防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   933号 (2016年6月15日発行)
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全国の部隊から
熊本地震


〈対馬警備隊〉
 陸上自衛隊対馬警備隊(警備隊長・三塚克也1陸佐)は、熊本地方を震源とする最大震度7の地震発生に伴い、第4師団の行災命を受け、4月16日14時、対馬派遣隊として熊本県被災地に向け前進をした。
 当初4月17日から19日の間、熊本県阿蘇市一の宮小学校避難所において入浴支援を実施、同じく同市阿蘇中学校避難所において給食支援を実施した。続く同月24日から30日までの間は、阿蘇市南阿蘇西小学校避難所において入浴支援を実施し、さらに5月3日から4日までの間、阿蘇郡西原村西原中学校において入浴支援を実施した。
 対馬警備隊は、派遣実施間において人員延べ約900名、車両延べ約300両を派遣し、避難者に対し1950食の給食支援及び利用者数1578名の入浴支援を実施した。派遣活動中、派遣各隊員は被災者に対し誠意と真心をこめて献身的に支援を実施した。
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災害派遣に参加して
対馬警備隊後方支援隊 3陸曹 堤 拓也
 熊本で地震が発生し、4月17日から5月5日までの19日間、生活支援(入浴)として災害派遣に参加し、被災地に入浴所を開設しました。
 現地に入るなり、悲惨な被災状況を目の当たりにして、被災した人達の為に出来る限りの支援をしようと思いました。
 特に被災者の目線に立ち、ニーズに合う支援を心がけ、少しでも喜んでもらえるようにと努力しました。
 入浴後に笑顔になってくれる人達の姿に接し、自衛官としてこの仕事に携われたことに誇りとやりがいを感じることが出来ました。
 まだまだ復興までには時間がかかると思いますが、一刻も早く熊本の人達が、普段の生活に戻れることを心から願います。

〈海自・第22航空群〉
 第22航空群(群司令・大町克士海将補=大村)は、4月14日と16日に連続して発生した熊本地方を震源とする地震(平成28年熊本地震)災害に対し、人命救助、救援物資の輸送等の災害派遣活動に従事した。
 熊本地震は震度7の地震が連続して生起し、被害も甚大であることから、4月16日早朝、陸、海、空自衛隊の部隊からなる災統合任務部隊が編成され、第22航空群も海災部隊を構成する航空災害派遣部隊として、大村航空基地に全国の海自航空基地から支援のために集まった各種ヘリコプターをもって被災地の状況偵察、人命救助、救援物資の輸送等に当たり、昼夜問わず、災害派遣の任務に全力で取組んだ。
 14日夜に発生した最初の地震(前震)では、大村航空基地でも震度4程度の揺れを観測した。各隊員は直ちに基地に登庁、UH-60J(救難ヘリコプター)、SH-60J及びK(哨戒ヘリコプター)により状況偵察にあたった。
 16日未明の地震発生時にも速やかに航空機を発進させ、状況偵察を行った。続いて、大村航空基地内にある救援物資を集積し、航空機による被災地への輸送活動を行いつつ、熊本県南阿蘇村では温泉地等に孤立した被災者約40名を、第72航空隊のUH-60Jにより、安全な地区へ避難させた。
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隊員たちの声
 現場で救助活動にあたった搭乗員は、当時を振り返り次のように語っている。
 「孤立者の避難していた場所は、狭い谷間にある斜面中腹の駐車場で、付近は樹木や電線等の障害物に囲まれていた。当初ホイスト(救助者を機内に収容するための巻上げ装置)での救助を試みたものの、障害物の存在や荒い気流に阻まれた。避難場所に到着した陸上自衛隊との調整で、駐車車両を移動し着陸した状態で救助を行った。ヘリコプターの着陸条件としては厳しかったものの、UH-60Jの持つ性能を最大限に使って迅速な救助が実施できた。少しでも被災された方々のために活動できたことを誇りに思い、今後も任務に精進していきたい」(第72航空隊操縦士・山口雅生3海佐)
 「被災地熊本の出身であり、可能な限り力になりたいという思いが人一倍強かった。上空から見た被災地は、道路は土砂崩れにより寸断され、自然の力の大きさを改めて認識した。孤立者救助や物資の輸送に携われたことは、機上救護員という職種で本当に良かったと思う。自衛隊だけでなく、警察、消防等多くの人々が、熊本での災害派遣活動に尽力する姿を見て、とても頼もしく感じた」(第72航空隊機上救護員・小沢光広2海曹)
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〈基地で現地活動を支えた隊員たち〉
 また、災害発生直後の活動には、多数の航空機が必要である。大村航空基地で航空機の整備を担当する第22整備補給隊では、1機でも多くの航空機を災害派遣に使用できるよう、航空機の定期整備作業を速やかに実施した。被災地での活動を大村基地において支えた整備担当の隊員は次のように感想を述べている。
 「熊本地震の災害派遣活動に際して、航空機の急速整備に携わった。普段の整備と違い、昼夜を問わず連続しての整備作業となったが、被災された方へ物資を早く届けたいという思いがわれわれ整備員の力となった。整備した航空機が無事に任務を達成でき、被災者の支援に寄与できたと思う」(第22整備補給隊機体整備員・川瀬和昭2海曹)
 「今回の熊本地震は、初めて経験する大きな地震だった。驚きも戸惑いもあったが、自衛官として何が出来るかを考えたときに、航空機の整備員として、災害派遣任務に携わる航空機を迅速かつ確実に整備することが重要と考え、任務に取り組んだ」(第22整備補給隊機体整備員・蒲原隆弘3海曹)
 第22航空群では災害派遣活動において、航空機による活動として総飛行回数約200回、人命救助約40名、救援物資輸送約60t(糧食、飲料、日用品、毛布、テント、ブルーシート等)の他、被害状況飛行、人員輸送等の任務にあたった。また、被災地における生活支援として、徳島県小松島市に所在する第24航空隊の隊員が入浴・給水支援活動に参加し、延べ約1800名の入浴を支援した。避難生活を送られている多くの方々が、一日でも早く安心した生活を取り戻されますよう、心から願っています。

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