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自衛隊ニュース   2013年11月1日号
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伊豆大島災統合任務部隊を組織
輸送力を最大限活用
組織力を活かした一元的な運用

 10月16日、大型で強い台風26号のため伊豆大島の中心部(東京都大島町元町)の広い範囲で土砂災害が発生した。同日10時20分、東京都知事から第1師団長に行方不明者の捜索活動のため災害派遣要請があった。天候回復を待ち11時28分、陸上自衛隊東部方面航空隊のUH—1が情報収集のために立川駐屯地を離陸。11時58分、先月命名されたFAST Force(初動対処部隊)が練馬駐屯地をUH—60で離陸し、12時40分現地到着後速やかに行方不明者捜索活動を開始した。13時50分海上自衛隊第21航空群のUH—60Jが患者輸送のため館山基地を離陸。15時到着後3名の患者を収容。15時12分航空自衛隊第3輸送隊のC—1が大島町長の輸送のため美保基地を離陸。10時40分「離島災害であることを踏まえ、各自衛隊はもとより、関係省庁と協力して救助活動等に全力をあげること」と小野寺五典防衛大臣は訓示した。
 三原山の中腹から沢沿い東西約1.2kmに渡り大量の土石流が元町港河口まで押し寄せた今回の伊豆大島土砂災害。人口密集地帯の複数の集落を丸ごと呑み込む大規模なもので、死者30人、行方不明者14人に上った(23日現在)。山積した家屋の瓦礫や大量の流木等に阻まれての広範囲の活動。懸命の人命救助・捜索・救援などを継続し、警察、消防などと共に、発災直後は約30人いた行方不明者を発見していった。
 20日21時49分には、小野寺五典防衛大臣が「平成25年(2013年)台風第26号に対する災害派遣の実施に関する自衛隊行動命令(自行災命第15号)を発令。東部方面総監を指揮官に伊豆大島災統合任務部隊が組織された。指揮下には、陸上自衛隊の部隊等は東部方面総監を指揮官とする「伊豆大島陸災部隊」、海上自衛隊の部隊等は横須賀地方総監を指揮官とする「伊豆大島海災部隊」、航空自衛隊の部隊等は航空支援集団司令官を指揮官とする「伊豆大島空災部隊」を組み入れた。
 離島であり交通が困難な伊豆大島であるため、陸自・海自・空自の航空部隊、海自輸送艦「おおすみ」、空自C—1輸送機、空自C—130輸送機は、昼夜の別なく大島空港と内地の各駐屯地・基地との間を往復し続けた。大島・元町港の使用が出来ないため、「おおすみ」に搭載された車両、ドーザや油圧ショベルなどの施設機材、物資などは海自のエアクッション揚陸艇LCACで陸揚げされた(LCAC増強のため輸送艦「くにさき」も派遣された)。各航空部隊は自衛隊の人員・車両・機材・物資の輸送だけでなく、消防車両や警察車両などの輸送にも携わった。24日現在、土砂災害防止の土のう積み、災害発生時に迅速に対応できるよう部隊を島内の南北に分散配置するなど、台風27号による二次災害に備えている。
【派遣部隊】▽陸自 1普連、1後支隊(練馬)、32普連(大宮)、34普連(板妻)、1飛行隊(立川)、12ヘリ隊(相馬原)、1施設団(古河)、東部方面通信群、東方後支隊、1施設大隊、東方総監部付隊(朝霞)、1高射特科大隊、1戦車大隊(駒門)、12施設中隊(新町)、44普連隊(福島)、1ヘリ団(木更津)、30普連(新発田)、東北方増強派遣部隊(44普連、11施設群、6施設大隊、6後支隊)▽海自 第21航空群(館山)、第1輸送隊(呉)▽空自 2輸空(入間)、入ヘリ隊、3輸空(美保)、1輸空(小牧)
22日現在派遣規模・延べ人員約4050名、車両約633両、航空機68機、艦艇17隻


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