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スペーサー
自衛隊ニュース   1100号 (2023年6月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
広島平和祈念資料館見学そして行動へ

 全国の自衛隊員・ご家族の皆さん、そして本紙読者の皆さんの中には、広島平和祈念資料館を見学された方も多いことと思います。
 ウクライナを侵略しているロシアによる核兵器使用の威嚇、透明性や有意義な対話を欠いたまま核戦力を加速的増強している中国、執拗に核兵器国の地位を目指す北朝鮮。これらの国々を目の当たりにしている現在、もし、あなたがまだ見学されていないようでしたら、是非時間を作ってください。ご自身で、1945年8月6日、広島でどんなことが起きていたか、被爆の実相に触れてみてください。
 そして、当時、臨時救護所になりまた被爆者の皆さんに境内を流れる滝の水を届けた爆心地から約3キロにある三滝寺(みたきでら 広島駅からJR可部線に乗り三滝駅下車、坂道を登ること徒歩約20分)も訪ねてみてください。その水は、平和記念式典の献水にも使われているとのことです。静かな境内に響く清らかな水のせせらぎ、うっそうと茂った木立や一面のコケ、沢山の小さな慰霊碑などなど。
 僕が広島防衛施設局(現 中国四国防衛局)に勤務していた当時、知人を案内すると、「まるで極楽に来たみたいだ・・・」彼はつぶやいていました。
 更に、当時、留学生としてアメリカの大学で学んでいた若き青年(その後、国会議員)のことも思い出します。
 彼がアメリカの友達と議論していたとき、ヒートアップした友達が発したのは、「また原爆を落としてやるぞ!」。驚いた彼は、「冗談でもそんなことを言ってはダメだ!僕と一緒に広島の原爆資料館を見に行こう!そんなことは絶対に言えなくなるはずだ!」
 実際に友達を連れて広島平和祈念資料館を見学に来たのは、それから間もなくのことでした。
 そんな広島で5月19日〜21日に開催されたG7サミット。G7首脳はじめ招待された8か国(豪州・ブラジル・コモロ(アフリカ連合議長国)・クック諸島(太平洋諸島フォーラム議長国)・インド(G20議長国)・インドネシア(ASEAN議長国)・韓国・ベトナム)の首脳と国連や国際エネルギー機関(IEA)等7つの招待機関の代表、そして戦時真っ只中のウクライナから駆け付けたゼレンスキー大統領は、広島平和祈念資料館を見学されました。画期的なことです。
 見学後のそれぞれの気持ちは、資料館の記帳にも残されていると思います。その中で、これまで僕が把握できたのは、G7首脳とゼレンスキー大統領の次のような思い。
 「歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う」(岸田総理大臣)
 「感情と共感の念をもって広島で犠牲になった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です」(フランス・マクロン大統領)
 「この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んで行きましょう。信念を貫きましょう!」(アメリカ・バイデン大統領)
 「多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔意と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう」(カナダ・トルドー首相)
 「この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない」(ドイツ・ショルツ首相)
 「本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう」(イタリア・メローニ首相)
 「シェイクスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」(イギリス・スナク首相)
 「資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅かしの居場所はない」(ウクライナ・ゼレンスキー大統領)
 そして、G7サミットとして初めてとりまとめ、5月19日に発表したのが「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」。
 曰く、「我々は、ロシアのウクライナ侵略の文脈における、ロシアによる核兵器の使用の威嚇、ましてやロシアによる核兵器のいかなる使用も許されないとの我々の立場を改めて表明する」「核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはならないことを確認する」「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている」。そして、「我々は、全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で、実践的な、責任あるアプローチを通じて達成される、核兵器のない世界という究極の目標に向けた我々のコミットメントを再確認する」と続く。
 確かに歴史的な文書ではあります。しかし、被爆者の皆さんの中から批判の声が上がっていることも事実です。
 決して「広島ビジョン」が表明しただけに留まることなく、何としても核軍縮・核廃絶を確実に実現して行く断固とした覚悟と具体的な行動が求められます。絵に描いた餅にしてはなりません。
 また、「核兵器禁止条約」に我が国は参加していませんが、その締約国会議の開催に際しては、G7の仲間ドイツと同様に「オブザーバーとして参加」して行くこと自体は、積極的に検討して行くべきではないでしょうか。強固な信頼関係で結ばれた同盟国アメリカとの協議の俎上に載せてもよいときではないでしょうか。
 (ご参考)
 5月15日付本欄で取り上げました東ティモール国民議会選挙(5月21日)の暫定集計結果によりますと、国父グスマン氏率いるCNRTが全65議席中31議席を確保し、比較第一党となりました。おそらくPD(6議席)と連立政権を樹立し、グスマン氏が首相に復帰するものと思います。我が国として、速やかな信頼関係構築に努めて頂きたいと思います。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


自衛隊サイバー防衛隊司令 木村陸将補
米サイバーコマンド及び米国防大学を訪問
 自衛隊サイバー防衛隊司令の木村顕継陸将補は、3月27日〜31日までの間、メリーランド州に所在する米サイバーコマンドにおいて会議を行うとともに、ワシントンDCに所在する米国防大学を訪問した。
 米サイバーコマンド司令官ポール・ナカソネ陸軍大将は、日本との深い防衛パートナーシップに対する感謝と、日米サイバー関係の進展及び継続への期待について述べた。木村司令は平素からの支援に深謝するとともに、米サイバーコマンド計画・政策部長ハイディ・バーグ海軍少将及び演習・訓練部長ジョセフ・ブゼラ沿岸警備隊少将と日米連携に関わる具体的な議論を行った。
 また、米国防大学校長プレン空軍中将は、本校の卒業生が日本のサイバー部隊の指揮官として表敬訪問してくれたことに感激し、感謝するとともに、安全保障環境が益々厳しくなる中で、日米同盟の強化は極めて重要であると述べた。
 木村司令はサイバーに関する高度かつ幅広い知識を保有する人材を育成していくことは部隊としての課題であり、米国における教育支援の拡充を依頼した。

MFO司令部要員を増員
初めて施設要員を派遣
 5月23日、エジプト・イスラエル間の停戦監視等を行う多国籍部隊・監視団(MFO)の司令部要員として派遣される塩崇2陸佐(連絡調整部計画担当副部長要員)以下4名が、森下泰臣陸上幕僚長に出国報告を行った。
 現在、陸上自衛官が連絡調整部要員として2名活動中だが、MFOの要請を踏まえて2名の追加派遣が12日に閣議決定され、今次が4名態勢で初めての派遣となる。新規2名は後方支援部施設課においてインフラ整備を担当する。
 塩2佐は「要員が2名から4名にふえ、さらに存在感をアピールして、日本人らしく誠実に勤務したい」、永井遼介3佐(連絡調整部運用幹部要員)は「日本人らしく、調整能力を発揮して自衛隊の評価を引き続き高められるようにしたい」、山田将平3陸佐(後方支援部施設幕僚要員)は「これまで平和協力活動で培ってきた施設力をしっかりと発揮して強化していきたい」、宮下孝幸2曹(後方支援部施設陸曹要員)は「国際活動に従事したい陸曹のためにもしっかり勤務し、それをフィードバックしたい」と意気込みを語った。なお、海外の現地ミッション司令部への陸曹の派遣は、陸自として史上初となる。
 森下陸幕長は「(追加派遣は)先輩達の築いた評価が高く、日本の価値をすごく認められたということだ。期待は高まっている。思う存分行ってこい」と激励した。
 連絡調整部要員の2名は5月末に出国し、現在派遣中の2名と引き継ぎを行う。後方支援部要員の2名は6月末に出国する。4名はエジプト・シナイ半島南部のシャルム・エル・シェイクの司令部で約1年間勤務する予定。

ウクライナに車両を100台規模で提供
1/2tトラック等を順次輸送
 5月21日、防衛省・自衛隊はウクライナ政府からの要請をうけ、1/2tトラック、高機動車、資材運搬車を合計100台規模で提供すると発表した。ロシアがウクライナに侵攻した昨年3月以降、防衛装備移転三原則の範囲内で防弾チョッキ、鉄帽、防護マスク、防護衣、小型ドローン、非常用糧食等を提供してきたが車両を提供するのは今回が初めて。全国の陸自車両で既に任務や訓練では使用しなくなったものを整備し直して提供するという。併わせて非常用糧食3万食も追加提供する。
 5月24日、防衛省儀仗広場で引渡式が行われ、井野副大臣がセルギー・コルンスキー駐日ウクライナ特命全権大使に目録が手渡された。コルンスキー大使は謝意とともに「このニュースを早くウクライナ国民に伝えたい」「今後も防衛協力を進めていきたい」等と述べた。
 車両は整備が完了したものから順次提供され、まず引渡式に展示された2台の1/2tトラックがすみやかにウクライナへと輸送される。

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