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スペーサー
自衛隊ニュース   1098号 (2023年5月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
カトワスの活躍

 東ティモールでは、高齢でみんなの尊敬を集めている人物はカトワス(長老)と呼ばれています。
 そのようなカトワスの中で、白眉と言えるのが日本人カトワスの皆さん。
 コロナ禍対策の規制緩和を待って、3年ぶりに訪問した東ティモールで出会った飯田 進さん76歳もその一人。
 飯田さんは、大手重機メーカーの小松製作所で50年間重機の整備・メンテナンスの専門家として勤務。現在は東ティモールにて、公共事業省資材管理局(IGE)所属の整備士等の皆さんに対する建設機械整備士・オペレーター養成事業を実施している自衛隊OBを中心とする特定非営利活動法人(JDRAC)の自動車整備技術教官として、若者達の教育・指導に当たっています。
 飯田さんの技術者人生の大部分は海外の現場。ある時は人里離れた鉱山で、またある時は炎熱の砂漠の中に飯田さんはいました。
 日本は、その製品の品質の高さで世界から賞賛されていますが、その品質の高さは、飯田さんのような強い責任感と情熱を以て現地の人々の中に溶け込んで行っている整備・メンテナンスの専門家によって担保されているのではないでしょうか。
 独立回復21年目を迎えている東ティモールですが、今でも地方に行くと水や電気に不自由する所が多くあります。ましてや、ホテルや食堂を見つけることは不可能です。飯田さんは、そんな環境をもろともせず、テント生活を続け、僻地の若者たちに乏しい部品や整備器材を工夫・活用して自動車整備・メンテナンスを行う技術をとことん教授して来ています。また、現在IGEが保有する建設機械112台のうち、8割は小松製作所製とのことですが、彼は、中国製を始めどんなメーカーの重機も選びません。自分の持てる技術を全てつぎ込んで指導に当たっています。
 技術者魂というのでしょうか。
 彼は、世界平和のためとか、民衆生活向上のためとか、声高に叫ぶことはありません。しかし、彼の存在そのものが、平和構築、生活向上の礎となっているに違いありません。
 まさに、彼こそ本当の意味でカトワスです。
 ところで、東ティモールで建設機械と聞くと、多くの隊員の皆さんには思い出すことがあるのではないでしょうか。
 2002年から東ティモールにて道路や橋の整備等に取り組んでいた自衛隊PKO施設部隊が2004年に撤収する際に、当時の浜田靖一防衛庁副長官が東ティモールに出向かれ、同部隊が使用して来た白い国連塗装の建設機械を東ティモール政府に供与したいわゆる「残地器材」。
 あれから20年。今、どうなっているでしょうか。
 僕は驚きました。
 ホイールローダー、モーターグレーダー、建設機械運搬車、ブルドーザー、油圧ショベルカーなど、およそ10台が、20年の歳月を経て今なお現役で頑張っているのです。主要国道以外の地方における新規道路の開設や維持・管理、また2022年4月の集中豪雨による大洪水被害など自然災害発生時の復旧活動に第一線で活躍しているとのこと。IGEの敷地にて、静かに出番を待っている白い姿を見つめていると、僕は体の中に熱いものが湧き上がって来るのを感じました。
 「建設機械の整備について、専門家の知識を体系的に学ぶ機会も場所も無い中で、自分たちなりに部品を分解したり、足りない部品を作ったり、インターネットを頼りに20年も経った自衛隊残地器材を良く整備してきたことには驚きを禁じ得ません。整備士・オペレーターの負荷はとても大きいですが、本当によく頑張っていると思います。そんな彼らを教えていますと、自分自身、ワクワクして来るんです」飯田さんは穏やかな表情で語っています。
 名誉も金もいらない人間ほど始末に困る者はいない。しかし、そのような人間でなければ大きなことは出来ないといった趣旨のことを述べていた西郷南洲。
 そんな人間の確かな存在が、目の前の飯田 進さんにも重なって来ます。
 恐るべし76歳。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


靖國神社で第2回慰霊祭を斎行
陸軍将校などの英霊を慰霊・顕彰
<偕行社>
 旧陸軍将校及び元陸上自衛隊幹部などで構成される公益財団法人「偕行社」(理事長・森勉元陸幕長)は、4月17日、靖國神社で森理事長を祭主とする「第2回偕行社慰霊祭」を行い、国家防衛のために尊い命を捧げた陸軍将校などの全ての戦没者の御霊(みたま)に対して、哀悼の意と尊厳の念を捧げた。
 式典には、第1師団長の児玉恭幸陸将をはじめ、水交会理事長の杉本正彦元海幕長、特攻戦没者慰霊顕彰会理事長の岩崎茂元統幕長、阿南惟幾陸軍大臣遺族の阿南健太氏の他、陸修会副会長の火箱元陸幕長が参加、陸軍士官学校、幼年学校、陸自OB、法人賛助会員など188名が参列した。
 森勉理事長、山口健史宮司の挨拶に引き続き、参列者は拝殿に一同参列、その後、トランペット奏者堀田氏による国家吹奏、祭主による祭文の奏上、本殿での玉串拝礼など整斉粛々と厳かに実施された。
 森勉理事長は、祭文奏上で、「令和6年4月に、陸上自衛隊幹部退官者の会である陸修会との合同を経て、陸軍将校の御意志を受け継ぐ陸上自衛隊の元幹部自衛官の組織として、先人から託された歴史と伝統・文化に恵まれた祖国日本の護持に寄与するとともに、陸上自衛隊に対する必要な協力を実践していく」としている。
 偕行社は、現在、陸軍士官学校出身者の高齢化に伴い、元陸上自衛官の世代交代の過渡期にある。今回の慰霊祭は、偕行社が主催して実施するものであり、引き続き国民の防衛意識の啓蒙を図り、国民一人一人に「国を護る志」の大切さをしっかり普及し、後世に受け継ぐこととしている。

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