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930号 (2016年5月1日発行) |
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雪月花 |
国民には容赦もなく重税を課し自分は税の掛らない国に資産を移し蓄財に耽っている。多くの国の権力者がこのタックスヘイブン(租税回避地)に関わっているとして世界中のマスコミが報じた「パナマ文書」。各国の首脳やその親戚友人の名前も明かされており、アイスランドの首相は発覚後1週間しないうちに辞任した。さらに英国、ロシア、中国のトップの名前も紙面に登場している。この絶望的なニュースが報じられた同じ紙面に、南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領の来日記事があった。自分の給料の大半は貧しい人たちに寄付、自身は農場で質素に暮らし世界でいちばん貧しい大統領として国民から親しまれていたあの人だ。2012年ブラジルのリオで開催された国連会議でのスピーチは「伝説のスピーチ」と言われ世界中を惹きつけた。「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に多くを必要とし、もっともっとと欲しがることです」「今の地球の危機は環境の危機ではなく政治の危機なのです」会場では始めは南米の小国の演説だとして退出者も出始めたがいつの間にか全員が聞き入ったそうだ。現役時代のインタビュー「公用車に乗るときは、私のために車のドアをあけさせたりしないし、後部座席にも絶対に座らない。攻撃されて、運転手だけ犠牲にするわけにはいかない。私も運転手と一緒に戦わなければならない」。パナマ文書に日本の政治家が登場しないことを願っている。
資料「世界でいちばん貧しい大統領」角川文庫 |
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