防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   937号 (2016年8月15日発行)
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南海レスキュー28
〈中部方面隊〉
 中部方面隊は、中部方面総監・鈴木純治陸将を統裁官兼ねて演習中部方面総監とし、7月5日から9日の間、人員約5,500名、車両約700両、航空機約10機をもって、「平成28年度中部方面隊実動演習及び日米豪共同訓練(南海レスキュー28)」を実施した。
 本演習は、南海トラフ地震対処時の運用の実効性向上を図る目的で、指揮所演習及び実動演習からなり、先般発生した熊本地震以降、最初の大規模演習となった。
 南海トラフ地震同時発生での地震においては、中部方面区内だけで、犠牲者数最大約20万人と東日本大震災を上回る被害が見積もられており、とりわけ発災後72時間以内を焦点とした初動対処は重要であり、主要司令部たる方面総監部の初動対処を重視したスピード感ある指揮幕僚活動を重点に演練した。
 また、本演習は、南海トラフ地震対処演習5ヵ年計画の4年目となり、発災時には、部隊が迅速かつ円滑に活動できるよう「対処計画」の更なる深化を図る目的もあり、特に今回、派遣部隊が速やかに活動地域に展開し、かつ長期間の災害派遣活動を継続するため、部隊運用に応じた「融通性・継続性ある後方支援」等に着意し、その実効性を検証した。

平成28年度長距離機動訓練
第1次師団訓練検閲
〈第7師団〉
 第7師団(師団長・田浦正人陸将=東千歳)は、6月8日から7月8日までの間、東千歳・南恵庭駐屯地から矢臼別演習場に至る陸・海・空それぞれの経路を使用して、平成28年度長距離機動訓練を実施した。
 本訓練は、作戦行動の一環として長距離機動訓練を実施し、戦車連隊戦闘団基幹の部隊展開能力の向上を図る目的で、トレーラのほか、民間船舶、鉄道(コンテナ)及びヘリコプターを使用した、重車両を含む部隊展開を行う他、戦車を含む一部の装軌車の公道自走を行った。
 この間、7月7日から13日の一週間、北海道大演習場及び矢臼別演習場において、第7飛行隊(隊長・鎌田2陸佐)を受閲部隊として、平成28年度第1次師団訓練検閲を実施した。
 訓練検閲では、評価の対象を第7飛行隊におけるあらゆる隊務運営とするとともに、本訓練検閲は、その成果が集約的に発揮される場として、飛行隊の任務遂行に係わる練度を評価した。この際、飛行隊長は、唯一の機甲師団内の飛行隊としての「誇り」と「備え」を、自ら受閲の焦点として設定し、本訓練検閲に臨んだ。
 第7飛行隊は、長距離機動に引き続き、第73戦闘団との緊密な連携の下、配属された隊戦車ヘリコプターを含めた12機の航空機を有効に運用して、効果的に戦闘団に対する戦闘支援任務を完遂した。
 特に、行動開始から6日目となる7月11日、疲労困憊(ぱい)の中、全受閲隊員から無作為に抽出した30名(拳銃装備者9名、小銃装備者21名)による至近距離射撃を実施させ、その練度を評価・判定した。
 また、戦闘の最終局面では、地上部隊との緊密な連携の下、ヘリボン作戦を行い、戦闘団の攻撃進展に寄与した。
 なお、本訓練検閲は、第14旅団との協同訓練の枠組みのもとで行われ、第73戦闘団と第50普通科連隊との戦闘を共同統裁し、陸上自衛隊の道場たる北海道において、お互いの練度の向上を図った。

米空軍司令官付先任下士官会議に参加
〈空自准曹先任〉
 7月11日から15日の間、山崎勝巳航空自衛隊准曹士先任は、米空軍司令官付先任下士官会議に参加した。当会議は米空軍最先任、米太平洋軍最先任、米コマンドチーフ等米空軍6名他32ヶ国の最先任下士官級軍人が一同に介し、下士官育成の方向性、空軍兵への使命感教育、整備兵経歴管理制度の実際等について議論がなされた。
 山崎空自准曹士先任は「各国下士官の置かれた状況及び取り組みの多様性への理解を通じ、空自人的戦力強化施策の更なる推進に大きく貢献できることを実感しました。また、各国先任を通じた多国間における信頼関係及び相互運用性の維持及び推進の継続が、世界秩序の維持安定のための抑止力及び災害時における迅速かつ安全な復旧への鍵となることを認識しました。今回の会議参加による関係の強化を後世に引き継ぐため、個人間の関係を超え、各国空軍の最上級下士官レベルでの相互運用体制作りに役立てるよう、あらゆる努力を継続して関係を強化維持していく所存です」と会議を振り返った。

魁の風
〜中央即応集団〜
派遣海賊対処活動支援隊(5次)、航空隊(23次)
米軍基地で日本文化紹介

 派遣海賊対処行動支援隊(第5次要員)(司令・古庄信二1陸佐)及び派遣海賊対処行動航空隊(第23次要員)(司令・川畑信一1海佐)は、7月10日、日本隊拠点近傍に位置するジブチのキャンプレモニエ米軍基地において、日本文化紹介行事を実施した。
 同文化紹介は、日本文化を積極的に発信するとともに、近隣に所在する米軍との懇親を深め、日本に対する理解の醸成を図る目的で、米軍及び自衛隊双方の先任上級曹長会同にて企画されたものが実施に至ったものである。
 当日は、折り紙及び書道といった日本文化を実際に体験できるブースを設置したほか、支援隊は日本拳法、銃剣道、空手、抜刀術、剣道を披露し、航空隊は、宮太鼓を披露した。特に、抜刀術は、静寂と緊張感に包まれる中、気迫あふれる形の演武を披露、また、宮太鼓は、テンポの良いリズムと和太鼓の迫力で会場を大いに盛り上げ、大盛況のうちに幕を下ろした。

※同面、記事中の階級・役職等は実施当時


雪月花
 6月に東チモールを公式訪問した中谷元防衛大臣(当時)の接遇にあたっていた女性、防衛大学校の卒業生のジュリアさんだった。中谷大臣の部隊視察にも同行し通訳もりっぱに務めた。2002年にインドネシアから独立を回復した同国には陸自のPKO施設部隊が同年3月から2004年6月まで派遣された。そのとき弊社からも女性記者が取材に同行したが彼女が帰って一番先に言ったことを今でも覚えている。「生まれたばかりの国とはなんと熱気のあるものなんでしょう、貧しいのは当然ですが誰の顔も輝いて瞳が光っていました。「坂の上の雲」の時代の日本もこんなんだったんでしょうか」中谷大臣やグスマン元大統領と一緒に記念写真に写るジュリアさんら5人の防大卒業生はみんなが東チモールの秋山真之であり秋山好古(同著の主人公)になりそうだ。中谷大臣も後輩との出会いに喜びを隠さず話がはずんだそうだ。ジュリアさんは昨年,防大初の女性留学卒業生となり今年の2月には少尉に任官された。元防衛施設庁長官で日本東チモール協会会長の北原厳男さんは同国の大使を務めた関係で状況に大変詳しい。「ジュリアが高校を卒業できたのは、グスマン元大統領夫人が主宰する財団の奨学金のおかげです。卒業後、彼女は家族を養うため女性兵士採用一期生となり頑張ってきました。また月に5千円ほどあれば遠隔地の生徒も寮に入って高校を卒業できるので3年間支援してきました、その男子生徒が昨年1月に卒業しましたよ」と笑顔を見せていた。

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