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自衛隊ニュース   927号 (2016年3月15日発行)
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27年度航空医学実験隊研究発表会
「パイロットを護る」〜医工連携
 航空医学実験隊(司令・別宮愼也空将補=入間)は2月26日、平成27年度下半期研究発表会を防衛装備庁電子装備研究所(三宿)で開催した。
 航空医学実験隊は、航空医学及び心理学上の研究、航空身体検査、航空生理訓練等を行う航空自衛隊の組織である。
 今回のテーマは「パイロットを護る」研究に焦点をあて、発表者を従来の航空医学実験隊に加え関連する研究を実施している防衛装備庁、防衛医科大学校、国立研究開発法人等の研究者を交え相互に発表及び意見交換を行った。発表会の聴講参加者は83名(医実隊を含み126名)であり、その内訳も研究職技官、医官、衛生職自衛官、防衛医科大学校教授等、多彩な専門家が参加した。今回の発表会の特長は隊司令の方針により、研究者が狭い視野になりがちな自身の研究を公開の場で披露し、部外の研究者から客観的な評価を受け、研究者自身のレベルアップを図る目的もあるとのことであった。
 発表会冒頭、医実隊司令別宮愼也空将補の挨拶で「研究のあるべき姿」、「本発表会の意義」の説明と自由で活発な議論が要望され発表会は開会された。次に研究企画官から「航空医学実験隊の研究交流」と題し、ヒューマンファクターによる重大な航空事故の原因であるパイロットのG-LO
C(G-induced Loss of Consciousness: G負荷による意識喪失)と空間識失調、また医実隊が現在進めている外部機関との研究連携の効果と必要性の説明があった。
 発表内容は3つのセッションで構成され、1 パイロットのワークロードと脳活動 2 脳組織の生体反応モニタリング 3 パイロットの防護・安全、の順で進められ、最初の演題は医実隊第一部荒毛技官の「パイロットの脳活動可視化に関する研究」から始まり、これに対応する次の演題は国立研究開発法人情報通信機構による「ウェアラブル脳波計の開発と脳活動からのワークロードの定量化」が発表され、両機関の研究者による意見交換と参加者との質疑応答があった。また国立研究開発法人宇宙空研究開発機(JAX
A)の演題「ヘリコプター用視界増強技術の夜間飛行実験評価」、防衛医大の演題「生体組織の光学診断・モニタリング技術と防衛医学研究への応用」、その他の演題が発表された。質疑応答は工学と医学の各専門家によって活発に行われ、航空医学の今後の医工連携の実現が予感された。
 最後の閉会挨拶は主催者を代表し航空開発実験集団司令官荒木空将から行われ、外部の研究者と多くの聴講参加者への御礼と航空自衛隊における航空医学の今後の展望と研究態勢の在り方についての説明があった。平成27年度航空医学実験隊研究発表会は、国内の航空医学の研究者による情報交換という貴重な成果を得て盛大のうちに終了した。

連合准曹会代表評議委員会等実施
組織の活性化、強化に向けて
【CRC(連合准曹会関連行事)】
 2月5日、米空軍横田基地で基地司令主催によるCRC(連合准曹会関連行事)が催された。これはCMSGT(米空軍における下士官の最上位)に昇任した下士官を称え、激励する伝統的な式典で、当行事には航空自衛隊基地から8名の新任曹長が招待された。参加者は「米空軍に対する認識を新たにしたとともに、更なる交流や連携の必要性が実感出来た」と米国をはじめとする他国下士官との協力体制の充実を決意した。
【平成27年度准曹士先任集合訓練】
 2月8日から10日にかけて、横田、入間、市ヶ谷の各基地において、全国から編成部隊等以上の准曹士先任84名が集い「平成27年度准曹士先任集合訓練」が実施された。空幕長の意思の徹底と今後の業務の活性化を目的に、准曹士先任相互の意見交換が活発に行われ、問題意識の共有が図られた。参加者からは「人としての成長(日々進歩)の重要性を理解した」、「後輩育成の更なる必要性を共有した」、「風通しの良い部隊にするため、皆で力を合わせる決意をした」、「米空軍との連携を強固のものにすることができた」等と充実した訓練成果を今後の業務に活かそうとする思いが多く聞かれた。
【連合准曹会代表評議委員会】
 2月19日、「連合准曹会代表評議委員会」が初の地方開催となる春日基地で開催された。連合准曹会会長以下本部役員7名と代表評議委員9名、その他春日基地准曹士先任以下在春日会員10名が参加し、今後の准曹会のあり方について活発な議論がなされた。また、山崎勝巳第5代航空自衛隊准曹士先任が講話を行い、「我々が後輩を育てるのだ、今我々がしなければどうするんだ」という熱いメッセージに、約200名の春日基地隊員が熱心に耳を傾けその気持ちに応えるべく気持ちをあらたにした。
 航空自衛隊准曹士先任制度は、部隊等の長の意図を准曹士隊員へ徹底させ現状や問題点及び身上(心情)を把握し改善すること、隊務運営に積極的に関与し組織の活性化と団結の強化を図ること、他自衛隊及び米軍等との准曹士レベルでの交流を図ること等を目的として、平成20年4月から正式に制度化されている。指揮官と下士官を繋ぐ要として、航空自衛隊の基盤強化において今後益々重要な役割を持つ制度である。

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