8211
    ・東京メトロ 有楽町線・半蔵門線・南北線、「永田町駅」9b番出口より徒歩3分
    ・東京メトロ 丸の内線・銀座線、「赤坂見附駅」D出口より徒歩8分
    ・JR中央線、「四谷駅」麹町出口より徒歩14分
    ・都バス 平河町2丁目「都市センター前」下車
〈テーマ〉 「総力戦としての太平洋戦争」
〈特別講演〉
 ヒュー・ストローン(イギリス:オックスフォード大学教授)
〈基調講演〉
 加藤 陽子(東京大学大学院教授)
〈発表者〉(発表順)
 ジャン・ヴィレム・ホーニッヒ(スウェーデン:スウェーデン国防大学教授)
 石津 朋之(防衛研究所第1戦史研究室長)
 デニス・シュオルター(アメリカ:コロラド大学教授)
 デヴィット・ホーナー(オーストラリア:オーストラリア国立大学教授)
 纐纈 厚 (山口大学副学長)
 ジェフリー・ワウロウ(アメリカ:ノーステキサス大学教授 ) 
 和田 朋幸(防衛研究所戦史部第1戦史研究室所員)
 小野 圭司(防衛研究所研究部第3研究室長)
〈コメンテーター〉
 赤木 完爾(慶應義塾大学教授)
 戸部 良一(国際日本文化研究センター教授)
 高橋 文雄(航空自衛隊幹部学校教官)
※ プログラム等の細部については防衛研究所ウェブサイトをご覧下さい。
 (http://www.nids.go.jp)
〈聴講申し込み〉
 平成23年9月2日までに、以下のいずれかの方法でお申込み下さい。
 ※ 申し込み多数の場合は、申込先着の方を優先させていただきますので、予めご了承ください。
●ホームページ:防衛研究所のウェブサイトから申込画面にアクセスし、必要事項を記入してお申し込みください。
●Eメール:氏名(ふりがな)、職業(又は勤務先)、連絡先(電話・FAX、Eメール等)を ご記入の上、下記メール・アドレスへ。
 【アドレス】nids@newsbase.co.jp
 【メール1通で1名様のみ有効】
●はがき:往復はがきに氏名(ふりがな)、職業(又は勤務先)、連絡先(電話、FAX、Eメールなど)をご記入の上、下記宛先へ。返信はがきには、ご本人の住所、氏名、郵便番号を必ずご記入ください。
 【送付先】〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-17-11
      株式会社 ニューズベース内 戦争史研究国際フォーラム事務局
 【はがき1枚で1名様のみ有効】
●FAX:戦争史研究国際フォーラム聴講希望であることを明記の上、Eメールと同様の内容を次の番号まで。
 【FAX番号】03(3406)7528
※ いただいた情報は、当該フォーラムの実施に必要な場合に限って利用します。
〈問合せ先〉
 株式会社 ニューズベース内 戦争史研究国際フォーラム事務局
 TEL 03(3406)7536 
電話でのお問い合わせは平日10〜18時の間受け付けております


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