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自衛隊ニュース   2013年9月15日号
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初の洋上訓練
三重県尾鷲港沖で
「しもきた」拠点に医療モジュール搭載船実証訓練

 南海トラフ巨大地震を想定した内閣府による平成25年度広域医療搬送訓練の医療モジュール搭載船実証訓練が8月31日、三重県尾鷲港沖の海上に展開する海上自衛隊輸送艦「しもきた」(排水量8,900トン)を拠点に実施された。
 訓練は洋上に展開した医療拠点の医療機能の有効性を確認するとともに、将来に向けた課題や問題点を検証することを目的とし、広島県の災害派遣医療チーム(DMAT)隊員、陸上自衛隊中部方面衛生隊隊員など約90人が参加した。この訓練は、平成23年の東北大震災の教訓から、大震災などの緊急時に陸上の医療施設が無力化され、患者輸送も困難な状況での緊急医療態勢を確保するために、海上の船舶を洋上医療拠点として患者輸送、応急措置・安定化を図るなどの訓練を実践に即して行なわれた。
 8月30日午前1時頃、マグニチュード9級の南海トラフ巨大地震が発生したとの想定で、その後36時間が経過した31日午後1時に今回の訓練が開始された。
 愛知、三重、和歌山などで甚大な被害がでたとの想定のもと、被災地から傷病者(模擬患者17人)を乗せたドクター・ヘリなどが尾鷲港沖に停泊する「しもきた」の甲板に次々と着艦。傷病者はエレベーターで艦内の格納庫(第4甲板)に搬送され、待機していたDMATの医師や看護師、衛生隊の医官や看護官らによる応急措置が施されていく。
「重症、中等症、外傷、慢性疾患」などに区分された傷病者のうち、重症で緊急手術が必要と判定された患者は、第4甲板内に設置された陸上自衛隊野外手術システム(医療モジュール)の手術車のなかで緊急手術を受ける、などの訓練場面が次々と繰り広げられた。
 第4甲板には病床50床(内7床は手術前・手術後の集中治療・ICU用)に加えて、滅菌車、手術車、補給車、?線設備などの医療モジュールがところ狭しと搭載、展開されており、その間をDMAT関係者や陸自衛生隊関係者、「しもきた」乗員たちがあわただしく動き回っていた。
 午後3時、陸自の野外手術システムを海上船舶の中に展開、設置して行った初めての洋上訓練は無事に終了。DMATと連携を確認、問題点を把握した。


外国人将校「チーム一丸になれた」
第13回指揮幕僚課程多国間セミナー
過去最多15ヵ国22人の中堅軍人参加

 陸上自衛隊幹部学校がアジア・太平洋地域等各国の中堅軍人を招き、陸上自衛隊第58期指揮幕僚課程(CGS)の学生(空自1人を含む74人)と相互理解や友好親善を促進し、信頼関係構築に寄与することを目的とする「第13回指揮幕僚課程多国間セミナー」が8月18日から25日まで開かれた。
 今年は外国人将校としてインドネシア、タイ、アメリカ、イギリスなど10カ国から10人の招待者にモンゴル、インド、韓国など8カ国12人の留学生を加えた計15カ国22人と2001年の第1回開催以来最多の外国人将校が顔をそろえた。
 参加した外国人将校はCGSの学生とともに、「多国軍環境下におけるリーダーシップ/チームワーク」を総合テーマとして、グループ研究を実施したり、個人研究課題では招へい将校10人全員が発表するなど意欲的で精力的かつ活発なセミナーとなった。
 今回はグループ研究をケース・スタディー方式にして多国間環境下での共同作業を実践し得る状況を付与したり、基本使用言語を英語にするなどの要領が大きな成果に結びついた。
 3日間の研究会に続き、参加者は東京都内の文化施設研修や富士総合火力演習も研修した。
 セミナー参加の外国人将校からは「ケース・スタディーでは言葉や文化などの壁を越えてチーム一丸となれた」「陸自将校だけではなく、各国の将校の考え方を知ることができて有意義だった」「このセミナーの継続はMUSTである」などの高い評価のコメントが寄せられた。


魁の風
〜中央即応集団〜
インド隊を支援
孤児院に大型発電機設置
UNMISS

 インド隊は、ジュバ市内の孤児院からの依頼に基づき、同孤児院まで大型発電機を運搬し設置する任務をUNMISSから付与されたが、同隊は当該発電機の運搬や設置に適した装備品を保有していなかったことから、同隊から日本隊に対し、本任務に対する支援の要請があった。日本隊は、民生協力活動の一環として、地域住民との良好な関係の維持に資するとともにインド隊との更なる良好な関係の構築に資する案件としてUNMISSの指図の下で、8月7日に作業を実施した。
 当日は、日本隊が大型発電機の運搬・設置作業を行っている間、インド隊が安全確保や設置場所の整地作業を実施する等、日印が緊密に連携して任務を遂行した。また、作業終了後の記念撮影の際、インド隊の作業隊長から日本隊への感謝の言葉が述べられるなど、日本隊とインド隊との関係がより強固なものになったことを実感することができた。
 「発電機を設置する事により子供達の生活がより良いものになればと思います。インド隊との共同作業を通じ友好を深められた」(現場責任者の施設器材小隊長・森下史康1陸尉=派遣元・第2施設群第365施設中隊)

功績の累積に報いる
CRFに第2級賞状

 9月6日、座間駐屯地の中央即応集団司令部庁舎で中央即応集団に対する第2級賞状の授与式が行われた。同賞状は、各国での国連平和維持、国際緊急援助、東日本大震災の際の原子力災害派遣などの活動功績の累積に対するもの。式典では、岩崎茂統合幕僚長が日高政広中央即応集団司令官へ賞状を授与。岩崎統幕長は、「部隊創設から短い期間で、先輩方の努力もあって、東日本大震災、北朝鮮の弾道ミサイル等対応、そして国際任務等よくやってくれている。PKO、海賊対処等もしっかり成果を残してくれている。東チモール、UNDOFの撤収もよくやってくれた。これは、日高司令官の統率の下、常日頃の訓練の賜である。総理大臣も評価されている」などと訓示した。


陸自2部隊受賞
防災功労者の総理表彰で

 9月2日、総理官邸大ホールで「平成25年防災功労者内閣総理大臣表彰」の表彰式が行われた。同表彰は、災害時における人命救助や被害の拡大防止等の防災活動の実施、平時における防災思想の普及または防災体制の整備の面で貢献し、特にその功績が顕著であると認められる団体または個人を対象に表彰される。本年度、防衛省関係では2団体が受賞した。
 これは、昨年7月に九州北部を中心とした大雨により福岡県、大分県及び熊本県に発生した土砂災害で甚大な被害を受けた被災地での災害派遣活動に対するもの。安倍晋三内閣総理大臣は、台風や近年頻発する大雨、首都直下型地震等予測される大規模震災等により、「これからも多くのかけがえのない命と貴重な財産が失われる」とし、政府が災害に強い強靭な国づくりを進める決意を述べるとともに、受賞者に対し「それぞれの分野においてますますご活躍され各種の取組みがより一層進展されることを期待しています」などと挨拶した。
【災害現場での顕著な防災活動】○平成24年7月九州北部豪雨における災害派遣活動▽陸上自衛隊第4師団災害派遣部隊・同配属部隊・同協同部隊(7月12〜21日、福岡県・大分県の被災地で)▽陸上自衛隊第8師団災害派遣部隊(7月12〜20日、熊本県の被災地で)【功績の概要】被災地へ迅速に進出し、身の危険を顧みず真摯に人命救助、行方不明者の捜索、孤立住民の輸送、給水支援、物資輸送等各種支援活動を実施し、被災地住民の安全確保及び生活基盤の確保に多大な貢献をした。


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